これが時代の波というものなのか。

『「知」的ユウレイ屋敷』の管理人、かんぞう氏が今回の弁理士法改正に対してコメントを書かれていたので*1、自分も特許庁のHPから少し覗いてみた(http://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/pdf/benrishi_kaisei_h190620/03.pdf)。

(試験の免除)
第11条 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、その申請により、それぞれ当該各号に掲げる試験を免除する。
1 短答式による試験に合格した者
 当該短答式による試験に係る合格発表の日から起算して二年を経過する日までに行う短答式による試験
2 論文式による試験において、前条第二項第一号に掲げる科目について審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるもの(以下「審議会」という。)が相当と認める成績を得た

 当該論文式による試験に係る合格発表の日から起算して二年を経過する日までに当該科目について行う論文式による試験
3 論文式による試験において、前条第二項第二号に掲げる科目について審議会が相当と認める成績を得た者
 その後に当該科目について行う論文式による試験
4 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学院の課程を修了した者であって、当該大学院において経済産業省令で定める工業所有権に関する科目の単位を修得したもの
 当該課程を修了した日から起算して二年を経過する日までに前条第一項第一号及び第二号に掲げる科目について行う短答式による試験

上記ブログで話題になっているのは、このうちの「4」についてなのだが、太字で強調したとおり、「2年を通過する日まで」という限定がついているので自分が恩恵を受けることはない。


自分のことはともかく、こういった期間限定がつくということは、早い話、知財の世界で何十年もバリバリに活躍している人間より、就職したてで右も左も分からない新卒の方を試験制度上優遇する、ということだから、筋が通らない話だ、と憤る人も少なからずいることだろう。


また、上記「大学院」に専門職大学院が含まれるのであれば、法科大学院からMOTまで、救済を受ける人々の範囲は極めて広くなる、ということになるが、これらの大学院で、特実意商を万遍なくカバーしてきた人なんてそうそういるものではないだろうし、特に意匠や商標などは、仕事で扱うようになってから初めて本格的に勉強を始めた、という人も少なくないはず。


「学校を出ると能力が逓減していく」という、(この世界にはあるまじき)ステレオタイプな思想が制度設計に反映されているあたり、いかがなものかと思うところはある。


もっとも、免除されるといっても所詮短答式の話だけに、従来の論文科目の一部免除に比べればたいした話ではないような気もするのであるが・・・。




それより驚いたのは、「短答合格の繰り越し」や「論文の科目合格制度」が導入されたこと。


特に、論文の科目合格は、条文を読む限り、「その後に当該科目について行う論文式による試験」について、何ら期間の限定なく合格の効力が残存することになるようで、このインパクトは極めて大きい。


正直言って、今騒がれている弁護士以上に供給過剰感がある弁理士の世界で、入り口の試験をこれ以上緩くしてどうするんだろうか、というのが率直な感想なのだが、資格取得を容易にして、資格保持者同士で潰し合いをさせるのが最近の流行だけに(苦笑)、それに乗っかったということなのだろうか。


いずれにせよ、資格を取っただけで食っていけるような幸福な世界は、もはやどこにも存在しないというのは確かだし*2、これから士業の世界に参入しようとする方々にとっては、いろいろ考えさせられるところが多いニュースではなかったか、と思う。

*1:http://chiteki-yuurei.seesaa.net/article/45419397.html#trackback

*2:元々そんな世界はただの幻想でしかなかった・・・と言われればそれまでなのだが。