『NANA』第5話

今週は、プロローグシリーズの最終話、
ずっと先までこの物語のカギとなる場面がヤマ。


トラネスに引き抜かれて上京するレンを、
大崎ナナが見送るシーン、
そこに至るまでの微妙な心理の描き方とあわせて、
個人的には結構好きな場面だったりする。


ただ、いかに原作に忠実に描いているとはいえ、
綺麗なアニメーションで描かれていた駅のホームに止まっていた列車が、
どうみても上越新幹線だったのはちょっと・・・。
なんだ、せいぜい2時間ちょっとで東京まで行けるんじゃん、
という突っ込みを入れるのは野暮だろうか(笑)。
(まだ「はやて」とかなら、情感が出るのだが・・・)


やはり、このシーンに関しては、
あえて原作とは舞台設定も話の構成も変えて、
一面の雪と、東京への遠い距離を予感させるローカル列車、
そして伊藤由奈の歌声、という“小道具”を駆使した
映画版の演出の方に軍配が上がるだろう*1


ちなみに、『NANA』の中では、
あまり具体的な土地柄リンクは張られていないので、
あくまで勝手な憶測に過ぎないのだが、
ナナ&ブラストの出身地は新潟近辺(たぶん越後線沿線)の港町*2
奈々の出身地は高崎か前橋あたり*3


地元の方々には是非とも町おこしに活用していただきたいものである(笑)*4

*1:中島美嘉の微妙な演技力を覆い隠した舞台設定の妙、まさに“JR北海道グッジョブ!”といった感があった。

*2:旅館もあるし、法学部置いてる大学もある。

*3:新潟から来る新幹線に途中乗車できるところで、田舎だけどそこそこ栄えているところといえば、あの辺。

*4:そういうところしか見ていない自分って、一体・・・。

企業法務と憲法

ろじゃあ氏のブログ*1から着想を得てこのタイトル。
以下は、憲法記念日を記念した、ちょっとした小噺である。


ろじゃあ氏は、ブログの中で、

「日ごろ、ビジネス法務の分野でお仕事をされている方々は業務との関係で憲法を常に念頭に置くなんてことはまずないと思います。」

とおっしゃられているのだが、
実のところ、法務の仕事の中で「憲法を意識する」かどうかは、
業界や担当フィールドによるところが多いのではないかと思われ、
ところ変われば、意外に意識させられることも多かったりする。


例えば、人事・労務関係法務においては、
常に14条だの28条だのを意識せざるを得ないし、
その他の分野でも、手ごわい国だの自治体だのが絡む場合には
29条や31条、そして条例に関する94条を意識せずには
やっていけない状況になりつつある*2


知財法務の分野だって、
著作権等のライセンスに関連して21条1項を意識したり、
競業避止契約を結ぶ際に22条を意識するなど、
決して憲法に無縁、というわけではない*3


もっとも、ろじゃあ氏も指摘されているように、
一般的な「企業法務」の世界で、
憲法」を学ぶことの重要性が声高に叫ばれることは皆無といって良いし、
実務家向けの研修の中で、「憲法」の解説がなされることもほとんどない、
というのが実態である。


それはなぜか?


おそらく、一つの理由としては、
憲法上の規範が実務においてダイレクトに適用されることが少ない、
ということが挙げられるのだろう。


私人に過ぎない企業間の取引においては、
憲法条項の直接適用が問題になることはまずない、といって良いし*4
対行政や、労働分野といった“公法関係”の問題が生じうる分野においても、
第一に参照され、解釈の対象となるのは、
憲法に基づいて制定された諸法規や条例であって、
憲法解釈は周到に用意されたそれらの諸法規の解釈論を補充するものではあっても、
“主役”として登場するものにはなりえない。


ゆえに、そうでなくても勉強しなければならないことが山ほどある企業法務担当者は、
抽象的な憲法規範を悠長に学ぶより、
より身近なところにある具体的な規範をマスターすることを優先することになる。
概ね、そんなところだろうか。


