遥かなる大地に再び立てる日は来るのか?

日本では急スピードで収束に向かいつつある「新型コロナウイルス禍」。

あれほど猛威を振るった米国や欧州からも、ペースの違いはあれど、既に「制限解除」の声は聞こえてくるようになったから、気の早い株式市場が盛り上がるのもまぁ当然か、という状況ではある。

だが、今日の朝刊1面、まだまだ~という感じのニュースを見て思わず仰天してしまった。

「インド政府は17日、行動制限を含む都市封鎖(ロックダウン)を31日まで2週間延長すると発表した。3月下旬に始まった都市封鎖は感染者の少ない地域から段階的に緩和され、今回も長距離バスの運行が条件付きで許可された。ただ都市部を中心に感染者の増加は続いており3度目となる延長を決めた。」(日本経済新聞2020年5月18日付朝刊・第1面)

すっかり見慣れてしまった感染者数の「カーブ」が未だに天高く伸び続けているのは、決してこの国だけではなく、しかも、数で言えばロシアやブラジルの方が圧倒的に多い。

あの人口にして、まだ感染者数が10万人にすら届いていない、というのは検査体制等々を考慮しても、ちょっと少なすぎる気さえする。

ただ、個人的にこの国らしいな、と思っているのは、「封鎖」に向けて動き始めたタイミングだけで言えば、実はこの国、結構早かったのだ。

そうでなくても取得するのが面倒な訪問インド用のビザを一斉に「無効化」され、皆仰天したのは3月の初めのことだったし*1、3月下旬にはいわゆるロックダウン(都市封鎖)に踏み切っている。

まだ欧米ほどは感染者も出ていなかった状況で、日本より一足も二足も早い判断だったから、ここまではさすがだな・・・と思ったのだが、問題はそこから。

通常なら、都市封鎖して1か月を超えたくらいから、ちょっとずつ落ち着きを見せ始めても不思議ではないのだが、2か月近く経ってもまだまだ収まる気配が見えず、今回とうとう3度目の延長と相成った。

かつては頻繁に足を運んだこの国も、昨年は丸々一年足を踏み入れることなく過ぎてしまっていたので、本来なら今年のGWくらいには足を運んでいても不思議ではなかったのだけど、こんな状況ではとてもじゃないが無理。

・最先端のものに飛びつくのは早いが、それが隅々まで浸透する頃には進化が世界を一巡している。
・どこに行っても大抵人が集まってる。人口に比して人のいられる場所が狭すぎるから、大都市圏で「キープ・ディスタンス」と言ったところで象に平均台の上を歩かせるようなものだし、「ステイホーム」といったところでスラム街のバラック小屋の中は常に「密」。
・ことを進めるために汗をかく時間より議論する時間の方が長い。そして、その結果、何事も牛の歩みのようにゆっくりとしか進まない。
・おそらく議会でも現地のCNNの番組でも、連日、登場人物がしゃべり続けているだろうが、そうこうしている間に1か月、2か月、あっという間に過ぎていく・・・。

百家争鳴、議論こそ正義。究極の民主主義が徹底して貫かれているがゆえの悲劇というか喜劇というか。

自分がいつも現地で使っていたUberやZomatoのアプリからは、「エッセンシャルワーカー優先で」とか「グリーンゾーン限りの営業で」といったようなメッセージが時々飛んできて、それを見るたびに懐かしい気分になるのだが、こんな調子だと、半年後、1年後もまだ「禍」が現実的な脅威として続いていても全く不思議ではなく、異国の民が観光で足を運べるようになるのは、一体いつのことになるのやら・・・。

できることなら、これを機に「消毒」文化が一気に普及して、日本人出張者の3人に1人が腹をこわすような現地の諸々の環境が劇的に改善される、といった夢でも見たいものだが、それを確かめに行けるのも、まだまだ先のことになりそうである。


・・・と、いろいろと皮肉交じりに書いてしまったが、どこの国の人であっても命が尊いものであることに変わりはないのは当然のことだから、今はかの国でも、一人でも多くの命が救われますようにというのが一つ。

そして、最後に、定時株主総会の延期や、継続会に踏み切った会社の中に「インドの決算手続きの遅れ」を理由とする会社も多かった、ということを思い出しながら、もうこれ以上、財務、IR、そして総会担当者にご苦労がかからなければよいな、ということを祈って、このダラダラとしたエントリーの締めとしたい。

*1:なお、その後、先日の「無効」の話は無効、あくまで一時的な措置でした・・・的なオフィシャルリリースも出たようで、何ともこの国らしいというか何というか、である。インド ビザの一時無効措置に関する大使館からの案内 | 日本橋夢屋

走った、勝った、強すぎた。

タイトルからしてあまりにもベタで、仕事の前の日曜日の夜にやっつけで書いてるだろう、という突っ込みを受けそうだが(そしてそれも否定するものではないが)、正直、映像を眺め終わった後に、この標題の3つ以外に思い浮かぶフレーズもなかった、というのが正直なところである。

人気になるのは分かっていたし(単勝は断トツ1番人気の1.4倍)、これまでの実績からして頭一つ抜けている(目下GⅠ6勝、2018年の年度代表馬)ことも分かっていた。

だが、ドバイまでわざわざ遠征したにもかかわらず、新型コロナウイルスの影響でとんぼ返り、というアクシデンタルな臨戦過程だったり、昨年の安田記念のまさかの3着だったり*1、そして、この日一日、全く良いところのなかった鞍上ルメール騎手の出来だったり*2、と、そうでなくても人気馬嫌いの自分には、この断然人気に乗っかりたくない材料が多々あった。

そして、前年ワン・ツーを飾った5歳馬2頭のオッズ(レーン騎手が騎乗するプリモシーンが2番人気ながら7.5倍、前年優勝のノームコアに至ってはマイル戦で無敗、という実績があるにもかかわらず何と5番人気)や、今年絶好調のサウンドキアラの低人気ぶりを見たら、そちらの方に手を伸ばす理由も無数に存在。

だから、ゲートが開く前までは、組み合わせた馬券のオッズを眺めていろいろな妄想を膨らませて夢を見ることも可能だったわけだが・・・。


好位追走、直線で鞍上が激しいアクションをするでもない間にスルスルと前に出て、そのまま淡々と流すような走りで後続に4馬身差。

短距離の部類に入る1600mで、それもGⅠで、「4馬身」である。

しかもタイムは、前年のノームコアの驚異的なレコードに0.1差と迫る1分30秒6*3

昨年の勝ちタイムは、アエロリットの世紀の暴走で作り出されたハイペースが生み出したもので、上位5頭が1分30秒台、というところにもそれが如実に表れていたのが、今年のトロワゼトワルの逃げは”ミドルペース” で、ノームコアこそ辛うじて3着に食い込めたものの、ダノンファンタジー、プリモシーン、シゲルピンクダイヤといった、末脚自慢の猛者たちが脚を余す結果になってしまったような展開の中生まれたものだから、結論としては「一頭だけ次元が違った」というほかない。

