労働

名ばかり平社員

投身自殺したキヤノンの研究職社員に対し、沼津の労基署が労災認定したというニュースが記事になっている。 この事件の特徴として挙げられるのは、 「男性の職場では午後10時以降の残業はできないようになっており、男性は深夜に自宅でパソコンで仕事をして…

QC活動にメス

社員の労災事件で、名古屋地裁がQC活動を業務認定した衝撃がよほど大きかったのか、トヨタ自動車がQCサークルに対して残業代を全額支払う方針を固めたそうである。 世の中のQC活動の実態を見れば賃金を支払うのは当然のことだし、上記のような潮流にも違和感…

おいおい・・・なQ&A

日経新聞の月曜法務面を見ていたら、「リーガル3分間ゼミ」というコーナーに、こんなQが掲載されていた。 「就職を希望する学生のOB訪問を受けた20代の社員。進路選択のヒントにと、自社に不利な内容も含めて現状をありのまま伝えたら、その学生が内定を辞退…

偽装請負に鉄槌?

昨日の判決が夕刊になってようやく掲載されたあたりに、日経新聞のポジションが透けて見える(あえて朝刊に載せなかったのか、会見出席を拒否されて情報入手が遅れたのかは不明)のだが、松下プラズマディスプレイ社の偽装請負問題を巡る訴訟(通称「吉岡訴…

ノイズ研究所事件終結

成果主義型賃金制度の合理性が争われていた「ノイズ研究所」事件で、最高裁が社員側の上告不受理決定を出したようである。 「成果主義型の賃金制度の導入で減給となったのは不当として、社員二人が勤務先に減額分の賃金の支払いを求めた訴訟の上告審で、最高…

窮屈な働き方

最近採用区分の見直しが話題になっていた国家公務員の世界だが、懲りずにこんな記事がまた出ていた。 「人事院は国家公務員1種の採用者を対象に来年度から「三年目研修」を導入する。これまで入省時の「初任研修」の次は三十歳前後の「係長研修」だったが、…

問題は雇用形態にあるのではない。

誰にでも間違いはあるが、「エグゼクティブの味方」を標榜する新聞にしては、ちょっとこの間違いは酷い・・・と思わせてくれた記事を一つ。 「請負会社の指示で働いていた男性が製缶工場で転落死したのは安全対策の不備が原因として、遺族が製缶会社と請負会…

判決をもらうのが嫌いな会社

またこの会社か(笑)、と思った記事が一つ。 「日航最大のJAL労働組合が、客室乗務員約9800人の個人情報リストを無断で保有していた問題で、乗務員ら194人と別の労組が日航とJAL労組などに計4800万円の損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が7日、東…

男女賃金差別に対する違法判断

最近労働関係でトピックになる判決が目立つが、これも結構重要な意義を有する判決ではないかと思う。 「女性であることを理由に賃金差別を受けたとして、兼松の女性社員ら6人が同社に差額賃金や慰謝料など計3億8400円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東…

「店長」の反乱

先日取り上げたコナカの件に続いて、「店長」による“反乱”劇の報に接した。 「日本マクドナルドが店長を管理職として扱い、残業代を支払わないのは違法だとして、埼玉県内の店長、高野広志さん(46)が未払い残業代など計約1350万円の支払いを求めた訴訟の判…

「労働審判」の威力?

2006年4月の導入以降、ジワジワと浸透しつつあった「労働審判」制度。 新しい労使紛争解決制度として、同時期に導入された「知財高裁」なんかよりは遥かに大きなインパクトを与えうる制度であるにもかかわらず、これまでは専門誌を除けば、さほどメディア等…

「労働契約法」の時代

昨年12月にひっそりと公布された労働契約法。 今年の春、施行されるのは間違いないと思われるのだが、今のところ、世間の注目はさほど集めていないようである。 そんな中、東京学芸大学の野川忍教授が書かれたショートコメントがNBL新年号に掲載されているの…

最高裁法廷意見の分析(第20回)〜公務員制度と武士の情け

以前、「「公務員」の重さと27年の重み」というタイトルで触れていた最高裁判例だが*1、その後HPにアップされることになった。 最一小判平成19年12月13日(H18(行ツ)171号)*2。 多数意見は概ね先のエントリーで紹介したとおりであるが、改めて紹介すると…

山口俊夫名誉教授逝去

山口俊夫氏(やまぐち・としお=元中央労働委員会会長、東大名誉教授) 12日肺気腫のため死去、79歳。 専門は労働法とフランス法。 氏のお名前を聞いて、フランス法の第一人者としての業績を思い浮かべるか(↓のような著作も残されている)、それとも中労委…

「公務員」の重さと27年の重み

夕刊にいろいろと考えさせられる判決のニュースが載っていた。 「学生時代の反戦運動参加で執行猶予付き有罪判決を受けたことが発覚し、約27年後に失職とされた元郵便局員の稲田明郎(57)が、郵便事業会社に地位確認などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁…

労働契約法が成立

したらしい・・・。 このグダグダ国会の中で、成立にこぎつけた関係者のご尽力には敬意を表したいが、果たしてどんな中身になったのか、怖いので見ていない(笑)。 まぁ、近々確認しようとは思っている。

個人情報無断リスト化問題

日本航空インターナショナルの客室乗務員ら194人と労働組合「日本航空キャビンクルーユニオン」が「JAL労組」と会社に対し、プライバシー侵害で計4800万円の賠償を求める訴えを提起した事件。 このブログでは、以前から「個人情報」を過度に保護しようと…

ゾンビ法案、ついに成立か?