だが、自分はもう一つの理由として、
「単に実務家が関心を持っていないだけ」という理由も
あるのではないか、と思っている。


民事紛争においては、
憲法条項に則った主張をするのは禁じ手」という風潮が根強く、
通常の企業間紛争の対策を練る際に、憲法の解釈論まで遡って考える、
なんて機会はまずないといって良い*5


あくまで下位規範をベースに物事を考える習慣ができてしまえば、
制度スキームそのものをひっくり返すような“おおごと”にならない限り、
憲法解釈に思いを馳せることなどない、というのは容易に理解できる話である。


また、そもそも企業側の実務者の中には、
法学部出身者ではない人々も多く存在しているし、
法学部出身者、といっても私法系専攻の方が多いのが普通だから、
憲法」に遡って考える、なんてことを言ってもピンと来ない、
というのが、実際のところなのではないかと思われる。


だからといって実務に支障がでるわけではない、
といってしまえばそれまでなのだが、
憲法上の原則論に立ち返ってスキームごとひっくり返すのが適切、
といえるような状況において、
それを法務部門が看過する、というのではいただけないし*6
仮に“頭の体操”レベルに止まる中身だとしても、
少しはダイナミックな原理原則に立ち返って考える習慣をつけたほうが、
法律を扱う立場にある者としては健全であるように思われる*7


・・・というわけで、
かつて、学生時代何を勉強していたかと聞かれて、
強いて言えば憲法行政法と労働法あたりでしょうか・・・(汗)」と
苦し紛れに答えていた、一応公法系出身の筆者としては、
「企業法務にも憲法を!」と提唱する次第である*8

*1:「今日はそもそも何の日か・・・法務担当にとっての憲法http://rogerlegaldepartment.cocolog-nifty.com/rogerlegal1/2006/05/post_6577.html

*2:特に最近問題になっている税務関係訴訟での憲法条項の活用について、例えば、太田洋「「狙い撃ち」型法定外地方税と企業活動」『ビジネス・タックス』(有斐閣、2005年)84頁以下、など。もっとも、これらの分野は「ビジネス法務」ではない、と言われてしまえばそれまでなのだが・・・。

*3:あと、余談だが、昔良く連れていかれた組合の集会では「第9条改悪反対」のシュプレヒコールなんてのもやっていた(笑)。そういえば、いつの間にか過ぎてしまったメーデー・・・(爆)。

*4:ライセンス交渉がこじれた時に、時々「表現の自由」を主張して反撃してくる企業の担当者の方がいたりもするのだが、法人が行う営利的表現の自由を私人である著作権者(企業)が“制約”することが、21条1項の解釈(及びそれを盛り込んだ民法90条の解釈)問題としてどの程度問題になりうるのか、ということを考えた時、「無意味」とは言わないまでも、少々苦しい主張のように思えてならない。

*5:かつて、青色LEDをめぐる職務発明訴訟で、東京永和の升永弁護士が、憲法14条、29条あたりに則った主張を準備書面で展開されているのを見たとき、個人的には大変な感銘を受けたのであるが、その後の職務発明訴訟において、他の代理人によって同様の主張が展開された形跡はない。

*6:特に、国や自治体が積極的に企業に対する規制をかけてくるようになった現代においては、そういった危機意識を常に持っていることが大切なのだろうと思う。

*7:施行規則や省令・通達に追い回されるだけの「法務」になってしまっては、本来面白いはずの仕事もつまらなくなってしまう。

*8:もちろん、現在大学で講義されている「憲法学」と企業実務の間には深い河が流れているのは間違いない話で、その隙間を埋める「ビジネス憲法学」といったニッチな法分野を創設することから試みる必要があるのかもしれない(既にどこかのビジネス法系の大学院あたりでは試みられているのかもしれないが・・・)。それを試みるのが大学の役割なのか、それとも実務側の役割なのか、筆者には分からないが。