金杯でそこそこの乾杯。

今年も東西の金杯をメインに始まった中央競馬

年によっては「金杯」のレース日が平日に設定されることも多いので、最初の開催日は見送り、というパターンになることも結構あったのだが、今年は昨年に続いて週末の開催。
そして、中山の方はコース巧者のウインブライトが低評価を覆して勝った上に*1、一昨年から追いかけているステイフーリッシュが2着に突っ込む、という絶好の決着となり、京都の方も明らかにモノが違う感のあった1番人気・パクスアメリカーナが順当に勝利*2、ということで馬券的には上々の結果だった。

昨年、美味しいところをほとんど全部持って行ってしまったルメール騎手と、ミルコ・デムーロ騎手が8日まで「海外渡航」で不在となり、東西ともに力関係のはっきりした日本人騎手同士の戦いになったことで*3、オッズにもレース展開にも攪乱要素がなくなった、ということも背景にあるのだろう、全体として開幕日にしてはいつになく荒れない展開となり*4、フィーリングで買ったWIN5も5レース中4レースまで的中・・・というところまでいったのだが*5、ここで運を使うよりは・・・ということで前向きに受け止めておくことにする。

JRAが慣例に反して、「HOT HOKIDAYS!」のキャンペーンを3年目に突入させる*6と聞いた時に、そろそろ自分らの世代は“歓迎されざる客”になって来ているのか、という心配も軽く胸をよぎったのだけれど、そんなことを気にしても仕方ないので、今年も淡々と買い、淡々とグチをこぼす、そんな一年を過ごしていければな、と*7

*1:データ重視の中穴派にとっては一番うれしいパターンである。

*2:明らかに強い馬には逆らわない、というのも長年の経験で身に付けた「知恵」である。

*3:その割に、しょっぱなの中山第1Rを、短期免許で来日中の23歳の騎手(マーフィ)に持っていかれてしまったのはちょっといただけなかったが・・・。

*4:京都では12レース中9レースで1番人気馬が勝利する、というめったにない結果だった。

*5:正確には両金杯が終わった時点で的中!を確信したのだが、その後、一番堅い決着(単勝1.7倍のモズスーパーフレアが優勝)になった中山10R(カーバンクルS)で別の馬を指名していたことに気付き、ガックリ・・・というパターンだった。

*6:2019年も「HOT HOLIDAYS!」 JRA参照。これまではどんなに好評なシリーズでも2年で交代させていたのだが、そんなにこのシリーズ、JRAの偉い方々のツボに嵌ったのだろうか・・・?

*7:個人的にはこのCMを、「仲間とワイワイガヤガヤ」のノリで競馬場に人を呼び込んでも、年を食って仲間がいなくなったらもう来なくなるよね・・・的なシュールな目で眺めていて、それよりは「あなたと話したい競馬があります」シリーズのような、本質的なところで魅力をアピールした方が長く定着するファンを増やせるんじゃないかな、と思ったりもするのだけれど、関係者ではないのでこの辺にしておく。

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「リンゴ」時代の終焉が象徴するもの。

新年早々、売上高予想の下方修正をぶちかまして市場を壊すんじゃないか、とひやひやさせてくれた米アップル。
幸いなことに、4日の夜に発表された雇用統計で米国の景気自体は堅調だ、ということに皆気付いたし、業績不振もアップル固有の問題に過ぎないのでは?、ということを皆疑うようになってきたために、株価も為替も一気に正常方向にリカバーしたから、恐慌の引き金になることは避けられそうな気配だが、一時はどうなることかと思った・・・。

今回、自分が一番ひどいと思ったのが、アップル側が売上高減少の要因を、専ら「中国の景気減速」というフレーズで説明しようとしたこと。

確かに中国という市場が成熟してきていて、以前と比べて伸びしろも少なくなっているのは事実だとしても、「売上高5%減」というショッキングな数字とそれを短絡的に結びつけるのは、恥知らずにもほどがある。