これで国内のGⅠは6勝目、そして海外とタイトルと合計したGⅠ勝利数は、日本競馬の歴代最多に並ぶ7つ目となる。

まだまだ季節は春。この後、宝塚記念、そして秋のGⅠシリーズが待ち構えている中で遅かれ早かれ記録を更新する可能性は高いわけだが、レースそのものの、勝ちっぷりのインパクト、という点では今日の一戦を上回るまでのものはなかなか出てこないような気がするし、それだけに、今日、その瞬間を目撃できたことには深く感謝したい。

そして、これだけの馬に逆らうことの無謀さを改めて教えてもらえた、という意味でも、好日だったな、と*4

*1:マイルが向いていない、という見方もあるし、「ドバイからの直行」というローテーションがきついのでは?という見方もあったところだった。

*2:ここまで5レース、全て3番人気以内に支持されていながら一度も馬券に絡めず。特にキャロット勢の一騎打ちかと思われた3歳1勝クラスのレースでフォアシュピールを馬群に沈ませた騎乗は目を覆いたくなるようなものだった。

*3:完敗だった2着のサウンドキアラのタイムは、2018年以前なら間違いなく優勝できていたタイムだったりもする。

*4:もう、このアーモンドアイ様からだけでも、もう何度となく、数えきれないくらい教えていただいているわけですが。昨年の天皇賞(秋)のエントリーも参照のこと。強すぎる女傑と、またしても、の残念な結末。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

何が変わり、何が残るのか。~「コロナ後」に思いを寄せて。

日本のほとんどの地域でいともあっさり緊急事態宣言が解除され、首都圏でも「早ければ21日に」という雰囲気になっている、ということで、結構長く続いた「新型コロナ禍」もそろそろ終わりが見えてきたかな、という印象である。

「STAY HOME」の掛け声とともに過ぎていったこの数週間が教えてくれたことは、真に「密」な環境(特に居酒屋での大人数宴会やむさ苦しい通勤ラッシュ等)さえ封じてしまえば、あとは買い物でお店の中に行列ができようが、カフェに行って周りの客とすれ違おうが、一部のパチンコ屋がごった返そうが、パンデミックを引き起こすほどの感染拡大は起きない、ということで、決して「物理的に家の中に閉じこもる」ことが徹底されていたとは言えない環境の下でもこれだけの効果が達成できることが分かった、という点では、海外との比較で見ても大きな意義があったと言えるのではないかと思う*1

当然ながら、こと首都圏に関しては、感染判明者数がいかに少なくなったといっても、それはイコール「新型コロナウイルス保有者がいなくなった」ということでは全くないので、この先、既に指摘されているような”緩み”(特に「夜の街」方面の・・・)から局地的にぶり返しが生じる可能性も十分にあり得るとは思っているが、「これだけ言われてもなおリスク回避ができない人々の集団」というのは、少なくとも一般的なコミュニティからは既に隔絶され始めているような気もするので*2、影響は局所的なものにとどまるんじゃないか、というのが自分の読み。

もちろん、世の中的には”まだまだ”ムードで引っ張ろうという空気がそれなりに存在するし、そんな空気に合わせてやむなく・・・といった感じで、緊急事態宣言の一部解除が発表された14日には、経団連から「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン*3が公表され、さらに、各業界団体ごとの「業種別ガイドライン*4も続々と公表された。

業種別ガイドラインなどは、一部、「共通のテンプレートに乗っかっているだけ」で業界としての独自性が発揮されていないではないか、という突っ込みをしたくなるようものが見受けられなくもないのだが、それでも活動に様々な制約がある中で短期間で形になるものを作った、という事実はきちんと評価してあげないと中の方々も報われないだろう。

あと、政府やメディアから発せられる「オフィシャル」な空気とは全く別の空気感で動いている会社経営者も世の中にはたくさんいるわけで、

「緊急事態宣言が終わったら、直ちに全員出社させて火の玉営業させるぞ!」

みたいなことを本気で思っている人もいるだろうから、そういった旧態依然とした発想への「歯止め」として、こういった「きれいごと」が世にきちんと発せられるのは大事なことだと思う。


もっとも、自分は、今「新型コロナウイルス」がもたらしている”危機”は、対象が”未知”であるがゆえのもので、それだけに断じて軽視してはならないと思う一方で、その性質上”未曾有”のものでは決してなく*5、いつかは潮が引いたように姿を消し、忘れ去られるものだとも思っているから*6、最近あちこちで湧いている”With コロナ”的な議論には全く賛同しかねるし、「不可避的な行動変容を」といったキャッチフレーズにも首を傾げたくなる*7

経団連ガイドラインにも、

「従業員に対し、感染防止対策の重要性を理解させ、日常生活を含む行動変容を促す。」(強調筆者)

と書かれているとおり、「行動変容」はあくまで「感染防止対策」とセットで語られるべきもので、決して未来永劫続くことを想定すべきものではない。

だから、「2メートルを目安に距離を確保する」「入口に手指消毒液を配置する」「店に出入りする客の検温を徹底する」といった類の対応も、今行うべき対応としては全く異論はないのだが、それが、概して日本の社会、日本の組織にはよくありがちな、「一度始めてしまうと当初の目的から離れてダラダラといつまでも続いてしまう」とか、「自分たちで判断したくても批判が気になって戻せなくなる」といった悪弊の元で不合理な定着の仕方をしないようにこれから注意してみていく必要があるし、状況が変わってもなお世の中が”withコロナ”を脱しきれないようであれば、政府も専門家が、これまでの「警戒せよ」というメッセージと同じか、あるいはそれ以上のエネルギーを費やして「もう大丈夫」と言わなければならなくなることもある、ということは書き留めておくことにしたい。

「コロナ後」でも変わらない方が良いもの、変わらないでほしいもの。

さて、そうはいっても、この数か月の間に、現に世の中での仕事の進め方から日常生活に至るまで状況が大きく変わっている中で、終わった時に「全て元に戻る」のが良いことなのか、という話は当然出てくる。

メディアでもSNSでも、判を押したように「今が不自由」であることを前提とした議論が展開されているのだが、「そんなことないよ」という声も結構耳にはするわけで・・・。

先にこちらの話をするなら、自分としてはいつも使っていたカフェが軒並み休業していたり、営業時間が大幅に短縮されていたりするのが結構痛い。

こと日常的な仕事のやり取りや作業に関しては、既に1年前、いや、会社にいた頃から、「パソコン一台あればどこにいてもできる」態勢でずっとやってきていたし、効率的にも、それを物理的な「オフィス」でするか、そうでないところでするかによって差が出ることは全くない*8

ただ、最近は「やり取り」や「作業」を超えて、もうワンステップ上の「考える」作業をするときには、「第三の場」が必要だな、ということを痛感させられることも多いわけで、「コロナ以前」に20年近く定番化していた、一人でカフェなり、バーなりに行って思考を巡らせる、というスタイルが使えなくなってしまったことで、滞っている仕事があることは白状しなければならない*9

