企業法務

思えばこれは何度目の一歩目、だろうか。

そういえば、4月1日はエイプリルフール、と言われる日だった、ということに日が変わってから気付くくらい、余裕のない日常を過ごしているわけだが、そうはいっても世の中的には「新年度」。新しい人が新しい門出を迎えるタイミングでもある。古い話になるが…

好事魔多し。

今年はいよいよ松山弘平騎手の時代が本格的に到来するだろう、と書いたのは、たった一週間前のことである。先週2日で11勝、という荒稼ぎを見せたこの若きジョッキーは、クラシック戦線で騎乗する馬たちとのコンビも整い、まさに”収穫の春”に向けてこれから邁…

江戸の仇もカリフォルニアの仇も討たせてくれなかった大阪地裁。

昨年、知財高裁の判決を最高裁が大胆にひっくり返して話題になったのが「ポリイミドフィルム製品製造機械装置」をめぐる損害賠償債務不存在確認等請求事件だった。当時の衝撃は以下のエントリーに記したとおり。k-houmu-sensi2005.hatenablog.comもっとも、…

本当に大変なのは、たぶんこれからなのだろうと思う。

首都圏の緊急事態宣言解除を控えた週末。心配された雨も土曜日のうちには降らず、気温も程よい感じ。だからなおさら・・・だったのか、街の人出はいつになく多く、夕方過ぎの飲食店も、”ごった返す”という表現がしっくりくるような混雑ぶり。一瞬、「もう解…

知財高裁の緻密さが引き出したロクラクⅡ法理の正しい使い方~音楽教室 vs JASRAC 控訴審判決当日の読後感。

今日は何もなければ、ゆるゆると「緊急事態宣言解除」の話でも書こうかと思っていたのだが、夕方に流れたニュースで事態は一変した。 「日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室から著作権使用料を徴収するのは不当として、音楽教室を運営する約250事業者がJ…

まだ解のない問題を論じ続けなければいけないことの難しさ

比較的余裕のある時でも、一度読んだだけでスッと頭の中に入れるのは難しい、そんな話だけに読んだ後もしばらく温め続けてしまったのが、先月発売のジュリストの特集「正規・非正規の不合理な待遇格差とは」に関する話題である。ジュリスト 2021年 03 月号 […

「10年」という歳月の重さとまだまだ続く道のり

今年もめぐってきた「3・11」。昨今の状況を考えると、10年前の話より、1年前の「パンデミック宣言」の方を想起する人も多いのかもしれない。だが、個人的な思いで言わせてもらうなら、この1年で世の中がどれだけ変わった、といったところで、10年前、揺れを…

令和元年改正会社法がこれからの季節にもたらすインパクト。

暦の上では3月、となると、そろそろざわつき始めるのが会社法界隈のならわし、というべきだろうか。3月期決算会社が年度末に向けてラストスパートに入り、来るべき「6月」に向けて動き出す中、それなりのボリュームがある12月期決算会社は月末に一足早い株主…

変わりゆく世界地図と、これからへの備え。

10年くらい前にはもう予感があって、4,5年前の時点で個人的には「確信」に近い思いがあったのだが、こうやってそれが現実の世界の出来事になると、どうにもこうにもため息しか出てこない。 「世界知的所有権機関(WIPO)は2日、2020年の特許の国際出願件数…

ビジュアルは実に雄弁だ。

ここ数年、法律の世界でもいろいろと趣向を凝らした書籍が世に出る機会が増えていて、先日の川井弁護士の会社法の入門書などもまさにその一例だったのだが*1、今度は知財の分野で、興味深いコンセプトの書籍が刊行された。図録 知的財産法発売日: 2021/02/22…

デジタル広告分野における「独占」の意味。

最近、公正取引委員会が、これまであまり切り込んでこなかった分野で、実態調査のアンケート結果を交えつつボリュームのある報告書を出す機会が随分と増えたような気がする。今月の中旬に出された「デジタル広告分野の取引実態に関する最終報告書」もそう。 …

これでも「侵害」になってしまうのだとしたら、それをリスクと言わずして何と言おう・・・。

最近あまり裁判例の紹介記事を書いていない、ということもあって、そろそろ型を忘れてしまいそうな感じでもあるのだが、これはちょっと、と思った事件なので久々に。自分が、以前話題になっていた就職情報サービス絡みの商標紛争で第一審判決が出た、という…

ナイーブ過ぎた迷走の末に。

前会長の辞任からほぼ1週間、様々な迷走の末、事態はようやくこれにて落ち着くことになった。 「東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は18日、女性を蔑視した発言の責任を取って会長を辞任した森喜朗氏の後任を決める理事会を東京都内で開き、五輪相を務…

また1日、時計の針は巻き戻されていく。

またこのネタか、と思う方もいらっしゃるのだろうが、もしかしたら歴史の転換点になるかもしれないこの瞬間に、そのことを書かなくてどうする・・・と自分に言い訳している。そう、日経平均が、週明け早々の2021年2月15日、月曜日、遂に30,000円台を取り戻し…

チキンレースの末に辿り着いた31年前の夏。

新型コロナ禍の真っただ中で留まるところを知らずに上昇線を描く株価チャートを見ながら、連日報じられる「29年ぶり」というフレーズに胸を高鳴らせたのは去年の暮れくらいのことだったか。k-houmu-sensi2005.hatenablog.com当時も、いつまで持つんだろう、…