10-12月四半期、ということでいえば、米中関係の悪化による中国国内の不買運動の影響も相当あるだろうし、そもそもここ数年のトレンドとして、中台の新興メーカーの劇的な技術進歩によって、日本以外ではAppleスマホ端末に真っ先に飛びつくユーザーというのは消滅しつつある*1
そういった中で、新機種の強気の価格設定が裏目に出て売り上げを落としたのだろう、ということは素人でもわかる話なわけで、辛うじて市場に食い込んでいた中国ですらシェアを落とす、ということになれば、もはやデバイス提供者としてのAppleの時代は終焉に近づいている、というほかないだろう。

そして、たかがスマホの話、とはいえ、「米国企業がリードし、アジア勢が追いかける」というIT分野の典型的な構図の“激変”の契機を新年3日目にして目の当たりにすることになった、というのは、この1年を後から振り返った時に、実に象徴的な出来事だった、ということになるような気もしている。

*1:ちなみに自分は初代のiPodがあまりに早々にお釈迦になってしまったこともあって、この会社にデバイスメーカーとしての信頼を全く置いていないし、スマホ進出後も一貫してAndroid派である。

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蹉跌を超えて辿り着いた頂点。

去年まで、というか、つい2日前までは永遠に続くと思われていた「深緑」の快進撃が遂に止まった。
第95回箱根駅伝、2015年から続いていた青山学院大学の連覇ストップ、そして新たに頂点に立った東海大学

青学の時代が続いていたといっても、たかだか4年、昨日10連覇が夢と消えた帝京大ラグビー部に比べたら大した話ではない*1、という声もあるのかもしれないし、勝った東海大はユニフォームこそ見慣れないものの*2、チームとしては46回の出場経験に往路優勝の実績もある名門校だから、青学が初優勝した時ほどのサプライズではない、という意見もあるだろう。

ただ、箱根を前に「学生駅伝三冠」の夢が早々と絶たれていた昨年とは異なり、今年の青学は出雲、全日本と既に2冠を達成。
しかも、昨年卒業した4年生の穴を2年生、3年生がきっちりと埋めていて、「今年は通過点、更なる連覇も可能」というのがレース前の評判だった。

だから、往路4区、5区の大ブレーキでまさかの6位、首位の東洋大に5分30秒の差を付けられた時も、「これも新たな奇跡への序章だろう」とくらいにしか思っていなかったのであるが・・・。

結果的には、往路では区間賞をとった選手は皆無ながら青学がしくじった後半4区、5区で巧みに巻き返しでトップに1分14秒差の好位置(2位)につけ、復路で“最古の区間記録”を破った8区・小松陽平選手を筆頭に全ての選手が区間の3位以内で走り切った東海大が、往路・復路とも2位ながら総合優勝、という珍しいパターンで逆転優勝を遂げることに。

青山学院にしても、復路に10000mの持ちタイム28分台の選手を4人並べる布陣だったから、たとえ5分30秒の差でも全くあきらめてはいなかったはずで、現に、往路で首位だった東洋大は最終10区できっちり捕まえて、復路新記録、総合タイムでも新記録、という見事な結果を残している。

ただ、9区の吉田圭太選手*3にしても、アンカーの鈴木塁人選手にしても、追いかけようとする気持ちが強すぎて、区間の序盤で差を詰めた勢いを終盤まで持続させることができず、その一方で、逃げる東海大は9区の湊谷春紀主将、10区の郡司陽大選手が、自分のペースで慎重に入って最後まできっちり実力を出す、という鉄板作戦に徹したことで、タイム差3分以内のエリアに深緑のユニフォームを侵入させることを阻んだ。

もし何かの弾みで、走る順番の前後が入れ替わっていたら、全く逆の結果に、あるいは、それ以上に青学がぶっちぎる結果となっていただろう、と思わせるほど、青学の各選手の走りが見事だっただけに、1つのブレーキが大きく結果を変えてしまう駅伝の怖さを、我々は思い知らされることになってしまったのである・・・。

ちなみに、自分の中では、ユニフォームがまだ空色だった頃の、往路に"超大学級”の選手を並べて古豪勢を食いにいっていた東海大の印象が強い。
あれよあれよという間に1区から首位を快走して初の往路優勝を遂げた2005年もそうだし、一番迫力があったのは、1区の佐藤悠基選手が2位に4分以上の差を付けて襷をつなぎ、続くエースの伊達秀晃選手も2区でほぼ区間賞の走りを見せて大量リードを保ったまま疾走した2007年だった。

