日本時間で2025年4月6日の未明、本当はドバイで新しい歴史の一ページが開かれるはずだった。
昨年、サウジ、ドバイとダービー連勝。その後も実績を積み重ね、今年のサウジカップではロマンチックウォリアーとの壮絶な一騎打ちを制して国際GⅠ初制覇。
そして、このドバイワールドカップを勝てば、文句なしに今年の世界No.1牡馬の称号は手に入るはずだったフォーエバーヤング。
だが、寝落ちした翌朝、期待を胸に再生したレース映像から、歓喜の声が流れてくることはなかった・・・*1。
もちろん、「ワールドカップ」だけがドバイではない。
昨年、海外GⅠで1勝もできなかったがゆえに、一昨年のお祭り騒ぎなど当の昔のことになり、メディアから「弱くなった日本調教馬」的な扱いまでされてしまっていた我らが日本勢は、ドバイターフで伏兵ソウルラッシュがロマンチックウォリアーに競り勝ち、ドバイシーマクラシックでダービー馬ダノンデサイルが快勝する、という思わぬ展開で、なんと2勝。
いずれも日本勢に比較的利がある芝のレースとはいえ、国内一線級の豪華メンバーが顔をそろえただけの意義は十分にあったなぁ…と言えるだけの結果は残した。
そんな中、もうすっかり恒例となってしまった「裏番組」としての国内GⅠ・大阪杯。
ドバイで行われる芝のレースは「1800m」と「2400m」という条件だから、「芝2000mの王座決定戦」は日本にしかない、というのが一応の建前ではあるのだが、 今回ドバイで走った馬が1頭、2頭だけでも大阪杯にエントリーしてくれていたら当日のオッズも人気順もだいぶ変わっただろうから、「主役が半分不在」という点では、今年も変わるところはなかったような気がする。
ただ、重賞戦線で戦い続ける”国内組”がしっかりと基盤を支えた今年の大阪杯は、決してレベルの低いレースではなかった。
いや、むしろ、デシエルトが作った速いペースをものともせずに追走し、1分56秒2(コースレコード)という結果で連覇を遂げたべラジオオペラなどは、まさに国内勢の鑑。さらに、驚異の連対率を誇るロードデルレイがきっちりと2着を確保し、続く大混戦の中、ディープインパクト産駒ならではの切れ味でヨーホーレイクが3着に食い込んだ、という仕上がりを見れば、レースレベルとしても決して他のGⅠに劣るようなものではなかった。
既に、春夏秋冬問わず、それぞれのシーズンで海外の国際GⅠに馬も騎手も大挙して押しかけるようになっている今、ちょっと油断すると”空洞化”が生じかねない危うさはあるのだけれど、桜咲く仁川で行われたこの日のレースを見て、まだまだ日本の競馬番組も捨てたものではない、と思ったのは自分だけではないだろう。
そして、この大阪杯と続く天皇賞(春)で名を挙げた「国内組」が、さらにその先の夏・秋のシーズンで、ドバイから戻ってくる「海外組」と正面から相まみえて記憶に残る激走ができれば、また新たな地平を切り開けるはず・・・。
そう信じて、残る9カ月、楽しみを温めておくことにしたい。