そして、仮にこの先日常が戻ってきても、「withコロナ」的発想で、営業時間の短縮が継続されてしまったり、「席数削減」が固定化されてしまったりすると、当面は「カフェ難民」「バー難民」状態が続くわけで、決して未来は明るくないということも気がかりだ。


・・・と、自分も”無傷”ではない、ということは一応アピールしてみたものの、誰から指摘されるまでもなく、そんなの大した話じゃないだろう、ということは自分でも良く分かっている。

逆に言えば、困ることなんてそれくらいしかない

これが仮に、電子メールが普及しておらず、Web会議システムなどというものはもちろん、インターネットを通じた資料収集すらままならないような時代だったとしたら、「こんなんで仕事できるか!」とブチ切れていたと思うけど、今はもうそんな時代ではない。

必要なことは必要なツールを使って淡々と進められるし*10、不要な営業の電話とか強引なアポ入れは激減した*11、となれば、どこに不満を抱く必要があるのだろう、というのが素朴な思いだったりもする。

電車に乗ってちょっと移動しただけでも汗が噴き出してくるこれからの季節、ウイルスだけでなく人間だって暑さには弱いのだから、仮に感染症対策の必要が薄れたとしても、極力移動のストレスなく過ごせる世の中ではあり続けてほしい、ということもついでに申し添えておかないといけない。

もちろん、会社の中を主戦場としている方々はそう簡単には割り切れないだろうな、ということは百も承知で、特にマネジメント層にとっては、今の「ひたすらリモート」という状況は正直苦しいだろうな、と思う。

この点に関しては、既に様々な意見が飛び交っていて、中には「管理的業務をなくす」といった提案も出ていたりするのだが、自分自身の経験から言えば(些末な実務のあれこれに責任を持たないシニアレベルのマネージャーや、一人ひとりが自律的に、”隙間をなくす”ことも含めてきちんと立ち回れる優秀な部下が揃っているマネージャーであればともかく)、一般的にかかる負荷、特に、飛び込んできた仕事の割り振りや、進捗管理、メンバー間の調整、といったマネージャーとしての仕事の負荷は格段に増える

今までならちょっと声をかけて、顔色を見ながら様子を探れた話を、何らかのコミュニケーションツールを使ってやらないといけなくなるのだから、まぁそれも当然のこと。

「コロナ以前」も、長期出張中とか、長期休暇中などにメールベースで指示をしないといけない時に、雑な指示をしたために大きな手戻りを招いてしまう、ということは誰もが一度や二度は経験したことがあったはずだし、かといって過度に細かくすればよい結果になるか、と言えばそうでもない(だが、遠距離移動に時差ボケ、ミッションの準備等々で、そうでなくても疲れきっている自分の時間は確実に食われる)。

だから、そういう時は決まって、「戻った後に打合せしましょう」とお茶を濁して先送りする、というパターンが多かったのだが、今の状況だと、その「後」がいつになるかもよく分からないから、何らかの形でクリアにしておかないと、後々よりキツイ事態になる可能性も否定できない。

日頃からきちんと仕事の捌き方、「法務」として出すべき答えの組み立て方、そして、その先の進め方を自分の頭で考えて行動できている人は、リモートでやり取りしていても、きちんとコミュニケーションがとれるし、事細かに指示を出すまでもなくベストな方向に仕事を持っていってくれる。

難しいのは、世の中そうではない人の方が多い、ということで、特に待遇的には恵まれた大企業でその代償として「総合職」として頻繁な異動を経験し、今自分がやっている仕事に関するスキルもそれに対する意識も中途半端なままそこそこ背丈が大きくなってしまったような人が、ノリと献身性アピールだけで泳いできた「職場」から切り離されてしまうと途端にやることがなくなってしまう、という事態は十分考えられるところだし、逆に、組織の中で仕事をした経験の浅い「プロ」がそれまで明に暗に組織との”つなぎ”をしていた周囲のメンバーから切り離されてしまうと、途端に仕事のマイペースぶりが際立ち、無駄なハレーションを引き起こす可能性が出てくることも否定はできないだろう。

いくら「これはオーケストラじゃない、即興のジャズセッションなんだ!」と言ったところで、曲がりなりにも部門としての看板を背負っている以上、「音楽」にならない状態のものを外に向けて出すわけにはいかないわけで、真摯に部門マネジメントに取り組んできた人であればあるほど、悩みは尽きずストレスもたまる一方ではないかと推察されるところなのであるが・・・。

*1:そして、これだけ感染が広がっても、死亡者数をこのレベルに食い止められているこの国の臨床現場の水準の高さと、医療従事者の方々のこれまでのご尽力には、心から敬意を表するほかない。

*2:各職場ではもちろん、家庭でも・・・?

*3:www.keidanren.or.jp

*4:https://corona.go.jp/prevention/pdf/guideline_20200514.pdf

*5:今の新薬開発の技術水準や、世界中の医療専門家が同じテーマに向き合う中で生まれる知見のレベルを考えれば、ペストやスペイン風邪の時代と比較すること自体が失当だと思うし、年内には一定の「処方箋」が示されて”(普通の)インフルエンザ化”する話だろうと思っている。

*6:長年、原発事故がもたらした災厄に苦しめられている浜通りの姿も見てきているだけに、それとの比較ではなおさらそう思う。

*7:ちょっと厳しい言い方になるかもしれないが、一連のコロナ禍が問題になり始めた頃に「こんなの大したことない」「何で自粛しなきゃいけないの?」みたいなことを言っていた人たちがコペ転して、「これからは世の中変わるんだ。俺たちは変わるからお前らも変われ!」的なことを言っているのを見てしまうと、どうしても付き合い切れないな、という気持ちになる。もちろん、これだけ多くの人たちが罹患して苦しみ、近年の災害と比べても決して少なくない数の犠牲者まで出ている中で、未だに「もともと大した話じゃないんだから、さっさと俺のやりたいことやらせろ」みたいなことを言っている人々よりは数段マシだとは思うけど。

*8:というか、この点に関しては、多くの人が指摘するように、何かとノイズが入ってくる「オフィス」の方が遥かに効率は落ちる。

*9:特に書き物系・・・。お待ちいただいている方々には謹んでお詫び申し上げます・・・。

*10:個人的にはいくらWeb会議のツールが充実しているからといって、フルリモートの環境下でこれまでと同じように自部署内での「会議」や「打合せ」を漫然と行う必要はないと思うし、特にこれまで「情報共有」のためだけに貴重な時間を費やしていたような職場の方は、そういうのを全部いったんやめてみて、「どうしても必要なものだけ」Webベースに戻していく、ということでよいのではないかと思ったりもするだが・・・。