本来、“国民に対する説明責任”など負う道理はない朝青龍*1や亀田親子を連日のようにバッシングするこの国のメディアにしては、公党、しかも次期政権を担うかもしれない野党第一党党首に対する態度がいかにも優しすぎやしないか、と思う今日この頃。 あれだけ…

周回遅れの改革・・・。

政府の行政改革推進本部専門調査会が検討している、公務員の労働基本権に関する報告案の内容が明らかになった、というニュース。 「公務員に人事評価や給与水準など労働条件を労使で定められる「協約締結権」を付与する一方、人事院による勧告制度を廃止する…

平板なモノの見方

イチイチ声を大にして指摘するようなことではないと思うが、最近気にしていたトピックについて、典型的な金太郎飴的表現を見つけたので、晒してみることにしたい。 日本経済新聞1面に掲載されている、「連合は非正規対策の実行を」をいうタイトルの社説。 …

天下り

かねてから騒がれていた政府系金融機関のトップ人事。 結局、伊藤忠商事前会長の室伏稔氏を新総裁に、 財務相前次官の藤井秀人氏を副総裁に、という人事で落ち着いたようだ。 政権が変わったこともあって、予想されていたそれに比べると落ち着いた人事になっ…

ナンセンスな施策

相変わらず分かってないなぁ・・・という記事を発見。 「文部科学省は2008年度から産業界と連携し、理系の博士課程の学生やポストドクター(博士研究員)を企業に長期間派遣する「博士版インターンシップ」を始める。コミュニケーション能力や商品開発など事…

“人”と“組織”

「来春卒業予定の大学生の就職活動について日本経済新聞社とNTTレゾナントのgooリサーチが実施したネット調査によると、7月初旬までに5割強の人が入社企業を決めていることがわかった。卒業まで約9ヶ月残した時点で多くの学生が就職活動を終了、企業が人材を…

ひでえ話だ。

一人のならず者のせいで、恥ずかしい会社呼ばわりされてしまう他の若手行員の皆様には気の毒だが、やはりこういうのは許せない。 「就職活動中の女子学生に採用内定をちらつかせ、わいせつな行為をしたとして、大阪府警曽根崎警察署は19日、(住所・略)、三…

儲かる会社はいい会社か。

今まさに我が世の春を謳歌している三河のクルマ屋。 「トヨタ自動車が9日発表した2007年3月期の連結決算(米国会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前の期に比べ19%増の2兆2386億円と日本企業として初めて2兆円を超えた。」(2007年5月10日付朝刊・…

“個”の時代の到来

5月1日は「メーデー」であるにもかかわらず、筆者は入社以来、この日にそれらしい行事にかかわったことがない(入社仕立ての頃には、組合からの動員要請を蹴飛ばしたことすらある)。 元々古典的な「労働者」としてのアイデンティティが自分には存在しない上…

「専門職」軽視のツケ

“天下りバッシング”など、ここに来て、上級職国家公務員に対する風当たりが一段と強くなっているが、それに対する“救済策”のつもりなのか、政府が考案した非常に奇天烈な新制度の案が報道されている。 「政府が公務員制度改革の一環として、国家公務員の幹部…

家電量販店と競業避止契約

この種の事案がニュースになったのは久しぶりのような気がする。 「退職後1年間は競業他社に転職しないとの誓約書に違反したとして、ヤマダ電機が元男性社員に約420万円の違約金を求めた訴訟の判決が24日、東京地裁であった。長谷川浩二裁判官は「幹部社員の…

フレックスタイム制の使い方

日経新聞の法務面に「リーガル3分間ゼミ」というコラムがあるのだが、今日付の記事の中で、フレックスタイム制の簡単な解説が掲載されている。その中の以下のくだり、 「上司の指示でもコアタイム外に社員を働かせることはできない」 「会社側が社内会議に出…

何が彼女を追い詰めたのか?

ある公立大学の准教授に対して行われた懲戒免職処分が、いろいろと物議を醸しそうだ。 「群馬県の高崎市立高崎経済大は9日、宿題をめぐる強圧的指導で、経済学部二年生だった女子学生(当時20)を自殺に追いやったとして、同学部の男性准教授(38)を9日付で…

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