一方で、それだけ爆発力のある選手を擁しながら、その後の区間でレースを面白くしてしまうのもこのチームの弱点だったわけで、2007年にしても往路5区の大失速により、往路優勝すら逃す結果となったし*4、伊達選手、佐藤(悠)選手が揃った最後の学年だった翌2008年は、両エースの踏ん張りで7区(この年は佐藤悠基選手が復路のこの区間に回り区間賞の快走を見せた)まで3位に粘っていたものの、8区、9区で失速した挙句、10区でアンカーの選手が転倒して棄権の憂き目に・・・‘’*5

その後も2年続けてシード落ちと苦戦が続いた後、2011年に当時の大エース・2年生の村澤明伸選手の17人抜きの快走と5区の早川翼選手の粘りで往路3位、復路でも粘って総合4位に入って一瞬復活の兆しを見せたものの、監督が新居利広氏から現在の両角速氏に代わった翌年には復路の失速で再びシード落ちし、2013年の大会にはまさかの予選会落選で連続出場記録までストップさせてしまう*6

5年前の第90回大会(2014年)で復活し、その翌年以降は4年連続シード圏内を確保。
戦術的にも、それまでの「往路一発」作戦から、力が拮抗した選手をうまく配置して復路でも順位を落とさないようにする作戦に切り替わりつつあったが、もがいている間に、かつての全盛期(2004~2008年頃)には常に一つ下のランクにいた東洋大や、その頃は出場さえしていなかった青山学院大が優勝争いの常連校に「成長」していく姿を目の当たりにさせられた関係者の焦燥感は察するにあまりあるところであった。

平行して懸命なスカウティング活動等を行ったゆえだろうか、2年前の第93回大会(2017年)では、補欠も含めた16名のエントリー選手の半分を「1年生」で固め、当日も往路で1年生4名を起用する策で青学に挑んだこともあった。
結果的には見事に打ち砕かれたものの、この時の1年生は今年のメンバーにも補欠を含めて7名エントリー、うち、1区の鬼塚選手(区間6位)を除き、実際に走った全員が区間3位以内の力走を見せており、経験が見事に生きた形になっている*7

ただ、高校駅伝の歴史に残る名将として母校に迎えられた両角監督にしてみれば、戦術の変更や先を見据えた選手起用が「分かりやすい結果」に結びつかない、という現実は実に歯がゆい状況だったはずで、レース前の「今年勝てなかったら来年も・・・」という言葉にもそんな思いが滲み出ていたから、今は積み重ねが実って本当に良かったですね・・・ということに尽きる*8

今回の優勝を機に、「青」が「深緑」に代わって新たに覇権を築くのか、それとも再び戦国時代に突入するのか、現時点では何とも予測できないところではあるのだけれど、両角監督にも、青学の原監督と同様に、「箱根が終わりではない」というポリシーは備わっているように見えるだけに、今回の東海大の優勝が「世界」を見据えた陸上界のレベルアップにつながることを信じて、新たな「名門」の登場を祝うことにしたい。

*1:あとで結果を見た時に一瞬誤報か?と思ったくらいのびっくりニュースだった。今年の対抗戦で明大に負けた、というニュースを聞いた時も、ん???と思ったのだが、やはりそれだけチーム力が落ちていた、ということなのだろう。決勝のカードは早稲田対帝京、そして早稲田が対抗戦の雪辱を晴らす、と予想していたが、結果的には全く「裏」のカードになった。

*2:今年はずっとテレビ中継ではなくラジオで聞いていたので、最後のゴールシーンで初めて見て一瞬違うチームが最終区で逆転したのか?と思うくらい衝撃を受けた・・・。学校のカラーに統一した、ということのようだが、伝統のある他校(順大、神大等)の色ともかぶるし、個人的には“らしくない”と思うので、できれば次のシーズンからは戻してほしい・・・。