*11:今、世の中、クラシックカンパニーから一見最先端を行っているように見えるIT系企業まで「営業ができない」という声をしばしば耳にするのだけど、もうこれまでのような「相手の時間を奪う」対面営業とか、アポなし電話で捕まえる営業のようなものは、コロナを機に一掃されてしまえ!というのが偽らざる思いで、それまでそこに費やしていたリソースを訴求力のあるプロダクトの開発と、関心を持って飛び込んできた人への手厚いフォローに回すだけで世の中の生産性が激変すると自分は思っている。

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省令改正を待ちながら・・・。

4月以来、全国に発令されていた「緊急事態宣言」が、遂に39県で解除されることが決まった。

もしかしたら、一足早く自分の居住エリアの解除が決まって喜んでいる人も多いのかもしれないが、今日までの感染者判明数(そしてその前段の相談件数等)の揺れ具合を見ても、東京近郊は決して新型コロナウイルスを”鎮圧”できている状況とは言えないわけで、住民としては「まだ続いてくれて助かった」というのが本音だったりもする。

言うなれば明日以降始まるのは、既に制限解除→第2波のぶり返しに襲われている海外の国々より、もっと近いところで行われる一種の社会実験。

もちろん、犠牲者がこれ以上増えないことを願ってはいるものの、一部の地域では、早まった「経済重視路線」に釘を刺すようなインパクトが生じる可能性も薄らぼんやりと想像できるわけで、こちらとしては、とにかく最後まで油断するな、と念じながら、これまでどおり、しのいでいくしかないのだろうな、と思っている。


で、そんな前振りはさておき、今は既に木曜夜の深夜、ということで今週も残すところあと1日。

そして、週初めに公式のWebサイトにアップされて大きな話題となった「法務省令改正」*1のために残された日もあと1日、ということになる*2

法務省の「公約」どおりだとすれば、おそらく明日改正省令が署名され、即日公布、ということになるのだろう。

ただ、一方で明日は決算発表が一つのピークを迎える日でもあり、そのことはすなわち、決して少なくない3月期決算会社が、決算発表の承認に合わせて定時株主総会の開催方針や議案の内容まで決定するために取締役会を開催する日でもある、ということになる。

そこで頭に浮かんだのが、

「仮に明日改正法務省令が即日公布されるとして、明日の10時からの取締役会での総会招集手続に関する決議を予定している会社は改正後の法務省令の恩恵を受けられるのだろうか?」

ということで、この論点に関しては、ちょうど最近、参議院法制局の方が書かれたと思われるコラムを見つけて、ああそういえば・・・と懐かしい議論を思い出したりもしていた。

houseikyoku.sangiin.go.jp

まぁ、実のところ、明日の時点で監査法人のレビューまで終わった状態(あるいは、少なくとも決算短信には目を通された状態)で決算発表できるような会社であれば、改正省令の特例を使わなくても、計算書類を(印刷された)招集通知にしっかり載せて手続きを進めることができると思われるし(この点については先日のエントリーでもコメントしたとおりである)、そもそも、大きな会社になればなるほど、取締役会に付議されるような(しかも「株主総会」レベルの)大きな話となれば、下は、関係する部署の課長、次長、部長、担当役員から、上は社長、会長、相談役に至るまで、何日もかけて根回しをするのが常だから、「今週ポンと出た話で、今日施行されたから、じゃあそれに乗っかろう」ということには基本的にはならない*3

もちろん、したたかな担当者なら、この情報を察知した時点で、瞬時に事前の説明資料に「プランC」を潜り込ませ、明日の朝一番で資料を差し替える、という離れ業をやってのける可能性も皆無ではないから、そこはちょっと注目しながら見ていきたいところなのだが果たしてどうなるか・・・。

ちなみに、もしかしたら明日以上に決算発表した会社が多かったかもしれない今日(14日)は、4社から延期、2社から継続会のリリースが出されていた。

そして、個人的にはその中の一社、東証第二部上場の玉井商船㈱という会社が出されたリリース*4の以下の一節がとても印象に残ったので、ここでご紹介しておくことにしたい。

「新型コロナウィルスの感染症の感染予防・拡大防止の為、株主様の安全を第一に考えた結果、本日開催の取締役会において、6月に開催を予定しておりました定時株主総会は、継続会の実施ではなく、延期することとし(以下略)」(強調筆者)

どの会社もそうだと思うが、おそらくこちらの会社も、計算書類の確定が5月中には間に合わない、ということが見えてきた段階で、「継続会」方式にするか、「延期」にするか、喧々諤々で議論されたのだろう。そして、最後は「6月に会合を開くことのリスク」を考慮した上で、「延期」という判断をしたのだろう・・・ そんな光景が思い浮かんで来るような、起案者の思いが滲み出たリリースのように自分には思えた。

「緊急事態」は明けても、依然として「平時」ではない状態で行われる年に一度の大一番。

これまでのエントリーでも繰り返し申し上げてきた通り、会社の数だけ「個性」が顕れ、そしてドラマが生まれる。

6月総会の会社(6月総会になるはずだった、という会社も含め)の関係者の方々にとっては、これからまさに、「筋書きを作るための、筋書きのない苦しい戦い」を迎えることになるわけだが、最後はちょっとでも満足できる形で終われるように、そして、その頃には、「終わった後にその辺で気持ちよく一杯」ができるような世の中が戻っていることを願ってやまない。

*1:内容についてはこちらのエントリーを参照のこと。「延期」か「継続会」か、それとも「予定どおり」か? 6月定時株主総会をめぐる瀬戸際の攻防。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*2:既に2020年5月15日の午前1時40分になろうとしている時間帯だが、こちらの法務省のページ(法務省:定時株主総会の開催について)は、5月12日の更新時からリニューされていない。

*3:この点については、川井信之弁護士のブログ記事の中でも「6月総会の会社さんにとっては、どこまで意味のある改正なのでしょうね(念のためですが、批判ではなく、単純な疑問です…)。時期的に言って6月総会の会社さんにはちょっと間に合わなかった改正のようにも思えなくもないですし…」というつぶやきが発せられている(法務省、「定時株主総会の開催について」を更新、ウェブ開示の範囲を時限的に拡大する省令改正を告知 - 弁護士川井信之(東京・銀座)の企業法務(ビジネス・ロー)ノート)。車が急に止まれないのと同じで、大企業が急な方針転換をするのは至難の業。それならその前に決めていた方針通りに延期なり継続会なりの方針で淡々と進める会社の方がおそらく多いはずである。

*4:http://www.tamaiship.co.jp/kabunushisoukaienki20200514.pdf

「延期」か「継続会」か、それとも「予定どおり」か? 6月定時株主総会をめぐる瀬戸際の攻防。

GWが明けて、止まっていた時計の針が一気に動き出したような気がする。

街に繰り出す人の数は確実に増えた。

「緩んでいる」という見方をする人はいるだろうが、暫しの「接触8割減」の時を経て街中での現実的な感染リスクが下がっているのも間違いないところで、「大人数で飲み会をして騒いでいる」といったような愚挙を冒さなければ、もはや非難されるようなことではない、ということもできるだろう。