これは「入門書」の究極型かもしれない。

コンセプトからして購買意欲をそそるに十分で、告知が出るなり早々に予約して取り寄せた書籍がこの週末に届いた。「入門書」ということで、読み手に優しい文章と、時にキュートさすら感じさせる挿絵の図解、そして細かく区切られたテーマごとに完結する記述…

示された統計数値が意味するもの。

昨年来の実感としても何となくそうだろうな、と思うところはあったのだが、いざ出てきた数字を見ると思いのほか・・・というのが正直なところで、実に驚かされたのが↓のニュースである。 「家計の消費余力が高まっている。総務省が5日発表した2020年の家計調…

「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」いよいよ始まる。

表に出てきただけでも2年越しくらい、喧々諤々議論された末に、昨年、コロナ禍の序盤、緊急事態宣言まっただ中の通常国会で審議され可決成立となったのが、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(以下、本エントリー内では…

鮮明になりつつある勝敗とその先にあるもの。

新型コロナ関連のニュースがこの国に吹き荒れ始めてからしばらくは、「経済活動壊滅」とか「大不況」といったトーンの記事がメディアを飾ることも多かった。確かに、中国国内の生産拠点や国際輸送の物流網が乱れた昨年の1-3月期や、初めての「緊急事態宣言」…

「給与口座」はどこへ行く?

いろんなところで旗が振られていたにもかかわらず、なかなか普及していなかったキャッシュレス決済が、ようやくじわじわ広がってきたな、と感じられるようになったのは、「ポイント還元」が始まった2年前の秋辺りだっただろうか。k-houmu-sensi2005.hatenabl…

「金魚電話ボックス」大阪高裁判決での大逆転劇が示した「表現」の意味。

「他人の事件は忘れた頃に判決が出る」というのはよく言ったものだと思うが、一昨年の夏、大きな話題となり、このブログでも取り上げていた「金魚電話ボックス」事件の控訴審判決が大阪高裁から出された。結論は、見事なまでの大逆転、である。 「金魚が電話…

思えば遠くに来たものだ・・・。

昨年から何かと話題になることが多い携帯電話業界から、激烈な競争を象徴するかのようなニュースが、年明け早々から飛び出してきた。「営業秘密領得容疑」による社員逮捕、というセンセーショナルな見出しとともに・・・。最初に記事になったのは12日の夕刊…

「10年」の歳月が生み出した珠玉の座談会。

本来であれば昨年のうちに読んでおくべきだったのだが、年末年始は手を付けられず、ここに来てようやく開くことができた毎年恒例の一冊。年報知的財産法2020-2021発売日: 2020/12/25メディア: 単行本今年の巻頭論稿は、設楽隆一・元知財高裁所長が、損害賠償…

宣言が出て一夜明け・・・。

約9か月ぶり、2度目の緊急事態宣言が首都圏に発出され、一夜明けた朝。急に何かが変わるなんてことは全く期待していなかったのだが、それにしても・・・というくらい街中の光景はそれまでと同じように見えた。自分の場合、ここしばらく「通勤ラッシュ」なん…

ここからが最後の決戦。

昨年の終わり頃からじわじわと広がってきていた新型コロナの波。11月の半ば頃には、既にこれまでで一番の感染判明者数がカウントされていたような状況だったから、12月に入った時点で「そろそろモード切り替えないとまずいんじゃないの?」と思ったのは自分…

「ジョブ型」は魔法の杖ではない、ということを改めて。

ここに来てまさかの「緊急事態宣言再び」のような状況になっていて、年も変わり、せっかく、さぁ新しい気持ちで仕切り直してこれから!と思っていた方々の中には、げんなりしている方も多いのではなかろうか。だから言わんこっちゃない・・・などとまでいう…

年始に目標を立てない勇気。

あまりにゴロの良い年が366日間も続いていたがゆえに、まだついつい無意識のうちに「2020」と打ちたくなってしまうのだが、カレンダーをめくると何とも、2021年が始まってしまった。で、一年の最初の日、元旦ということで、関係各所のブログを拝見しても、Fa…

これは東証からの「クリスマスプレゼント」なのか?~理想と現実の間を彷徨う「市場区分見直し」

多くの会社では年末休みに入ったと思われる29日、今年の荒れた相場を象徴するように、日経平均は700円を超える上げを見せ、遂に27,000円の壁を超え、30年4カ月ぶり、という歴史の扉を開いた。先月末の勢い*1を考えると時間の問題だったとはいえ、年内は「防…

「正義」の所在~2つのガイドラインに関するちょっとした感想。

企業法務の分野で2020年という年を振り返った時に、もっともインパクトの強かったテーマを上げるとしたら、やはり競争政策に関する話題、ということになるだろう。国外では米国・欧州で、競争当局とGAFAとの戦いが本格的に幕を開けたともいうべき一年となっ…

Never Say Good-Bye.

フライング気味に表に出て、それから一週間経つか経たないかのうちに公式に発表された「Business Law Journal(ビジネスロージャーナル)休刊」の報*1。ブログにもSNSにも、既に多くの方が惜別の言葉を寄せられていて*2、かなり出遅れた感はあるのだが、金曜…

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