*3:今シーズンブレイクした2年生で出雲、全日本とも区間賞を取っている選手。

*4:初代山の神・今井正人選手の4人抜きの快走があったとはいえ、東海大の選手も区間14位と大失速しており、“自滅”に近い形の敗北だった。

*5:往路優勝した次のシーズン以降、距離の短い出雲駅伝ではこのチームで3連覇を遂げているくらいだから、トップレベルの選手のスピードでは他の有力校には決して負けていなかったはずなのに、起用選手数が増え、距離も伸びる箱根駅伝になると、どこかで穴ができてしまう、というのがこのチームの最大の弱点だった。この時代で総合順位がもっともよかった年が、伊達選手らが入学する前の2004年(総合2位)だったというのも皮肉な話で(この年に目立っていたのは山登りの中井祥大選手くらいで、抜群に力が抜けた選手はいなかったと記憶している)、力が抜けた選手が入ったがゆえに、かえってチームとしてはバランスが悪くなったところもあったのかもしれない。5区に伊達選手を起用して失敗する等、選手起用も決してうまいチームではなかった。

*6:特に、2012年のシード落ち、2013年の予選会落ちは、両角監督自身の佐久長聖高校時代の教え子でもある村澤選手のコンディション不良とも重なっていただけに、「送り出す側」から「迎えて起用する側」に転じたがゆえの難しさも感じさせるエピソードとなってしまった。

*7:この時、5区の2桁順位でブレーキ役を演じた館澤亨次選手や、6区で順位を押し上げられなかった中島怜利選手が今回の優勝の立役者になっているし、この年に往路15位からシード権を取り返した7区以降の上級生の頑張り(石橋安孝選手(4年生)の4人抜き(区間賞)など。)も、昨年5位、今年優勝というプロセスにつながっている、と考えると、非常に感慨深いものがある。当時の感想については誰も止められなかった深緑。 - 企業法務戦士の雑感参照。

*8:どうしてもすべてのスポーツを監督目線で見てしまうのが最近の傾向で、それは駅伝とて例外ではない。

「占い」は外しても、読み外したくない時代の潮流。

新年、ということで、例年同様、元旦の朝刊の紙面は「今年の予測」を論じる記事であふれていた。
30年前は、ほとんどの人が確信していても口には出せなかった「改元」だが、今回は堂々と口に出せる、ということで「『平成』から新時代へ」というトーンの記事も多い。
ただ、あの時も1989年1月1日の時点で予測できていたのは「昭和天皇崩御」と「消費税の導入」くらいで、その後に世界を襲った大波*1や日本国内での政変*2まで予測することは到底不可能だった。

歴史は常に繰り返すもの、そして今年は今の時点で既に30年前を彷彿させるような不吉なキーワード(「改元」とか「消費税」とか・・・)が既に見えているだけに、また大きな変化、それも、保守層には決して芳しくない方向での変化が生じるような気がしているのだが、日経紙新年定番の「経営者が占う・・・」シリーズでは、どちらかといえば楽観的な予測の方が目立っている*3

この企画、昨年はどうだったか、と振り返れば、文字通り「占い」の域を出ておらず、特に株式相場の方は居並んだ経営者20名の予想は軒並み大外れ*4
昨年の元旦の時点では、足元の景気動向が堅調で悲観的になるような事情もなかったし*5、年初来高値を10月に更新して(24,448.07円)、わずか2カ月で年初来安値にまで落ち込む(12月、18,948.58円)という相場を読み切るのは不可能だから仕方ない面はある。

ただ、国内外の政治情勢を踏まえ「年後半に下落する」というトレンドを予測した経営者すらお二人(三菱地所の杉山博孝会長と日本電産永守重信社長兼会長)しかいなかった、というのは、所詮「占い」と考えてもちょっと不安は残るところ。

今年の予測を見ても、「IoT関連に高い期待」などという小見出しや「働き方改革関連銘柄に期待」といったコメントが目立つのだけれど、「AI・IoT」に関してはいろんな会社がここ1,2年で手を出したものの、既に技術的な「壁」に突き当たって“できること、できないこと”がかなりくっきりと浮き彫りになってしまっている、というのが率直な実感だし*6、「働き方改革」にしても、長期的な影響*7はともかく、短期的にはそこまで大きなインパクトを生じさせることは考えにくい。