そして、今週に入ってからは、決算発表延期のリリースが出る一方で、「遅れてきた決算発表」も続々と行われている。

今開示されている決算は、あくまで「今年の3月まで」の数字でしかないから、それだけで”新型コロナウイルス禍”全体のインパクトを推し量るのは難しいし、僅かに手掛かりになりそうな「今期の業績予想」も多くの会社は「未定」となっているから、メディアも市場もおそるおそる雰囲気を探っている感じなのだが、そこで数字をドカンを出してきたトヨタ自動車はさすがというほかない*1

営業収益約20%減、と聞けばそんなもの?という感じだが、その数字は約6兆円。日本のほとんどの会社の年間売上高を優に上回る。

逆に営業利益△79.5%と聞くと一大事だが、それでも残っている数字は5,000億円。対前年比で利益を倍増させても到底届かない、という会社は山ほどある。

まだこの先が何も見えていない状況、すごく悪くなる可能性もあるけど、V字反転する可能性もある、という今の段階であえて予想を立てる背景には様々な思惑もうかがえるわけで、取引先や系列企業といったところから、社内各部門や労働組合、さらにはお上に対してもプレッシャーをかける強烈な武器として使えるだろうな・・・という邪推もどうしても出てきてしまったりもするのだが、ベストシナリオであれ、ワーストシナリオであれ、「思い切って今予想を示す」ことの大胆さは、素直に評価されるべきことではないのかな、と思って眺めたところであった。

法務省が踏み切った「英断」

さて、そんな状況の中、まだ決算の数字が固まらない、とか、社内的には固まったけど監査法人のレビューが・・・といったところでやきもきしている関係者には極めて朗報、と思われるお知らせが法務省から発出された。

www.moj.go.jp

このページ自体は2月末から開かれていたのだが、今日付けで更新された以下の内容が、あまりに画期的だったのだ

「6 今般のコロナウイルス感染症の拡大により,株式会社の決算,監査業務に遅延が生じることが懸念されていることを踏まえ,緊急的かつ時限的な措置として,会社法施行規則及び会社計算規則を改正することとしました。具体的には,従来,定時株主総会の招集の通知に際して書面により株主に提供することが求められていた貸借対照表損益計算書などについても,一定の条件の下,所定の期間,継続してインターネット上のウェブサイトに掲載し,そのURLを株主に通知すれば,株主に提供されたものとみなすこととします。改正省令は,今週末を目途に公布し,即日施行することを予定しております(令和2年5月12日現在)」(強調筆者、以下同じ)

リンク先のPDF(http://www.moj.go.jp/content/001319738.pdf)には、予定されている省令改正の内容がより丁寧に書かれているのだが、「改正によりウェブ開示によるみなし提供制度の対象となる事項」の記載がふるっている。

⑴ 株式会社が事業年度の末日に公開会社である場合において事業報告に表示すべき事項のうち「当該事業年度における事業の経過及びその成果」会社法施行規則第120条第1項第4号)及び「対処すべき課題」(同項第8号)
貸借対照表及び損益計算書に表示すべき事項

従来認められているインターネット開示事項との関係で、「事業報告に載せなければならないものとして何が残ったのか」ということを条文を引きながらもれなく丁寧に説明しようとすると、朝までかかってしまいそうなので、どなたかがきれいにまとめて下さることを期待してあえて書かないが、ざっくり言えば、印刷して送付する事業報告には、「あらかじめ準備できる定性的な事項」だけ書けばよい、ということになるのは間違いない。

別にコロナなんてなくても、カレンダー上の「校了期限」の日付を見つめながら、「早くこのブランクになっている数字のところ埋まらんかな」とイライラさせられた記憶のある総会担当者は多いはずで、そのイライラを「印刷スケジュール」から切り離せる、というだけで、総会準備のスケジュールは劇的に変わる。

おそらく、各所の要望等も踏まえて、法務省が切ってきた「ジョーカー」のようなこの改正。

恩恵を受けられるのは「施行の日*2から6か月以内に招集の手続が開始される定時株主総会」だから、頑張って今週前半に決算発表を間に合わせ、合わせて総会の日程や提出議案まで取締役会で決議してしまった会社は、逆に「紙の招集通知のスリム化」の恩恵にあずかれないことになるのだが、今回の省令改正はあくまで非常手段。今の段階で決算が事実上確定している会社であれば、これまでどおりきちんと招集通知に事業成績を掲載し、計算書類も載せて送る方が、株主の利益には資すだろう、という話なわけで*3、そこはさすがにやむを得ないのかな、と思うところはある。

ただ、繰り返しにはなってしまうが、今まさに、監査の進捗状況をハラハラしながら見つめている会社、もしかしたら、デッドロック下にある海外拠点での決算整理をまだ待っているかもしれない会社にとっては、計算書類、監査結果報告まで含めて当初のスケジュール通りに定時株主総会を行える可能性が上がった、という点で、この省令改正は間違いなく福音なわけで、タイムリーにことを運ばれた関係者に対しては、心から称賛の意を表したいと思っている。

次々と繰り出される現場の知恵

で、そんな状況の下、本日もいくつかの3月期決算会社から、様々なパターンの「株主総会開催方針」が示された。

すっかり”王道”になりつつある「基準日変更」(開催延期)で対応した会社は、自分が確認した限りでは3社あったが、いずれも「配当基準日については変更なし」ということで、株主への影響を最小限にとどめられるがゆえの選択だろうと思われる*4

また、ここ数日増えている「継続会」を実施する方針を示した会社は3月期決算会社では1社*5

興味深かったのは、取締役の選任を当初総会の方で行うことを想定しつつ、就任の効力発生は「継続会終了後」を予定している旨まで公表している、ということ*6

当初総会と継続会が一体のものであることを考えると筋の通った対応ということになると思うのだが、この点に関しては「当初株主総会の時点で選任(退任)の効力を生じさせる必要性」の指摘もなされているところではあるので*7、他の「継続会」採用会社がどういう対応を取られるのか、というところも併せて注目したいところである。

一方、今日は、これまでになかったパターンを採用する会社も登場した。

1つは、6月中に予定されている定時株主総会で剰余金処分、取締役・監査役の選任を決議事項とした上で、「臨時株主総会」において事業報告、計算書類報告等を行う、という方針のリリースである*8

この「2回開催」方式は、先日のエントリー*9でご紹介した柴田弁護士の論稿*10の中でも選択肢の一つに挙げられていたものだが、本当にこのパターンをとる会社もあるのだなぁ、と素直に感心している。

2度も基準日を設定(公告)し、2度も招集通知を送付することが義務付けられ、当然会場も2度用意しなければならない、という点で、実務上のハードルはなかなか高いのかな、と思っていたのだが、「定時」総会と「臨時」総会がそれぞれで完結している分、最初の総会での議事運営等に過度に神経を使う必要はなくなるし、役員選任・退任の登記のタイミングや、各総会での説明義務の範囲等に関しても、両総会が「一体」でない分、クリアになる点は多いから、「2度」行う労力をいとわなければ、このやり方も十分合理的な選択肢ということになり得るのかもしれない。

そしてもう1つ、これは、自分も見た瞬間におおっ、と思ったのだが、「定時株主総会の開催期日を基準日+3か月のギリギリのところに設定する」という選択である*11

有価証券報告書の提出期限が厳格に決められていた時は、ほとんどの会社が選択しなかったであろう「6月の最終日」という究極の日程の選択。

そして、5月29日という決算短信の発表予定日から推し量ると、おそらくこれまでの実務スケジュールでは、招集通知の作成も一日たりとて無駄にはできないくらいのギリギリの工程になっていたはずである。

幸いにも、既に取り上げた法務省令の改正により、数字が絡む書類をすべてウェブ開示に回すことで、多少負担が軽減される部分はあると思われるのだが、なかなか痺れる対応であることに変わりはない。

以上、それぞれの会社の中で繰り広げられた議論や、それぞれの会社のご担当者の思いなどを考えると、あまりにあっさりと取り上げすぎではないか、とお叱りを受けそうなエントリーとなってしまったが、各社のリリースから、「非常時だからこそ出てくる実務の知恵」を感じ取る、というのは、実務家としても本当に勉強になるわけで、いよいよこれから3月決算各社による定時株主総会開催決議が本格化していく中、そういった各社の叡智を引き続き堪能させていただければ、と思っているところである。

*1:内容はこちらの「決算要旨」(https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/financial-results/2020_4q_summary_jp.pdf)を参照のこと。

*2:前記法務省のウェブサイトでのお知らせによると「今週末に即日施行」とされている。

*3:もっとも、今般の会社法改正でそれもいずれは「昔話」になるのだろうけど。

*4:このうち凸版印刷㈱は、変更後の基準日だけでなく、延期した後の開催日程まで用意周到に公表されており、この辺はさすがというほかない。https://ssl4.eir-parts.net/doc/7911/tdnet/1826226/00.pdf

*5:㈱パイオラックス、https://www.piolax.co.jp/jp/wp-content/uploads/2020/05/20200512-1_news.pdfのリリース参照。

*6:https://www.piolax.co.jp/jp/wp-content/uploads/2020/05/20200512-3_news.pdf

*7:雪解け過程での「継続会」判断はあり得るか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*8:ダイセルhttps://www.daicel.com/news/assets/pdf/20200512.pdf

*9:雪解け過程での「継続会」判断はあり得るか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*10:https://www.shojihomu.co.jp/documents/10452/11515236/shiryo434_2.pdf

*11:㈱ぱど、 https://www.pado.co.jp/cms/uploads/2020/05/12151511/1654f35ccb3326b6a48642dd44e37f22.pdf

どれだけ手綱を取る者が変わっても。

「無観客」のまま、いよいよ本格的な春のGⅠシーズンがフィナーレに向けてのラストスパートに入った。

ここ数週間くらいは、中央のレースであまりに結果が出ないために、12レースまで終わった後に(あるいは翌日に)地方競馬にまで手を出す、という愚挙を冒しているのだが、どの競馬場でも淡々とレースが行われ、普段と変わらない実況が流れ、でも映らない観客席、そこには誰もいない。という予定調和的な光景があるわけで、正直この世界に関しては、何が「正常」だったのか、ということさえもう忘れかけてしまっているのだが、まだまだ油断は禁物。何とかダービーまでは無事たどり着けることを願っている。

さて、今週は、6週連続GⅠの2週目。NHKマイルカップ

3歳牝馬たちが「桜花賞を最後に道を違える」という路線は、もうすっかり定着してきたような気がするし、牡馬勢も、これまでなら皐月賞トライアルになるはずだった毎日杯スプリングSからこちらに直行する、という路線がだいぶ板についてきた印象を受ける。

ノーザンファームを中心とした大牧場産の馬が、ビッグレースでどうしてもかち合ってしまうがゆえに、1頭でも多くGⅠタイトルを取らせるために”棲み分け”を図る必要がある、といった大人の事情は見え隠れするとしても、それぞれの馬がもっとも得意な分野でパフォーマンスを競い合える環境が整ってきた、と考えれば、それを一概に批判する必要もないような気がする。

スピード勝負のマイル路線、しかも3歳前半のレースで仕上がりが早かった馬に有利、ということになれば、当然「巨人」ノーザンファームの生産馬が18頭中半数を占める、という事態にもなるわけで、さすがにそこはもう少し多様性があっても良いと思うところだが、裏返せば、一時に比べると「マル外」をほとんど見かけなくなっても、このレースが高いクオリティを発揮できている背景には、スピードを磨き上げた一流牧場出身内国産馬の活躍もあるわけで、レースが面白ければそれでいい、というのが行きつく結論だったり・・・。

結果的にレース前の予想では、桜花賞2着馬・レシステンシアを筆頭に、2番人気・タイセイビジョン、4番人気・ルフトシュトローム、5番人気・サクセッションとノーザンファーム勢が人気上位もほぼ独占。

自分はひねくれて、この流れに一石を投じようと思ったものの、今回のメンバーで日高地方や、浦河・新冠エリアの生産馬に手を出す勇気はなく、3番人気・サトノインプレッサ(千歳・社台ファーム)を本命に指名する、という本当にささやかな抵抗を試みるのが精いっぱいだった。

サトノインプレッサを指名した理由はもう一つあって、それは、武豊騎手を擁して制した毎日杯のレースぶりがかなり惚れ惚れするものだったから、というのもある。

もちろん、武豊騎手といえば、桜花賞でレシステンシアに騎乗し、同じ逃げでも前走(チューリップ賞)とは全く次元の異なる魅力を引き出した実績もあったから、そっちに乗る姿を見たかった、というファンは多かっただろうが、こちらは結局ピシャっとルメール騎手に乗り替わり*1

アーリントンカップ馬とニュージーランドトロフィー馬の両方の手綱を取っていた石橋脩騎手は、前者、朝日杯FS武豊騎手の騎乗で2着に入ったタイセイビジョンに乗ることになったのだが、後者・ルフトシュトロームにはすかさずレーン騎手を騎乗させるのだから、やはり隙はない。

本来であれば、自分はレースごとに鞍上が乗り替わるような展開は決して好ましくないと思っていて、強い馬であればあるほど、極力長く同じ騎手とコンビを組んでほしいな、と思っている人間ではあるのだが、今回ばかりはまぁ仕方あるまい、と腹を括るしかなかった。