そもそも、日本という狭い国の中でどういう政策が繰り出されようが、「米国対中国」という世界を二分する大経済戦争の前では全くといってよいほど影響力がない、という現実がある以上、無力感は漂うところではあるのだけど、間違いなく訪れるであろう10月の消費税増税とその前後に繰り出される景気対策のどちらが消費動向に影響を与えるのか*8、そして、それに付随して訪れる「決済環境の激変」*9が、個別企業の業績にどういうインパクトをもたらすのか、といったところの方に、むしろ注視する必要があるように思えてならない。

個人的には、今の“後世へのつけ回し&身の程知らず”な経済・財政政策の路線には、現政権ともども明確に終止符を打ってもらって、世界に吹き荒れる暴風をやり過ごすために、内向きといわれようがなんだろうが、日本国内ではとにかく「専守」に徹する国家運営に舵を切ってもらいたいものだと願っているのだけれど、そう簡単に政治体制を変えられないのであれば、(一人でも多くの雇用を守るために)せめて個別企業の経営だけでも、潮流を読んで、逆風を乗り切る手堅さで乗り切ってほしい、と僭越ながら願うばかりである。

なお、1年後に恥をかくことを承知で、自分の「占い」を挙げておくならば、ざっと以下のような感じだろうか。

・年明けから春先までは米中間の緊張緩和やハードBrexit回避(そもそも撤回もありうる)のムードが高まって相場的には上昇基調で推移。
・5月頃に一度調整の大波が来る(G20の動向次第では、6月にさらに下がる可能性も)。
・国内主要各社の第一四半期&通期見通しが出てくる7~8月頃(おそらく増税を見越した駆け込み需要で数字は予測より跳ねる)に再び上昇に転じる。
・消費増税を控えた9月に利益確定売りで一気に調整局面へ。
・10月以降は、実際の国内消費動向と、世界の動き次第。特に中国の建国70周年(10・1)に合わせて何が出てくるか、による。

「山」が3月~4月くらいで終わってしまうのか、それとも8月、あるいは10月以降に更なる盛り上がりが来るのか、というのは何とも言えないのだが、個人的には前半に山、後半に谷、と予測されている方々のコメントに親和性を感じている*10

そして、上値は願望も込めて25,000円台、下値は考えたくないけど、リーマン前の山(18,300円台)を割り込むことくらいまでは覚悟しておかないといけないかな、ということで、昨年以上に大きな波が来ることに半分脅えつつ、半分は期待しながら、新しい年のその他もろもろに思いを馳せることとしたい。

*1:東欧各国の「革命」からベルリンの壁崩壊、マルタ会談に至るまでの流れ。アジアでも天安門事件が起きたのはこの年である。

*2:リクルート疑惑の拡大に伴う竹下内閣総辞職に始まり、参議院選挙で自民党が大惨敗を喫したことが、その後の政界再編、非自民連立政権発足の契機となった、ということは改めて説明するまでもないだろう。

*3:日本経済新聞2019年1月1日付朝刊・第30面・第31面。

*4:金額レンジ的に一番近かったのは、唯一安値20,000円割れ(19,500円)と予測したセコムの中山泰男社長だが、その中山氏にしても、6月に最安値、その後12月に25,000円の最高値、という予測だから、これは当たったとは到底言えない。

*5:筆者自身、前年にほぼ的中させていた金川千尋信越化学工業会長の「高値28,000円」に乗っかっていたくらいだから、外した人たちを笑うのはお門違いというものだろう・・・「維新」も「革命」も、狙って起こすものじゃない。 - 企業法務戦士の雑感

*6:これらに限らず「Buzz」化したトピックに飛びつくのが危険、というのは長い歴史が証明してきたことでもある。「仮想通貨」ほどひどいことにはならないとしても、筍のように生えてきたスタートアップ企業とそれに対する大企業の投資ブームが突如として終焉を迎えるリスクは目の前に迫っているような気がする。