で、ゲートが開けば、鞍上が変わっても引き続き水を得た魚のようにスイスイと逃げたレシステンシアを、ラウダシオン、タイセイビジョンという馬たちが追走する展開に。

そして、最後の直線で満を持して前を捉えに行き、レシステンシアをねじふせたラウダシオンが、第25回のこのレースのチャンピオンとして名を残すことになったのである。

1着と3着(ギルデッドミラー)に「シルク」の馬が入り、2着は「キャロット」と、ノーザン系の一口馬主クラブが上位を独占、さらに勝ち馬を除く2~5着はノーザンファーム生産馬。レース後に見慣れた勝負服の馬たちが上位を独占しているのを見て、「これこそが今の日本馬産界の縮図」と思わずにはいられなかった。

ただ、強いて違いを挙げるなら、ラウダシオンの生産牧場は社台系でも「社台コーポレーション白老ファーム」であること、加えて、種牡馬が昨年デビュー組が初年度産駒となるリアルインパクトで、桜花賞を産駒が制したエピファネイアと並んで「来たれ世代交代!」を強く意識できるような血統でもある、ということにも一応言及しておきたい。


ちなみに、昨年に続いてNHKマイルC連覇を達成する、という栄誉に輝いた騎手は、ここ2走ほど武豊騎手が手綱を取っていたラウダシオンの手綱を引き受け、レースでの騎乗は初めてだったこの馬できっちり結果を出したミルコ・デムーロ騎手

ここしばらく「不振」と言われながらも、こういう大きいレースではきちんと結果をだしてくるところはさすがの一言だし、乗り替わりが多かった今日のレースの中でも(前走と同じ騎手が騎乗した馬はわずか6頭)、結果的にはもっともよい馬を引き当てることになったのだから、まだまだ終わった騎手ではないな、ということも改めて感じさせられた次第。

一方、武豊騎手にとって、「手放した馬が1着、2着」という今回のレースは本当に気の毒というほかない。

今年ここまで好調で現在でもリーディング3位に付けている状況に変わりはないのだけれど、今回の「選択」が運気を変な方に持っていかなければよいけどな、と願うばかりである。

*1:ここで北村友一騎手に手綱を戻す、という”情”的な判断は決して行わないのがノーザンのノーザンたるゆえんだろう。

雪解け過程での「継続会」判断はあり得るか?

首都圏ではまだ一応「STAY HOME」は続いているようなのだけど、GWからの流れを引き継ぐかのようにじわじわと日常が戻りつつある。

先日のエントリーでも書いたとおり、大手の系列のカフェや飲食店は相変わらずシャッターを下ろしたままだが、個人経営の小規模店は徐々に店を開け始め、一時期に比べると「自分の時間」を楽しめる場所が家の外にちょっとずつ広がってきたのはありがたい限り。

今、日本より一足早く”緩めた”国々で起きているように、おそらくこの先も突発的なクラスタ発生のニュースがメディア上で踊ることはあるだろうし、今、生死の境を彷徨っている方々の訃報に接する機会も決して少なくないのだろうが、全体としてはたぶんこのままなし崩し的に「正常化」が進み、夏の盛りを迎える頃には「そういえば、数か月前は・・・」ということになるのだろうな、という気がする。

ここ数日は、一部の自治体で具体的な給付金の申請手続が始まった、というニュースを聞きながら、「そういえばマスクも街中で手に入るようになったタイミングで届いたんだよな・・・」と底意地の悪いことを考えてしまったりもしたのだが、一方で日弁連から「法律事務所が利用可能な新型コロナウイルス感染症に関連する国・地方自治体の施策・助成金についての案内が発出されていたりするのも事実なわけで、決して対岸の火事ではないのだよね、ということも改めて思い知らされている状況である*1

3月期決算企業初の「継続会」宣言が流れを変えるのか?

さて、8日の適時開示のちょっとしたサプライズで、更新中の5月総会関係のエントリー*2の中でもチラッと触れたのが、決算発表の延期と「継続会」を宣言したNKKスイッチズ㈱の「第 67 期定時株主総会の継続会の開催方針に関するお知らせ 」である。

https://www.nkkswitches.co.jp/home/ir/pdf/ir20200508_02.pdf

この前日、5月7日までの間に、3月期決算の会社で決算発表のスケジュールを大幅に動かし、それに合わせて定時株主総会も従来のやり方から変えることを明らかにした会社は11社あったのだが、それらはすべて「定時株主総会の基準日を変更した上で、開催日を延期する」という選択を行っていたし、8日にも新たに2社が同様の選択をすることを公表している。

思えば4月の半ば、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」が出したリリース(「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査及び株主総会の対応について」*3の中では、会社法317条の「続行」決議を用いた「継続会」という手法の説明に多くの紙幅が費やされていた*4

金融庁のページではさらに4月28日付で「継続会(会社法317条)について」というリリースも出されている*5

本来は極めてイレギュラーな手法であるにもかかわらず、お上からこれだけのお膳立てがなされる、というのは実に珍しいことだと思うのだが、それにもかかわらず、これまでこの方式を積極的に採用する会社が出てこなかったのは、いかにシンプルに書いたとしても残る手続きの煩雑さと、どれだけお墨付きを与えられてもなお残る解釈の不明確さゆえだと言えるだろう。

現在、商事法務が「Zaitaku SHOJIHOMU」として無料公開しているコンテンツ*6の中に、柴田堅太郎弁護士の「新型コロナウイルス感染症の影響による2020 年 6 月定時株主総会開催の延期及び継続会への対応」という論稿があり*7、そこで定時株主総会の「開催延期」パターンと「継続会」パターンを比較しつつ、メリデメが丁寧に整理されているのだが、こと手続きに関していえば、

・続行の決議に際しては、議決権行使書による議決権行使分を賛否に参入できない。したがって、万が一のリスクを避けるためには、包括委任状等により議場の議決権の過半数を取得しておく必要がある*8
・継続会における議題は,当初株主総会における議題として定められ,招集通知に記載されている議題の範囲に限られる。したがって、当初株主総会の狭議の招集通知における報告事項の項目に、必ず当期計算書類等の報告の件を記載しておく必要がある*9
・改選期にある役員の任期は、継続会終結の時まで満了しない。したがって、6 月の当初株主総会終結をもって退任させる必要のある役員には,当初株主総会終結時点をもって辞任してもらう必要がある*10
・継続会においては,あらためて書面で計算書類及び事業報告を提供する手段として,継続会招集通知を発送する必要があるものと解される。したがって、招集通知送付に要する費用は2度かかる
(以上、柴田12~16頁参照。表現等はこちらで少し改変している)

と、事務的な手間も、シナリオ等の作り込みに関しても、まぁとにかくややこしいところが多い。

あと、長年慣れ親しんだ「一括上程」方式で総会運営を行っていた会社にとっては、議案の審議と報告事項の審議が分断されて別の機会に行われる、ということ自体がちょっと嫌だったりもするわけで*11、特に、今後の世の中の「雪解け」プロセスから推察すると、いかにシナリオで「今回は報告事項に関する質問だけでお願いします。前回決議済みの議案のことは蒸し返さないでください。」といったところとで、