*7:立法者の意図に反して、人材の「二極化」と野心的な若者の国外流出という事態を招きかねないリスクをはらんでいる、ということには留意しておく必要がある。

*8:さらに言えば、ここ数年日本の消費を下支えしてきた周辺国からのインバウンド消費の増加基調が足元で揺らぎつつある中でそれを補うだけの需要を喚起できるのか。

*9:筆者は、今年末の時点でキャッシュレス決済の比率は50%近くまで爆発的に伸びる、と予測している。インターネットショッピングの普及やQRコードによるスマホ決済の普及等の前向きな要因もさることながら、現金しか使ってこなかった層の消費意欲・購買力の減少という社会的に見ればあまり芳しくない傾向の進展によって・・・。

*10:そういう意味では、今年も信越化学工業金川会長(4月に24,000円、11月に19,000円と予測)に「5000点!」(笑)。このトレンドで予測されているのは、それ以外では味の素の西井社長、大和ハウスの樋口会長くらいしかいないが、今年も「少数派」の方に分があるような気がしてならない。

「立法」の議論に参加する上で常に自覚しておきたいこと。

年末年始で少しまとまった時間が取れたこともあって、読もうと思って溜め込んでいた書籍やら雑誌やらにちょこちょこと目を通していたのだが、そんな中、近頃のモヤモヤした頭の整理にちょうど良い論稿を見つけたので備忘も兼ねてご紹介しておくことにしたい。

田村善之「知的財産法学の課題-旅の途中」 知的財産法政策学研究第51号1頁(2018年) 
https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/wp-content/uploads/sites/6/2018/12/51_01-%E5%B7%BB%E9%A0%AD_%E7%94%B0%E6%9D%91.pdf

田村教授が、知的財産法領域のテーマに関して、法解釈論はもちろんのこと、新たな制度設計のための「立法論」の観点からの意見提言も積極的に行っておられ、政策形成過程の分析等も取り込んだ「知的財産法政策学」を確立されて今日に至る、ということは、今さらご紹介するまでもないことだろうし、これまでに公表された著作、講演録の中でも田村教授の考え方は随所に示されている*1

今回ご紹介する論稿も、「講演録」の形式で、解釈論と立法論を融合させたこれまでの研究成果をコンパクトにまとめた体裁になっているものであり、これまでに様々なところで田村教授が発表してこられた内容から極端に何かが変わっている、というわけではない。

それでも、改めて読んで感じ入るところがあり、さらにここでご紹介しないといけないと思った最大の理由は、最近の審議会等での立法過程での議論を眺めていて、なんか雑だな・・・と感じさせられることが多くなったから、だろうか。

これは知的財産法領域に限った話ではないのだが、ここ数年、「結論ありき」に見えるような形で問題提起がなされ*2、制度を作ろうとする側もそれを阻もうとする側も、今一つ噛み合わない議論を繰り返した結果、いつの間にか新たな行為規制ルールができている、というパターンや、「本当に必要なの?」と思ってしまうような法改正要望に沿って立法に向けた議論が進められてしまう、というパターンが多くなっているような気がしていて、だからこそ原点に立ち返って考えたい、という思いに駆られたのだと思う。

論稿自体は非常に読みやすいので、ここで下手な紹介をするより、直接読んでいただくのが一番なのだが、自分がいつもキモだと思っているのは、知的財産法が扱う領域の”特殊性”とそれを自覚しない”ありがちな比喩”の危険性を指摘する以下のくだり。

「人の行為は多種多様に存在するところ、知的財産法はその中から類似するパターンを観念的に抽出して、それを無体物と名付けているのだと考えられます。つまり知的財産法が禁止しているのは、特定のパターンの人の行動にすぎないということです。」(前記10頁)
『知的財産』『知的創作物』というメタファには、実際に規制されているのは人の行為であるにもかかわらず、それが人の行為と無関係に切り離された、何かの客体であるかのような印象を人々に与えたり、あるいは人々が規制されている気がしないようにさせたりするという現実を覆い隠す効果があります。さらに言うと、ただ現実を覆い隠すだけではなくて、メタファによって人の行為から切り離されたうえに、それに『財産』とか『創作物』という言葉が与えられるために、そもそも他人のものだから、あるいは他人がつくったものだからという意識が醸成され、それによって(実態に何ら変化がないにもかかわらず)規制が受け入れられやすくなるという危険性もあるわけです。むしろ、私の理解では、知的財産権と呼ばれているものの実体は、政府による人工的な行為規制でしかないと思います。」(前記16頁、強調筆者)

もちろん、田村教授は「メタファを使う」ことの効用も指摘されているし、知的財産保護の背景に「自然権」的な発想を取り込むことも否定はされていない。
ただ、同時に「立法過程のバイアス」の問題もある中で*3、それを是正することの難しさも直截に指摘されており、「暫定的な対応策」の一つとして、「政策形成過程のバイアスに対抗するメタファやベイスラインを用いる」ことを提言した上で、

立法過程で「政府による行為規制」というメタファを選択して「知的財産権の規制を唱導する者の方が、公衆をしてそのような規制に対する得心を獲得させるためにより説得的な論拠を示す必要に迫られる」ようにする方が、「政策形成過程のバイアスと同一方向の認知バイアスを喚起する『知的財産権』『知的創作物』といったメタファを用いるよりはよっぽどましであるというのが私の考え方です。」(前記44~45頁)

とまとめておられる。

翻って現実を見れば、著作権の世界では先日のサイトブロッキングの議論がまだ記憶に新しいし、まもなくパブコメの募集が締め切られる「文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会中間まとめ」*4の中でも当然のように上記のようなメタファは使われているし、未だに「知財立国」の名残が残っている著作権以外の領域ではもっと乱暴な『権利保護』の発想が飛び交っている状況。

世の中の他の流れと同様に、それを一朝一夕で変えていくのは難しいとは思うのだけれど、知財(特に産業財産権)に関しては、そろそろ政策のベースラインからして変えていかないといけない状況に差し掛かっているように思われるだけに、今一度原点に立ち返った頭の整理をしておくとともに、常に様々なバイアスの間で「バランス」を取る、という発想を持ち続けていたいところである。

*1:特にまとまったものとしては夏休みに読んでみた本(その3)〜知財法分野を語る上で必読の珠玉の講演録 - 企業法務戦士の雑感参照。またその後、知的財産法政策学研究の第44号で「日本の著作権のリフォーム論」も公表されている(https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/wp-content/uploads/sites/6/2014/03/44_02-%E8%AB%96%E8%AA%AC_%E7%94%B0%E6%9D%91.pdf)。

*2:多くの場合、それに先行して観測気球が打ち上げられるのが常である。

*3:この点に関しては蘇った興奮〜「著作権研究」第39号を読んで。 - 企業法務戦士の雑感のエントリも参照されたい。

*4:内容はhttp://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000180847参照。多くの論点において「権利者保護」の視点が大前提としてインプットされ侵害者側の「悪質」さが強調されているがゆえに、規制手法の許容性に関する分析・検討が薄くなっている印象がある。またそもそも内容以前に、新年早々、一般企業では出社日が1日入るかどうかも分からないようなタイミングに締切を設定する、というのが何とも、な感じである(「文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会中間まとめ」に関する意見募集の実施について | 文化庁)。

新しい年に、新しい場所で最終章の始まり。

2019年という新しい年を迎えるにあたり、装い新たに「はてなブログ」に移行しました。
2005年8月の開設以来、「はてなダイアリー」で積み重ねた829,500強のアクセスを糧に、これからもうしばらくの間、「企業法務戦士の雑感」の最終章をお届けできればと思っています。引き続きよろしくお願いします*1

※本記事は固定エントリーです。新着記事は↓をご覧ください。

*1:これまでにいただいた「はてなブックマーク」は全て移行しました。また従来のはてなダイアリーの記事は、新ブログにリダイレクトされる設定にしています。

2018年12月&通年のまとめ

「今年も残すところあと数日」という時期になると、少しまとまった時間が取れるのと、1年間ブログの更新をさぼっていたことへの罪悪感から、急に思い立ってエントリーを上げ始める、という例年のパターンを繰り返し、今月はブログの移行作業と平行しつつ、最近の傾向に比べると少し多めにエントリーを残せた月となった。