「最初の総会の時は『時間短縮』に協力しようと思って、遠慮して質問しなかったんだけど、今ならたっぷり時間かけても大丈夫でしょ。前回聞けなかったことも質問させてよ!」

と暴れ出す株主が出てきても全く不思議ではなくて、どこまでやれば説明義務を果たしたことになるのか、とか、打ち切ったら決議取消事由になるのか、といったことまで考えだすと収拾がつかなくなるから*12、自分が担当者だったら絶対やりたくはないだろうな・・・と思わずにはいられない。

柴田弁護士は、純粋に「延期」した場合のリスクとして以下の4点を指摘し(8~9頁)、

 ⑴  6 月までに決議しておきたい議案の存在
 ⑵ 配当の基準日を決算期より後の日に変更しなければならなくなる
 ⑶ 投資家から理解を得られない可能性
 ⑷ 役員の任期が満了する可能性

それとの比較で、「継続会を開催する会社としては,定時株主総会の延期との比較でいうと,以下のような状況にある会社が適しているように思われる。」(17頁)とまとめられている。

 ①  6 月までに決議しておく必要性の高い議案を予定している。
 ② 株主総会を 2 回開催するための会場確保が可能である。
 ③ 株主総会を 2 回開催するための費用(会場利用費,招集通知発送費等)が許容可能である。
 ④ 当初株主総会では決算が確定していない状態で決議事項の決議を行うことを含め,継続会開催に関する株主の理解を得られる見込みが相当程度認められる。

しかし、こと「配当」以外の点に関しては、何が何でも6月に総会を開いて決議しないといけないことはないのでは?*13と思えるし、規模の大きい会社であればあるほど手間がかかりコストもかさむ会場確保や総会費用の負担を「2度」も強いられる、という時点で、やはり多くの会社では選択肢から消えてしまうのではないかなぁ・・・と思わずにはいられなかった*14


以上のような状況の下、冒頭で取り上げた会社がなぜ「継続会」を選択したのか。

「当社フィリピン連結子会社での決算業務ならびに同地での会計監査業務が滞り、当社の連結会計処理に係る作業も遅延することとなりました。」

というのがイレギュラーな対応をとる契機となったことは疑いないだろうが*15、さらにそれに加えて、予定されている「50円」という配当を、決算期末の株主に確実に支払うことを重視したのか、それとも、取締役、監査役の選任を急ぐ事情があったのだろうか?*16

平成31年3月末時点の株主数は465名。大株主欄にも安定株主と思われる名前が並ぶ会社だけに、おそらく当初株主総会での議事運営はつつがなく行われることになるのだろうが、実務者として気になるところは多い。


おそらく、ここから「雪解け」が加速し、あっという間にそれまでどおりの日常が戻ってきても不思議ではない状況の下で、6月総会の担当者には、先月まではおそらく問題にされることもなかったであろう、

「今年、あえてそれまでと違うことをするのか?」

という問いも、日に日に投げかけられる機会は増えていくと思うのだけれど、それぞれの会社がそのような問いにどう応え、それぞれの選択をしていくのか、週明け以降の状況にも注目しつつ、眺めていくことにしたい。

*1:こういった助成周りの話をクライアントからのオーダーで確認することはあっても、自分自身にかかわる問題として意識することすらなかったから、それだけ自営業者としては恵まれているということで、ありがたい限りではあるのだけど。

*2:「株主総会2020・春」いよいよここが正念場、の5月がやってきた。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*3:新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査及び株主総会の対応について:金融庁

*4:風雲急。最後の山は動くのか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~のエントリーも参照のこと。

*5:https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/11.pdf

*6:Zaitaku SHOJIHOMU 細かい話ではあるが、一部の記事について見出しとリンク先のファイルが整合しておらず、読みたかったコンテンツがまだ読めていない、ということは付言しておく。

*7:https://www.shojihomu.co.jp/documents/10452/11515236/shiryo434_2.pdf

*8:オーナーが大株主というような場合であればよいが、浮動株の比率が多い会社だとまぁまぁ大変なことになる。

*9:これは、これまでどおりのテンプレートで作ればよい、といえばそれまでなのだが、律儀な担当者がコンテンツと一緒に招集通知の項目まで削ってしまう、という、ついうっかりのミスはあったら、と思うとドキリとする。

*10:この点につき、自分は「退任する役員」よりも「新たに就任する役員」の就任時期がどうなるのか、ということの方が気になっていて、当初総会に合わせて辞任&選任したつもりなのに、選任の効力が継続会が終わるまで生じない、ということだと、それまでの間どうする? 継続会で誰が答弁する?といった問題も出てくる。法務省の「商業・法人登記事務に関するQ&A」(http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho06_00076.html)では、選任決議を行った当初総会の日に就任する取扱いとされているが、柴田弁護士も指摘するような「当初株主総会と一体にある継続会が終結していないにもかかわらず,当初株主総会の議事録のみをもって商業登記法にいう株主総会議事録として法務局に添付書類として受理されるかは必ずしも明らかではない」(柴田15頁)といった問題もあるので、安全サイドで考えるなら、下手に6月にこだわるより「継続会終結のタイミングで交代」とする方が無難ではないかと思われる。

*11:東日本大震災後に提案された「非常時シナリオ」では、開催中に余震が来て中止、延期を余儀なくされても良いように、議案とそれに対する質疑答弁の機会だけを先行させる、というパターンも取り上げられることが多かったが、実際に採用した会社は少なかったように思う。

*12:かといって、2度の総会で同じことを何度も何度も答弁させるのも忍びないし、そのために準備する負担も大きい。

*13:例えば、大企業で役員人事のタイミングが2,3カ月遅れたからといって、それが何か企業経営に致命的なインパクトを与えるとは思えないわけで、「後続の人事にまで影響する」といったところで、3月以降、今のような状況になっている時点で皆多かれ少なかれ覚悟はしていることだから、何が何でも6月にやらなきゃいけない、という話ではないと思われる(強いて言えば、定年、役職定年になる人を取締役、執行役員にすることが予定されていたようなケースだが、この点に関しては検事総長とは異なり法律でルールが決まっているわけではない(あくまで社内の内規に過ぎない)のだから、適宜融通を利かせればよいではないか(それができないような人事部門は・・・)、と思うところである。

*14:「5月」という現在のタイミングを考えると、会社によっては「これから株主提案に対応しなければいけなくなる」というリスクを回避するために(「8週間前」のタイミングがずれることによるリスク回避)、継続会方式を採用するという判断もありうるのかもしれないが、そういう会社であれば、むしろ延期も継続会もせず、「今年は6月一回勝負で押し切る」道をとるような気もする。

*15:ちなみに会計監査人は、有限責任あずさ監査法人である。

*16:ちなみにこの会社では、前年に続き、退任監査役への退職慰労金贈呈、という議案も提出される予定になっているが、前期の監査報告そのものが終わっていない状況で、こちらを先に可決することの是非等、突き詰めていくといろいろと議論になるところは出てきそうである。

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