ページビューは13,300強と4カ月ぶりの水準を回復し、セッション9,000強、ユーザー5,800弱という数字も先月よりは良い。
おそらく年が明けて最初の頃だけ集中的にエントリーを書き上げて、その後はまた辛抱の日々がしばらく続くことになるのだろうけど、それでも、開き直ったものの強み、ってやつで、平成最後の数か月を駆け抜けていきたいものである。

なお、今年は通年でAnalytics等を入れていたので、久々に単月と通年で統計を出してみることにする*1

<ユーザー市区町村(12月)>
1.→ 港区  732
2.→ 新宿区 663
3.→ 大阪市 638
4.→ 横浜市 439
5.→ 千代田区 302
6.→ 中央区 231
7.→ 名古屋市 203
8.→ 渋谷区 142
9.→ 世田谷区 138
10.→ 京都市 129

<ユーザー市区町村(通年)>
1.港区  8,778
2.新宿区 8,395
3.大阪市 8,282
4.横浜市 6,438
5.千代田区3,461
6.名古屋市2,889
7.中央区 2,592
8.渋谷区 1,974
9.世田谷区1,715
10.京都市 1,475

ここはもう完全にランキングが固定化した感じがするが、来年以降何かしらかの変化を期待するとしたら、文京区界隈からのアクセス数の増加くらいだろうか(笑)。
あと、僅かにカウントされている「日本以外の国からのアクセス」がもう少し増えるようなエントリーを書けるといいかな、という思いもあり*2

続いて検索アナリティクス。

<検索アナリティクス(12月分)合計クリック数 3,254回>*3
1.→ 企業法務戦士 115
2.↑ 東京スタイル 高野 40
3.↑ 読売オンライン事件 22
4.圏外企業法務 15
5.→ 矢井田瞳 椎名林檎 15
6.圏外2014 全日本フィギュア 14
7.圏外契約書 本 おすすめ 14
8.↓ 学研のおばちゃん 13
9.圏外プログラム 著作権 判例 13
10.圏外試験直前 勉強しない 13

単月では「企業法務」が久々に復活。「試験直前 勉強しない」ネタが出てくるのもこの季節ならではのことだな、と*4

一方、通年ではこんな感じ。

<検索アナリティクス(通年)合計クリック数 4.76万回>
1.企業法務戦士 1,469
2.企業法務戦士の雑感 272
3.企業法務 269
4.読売オンライン事件 212
5.tripp trapp事件 209
6.東京スタイル 高野 201
7.矢井田瞳 椎名林檎 186
8.霊友会事件 168
9.試験直前 勉強しない 167
10.つつみのおひなっこや事件 149

こうしてみると、やっぱり通年で「企業法務」で選ばれる記事を書き続けることと、最近遠ざかっている知財系裁判例関連へのコメントを再びアップすることが、再生に向けた第一歩(苦笑)なのだろう。

なお、「はてなダイアリー」から「はてなブログ」への移行が、上記のような統計値にこの先どう影響するのかは分からないけれど、自分の「書きたいことを書くべき時に書く」というスタンスは変わらない。あとは、その理想を少しでも現実に近付けられるように・・・。それだけである。

*1:一応数字を挙げておくと、年間ページビューは約19万2000強、セッション13万3000強、ユーザー7万4千弱である。

*2:米国、英国、台湾、シンガポール、ドイツ、香港、韓国、中国の順だが、長年の読者の中で今、海外を拠点に活躍されている人も増えてきているだろうから、より多彩な国・地域の顔ぶれが登場すると面白いな、と思うところ。

*3:エントリーアップ時点では12月29日分までしか集計されていないので、おって修正の可能性あり。→2019年1月2日修正済み。

*4:「直前には勉強しない」のすゝめ - 企業法務戦士の雑感は もう6年近く前のエントリーになるが、ここで書いた思いは今でも変わっていない。全ての「頭を使う試験」に共通するメソッド(?)だと思っている。

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