現代の戦う若者。

以前、「内定取り消しに果敢に挑む学生」の話題を取り上げたが、ついにここまで来たか、と感服させられたニュース。

「福岡県内の大学4年の男子学生が、採用の内々定を取り消された福岡市の不動産会社を相手に、損害賠償を求める労働審判福岡地裁に近く申し立てることが20日分かった。」
「大学生は就職活動を再開したが内定は得られておらず「誠意のない会社に強い憤りを感じている。自分だけでなく、学生が泣き寝入りするしかない状況に一石を投じたい」と話しているという。」
日本経済新聞2009年1月20日付夕刊・第20面)

これまでの標準的な考え方に従うなら、内定すら出ていない「内々定」の段階で、何らかの労働契約が成立していると考えるのは難しいだろうし、「学生側に翌年4月から確実に入社・就業できる」という高度の信頼を抱かせるような言動が使用者側に認められない限り、損害賠償請求を認めるのも困難であるように思われる。


ゆえに、通常訴訟を提起しても、和解に落とし込まない限り原告が「実」を得るのは難しいだろうし、いかに労働審判といえども、せいぜい解決金として使用者が5〜10万円程度を支払う、といった程度の救済しか得られない可能性が高い。


だが、法的側面を離れた実質面で見れば、本件で内々定が取り消された9月下旬時点に、「取り消されたら他の企業に行く」と余裕をかましていられる学生はそう多くはないだろう。


非正規社員のみならず、正社員までもが切られ始めているこの“未曾有の危機的状況”下において、“内々定を取り消された程度で喧嘩を売る”この学生の行為に眉をひそめる向きもあるのかもしれないが、それはそれ、これはこれ。


理不尽な採用活動の実態に警鐘を鳴らす意味でも、大きな意味のあるアクションだと、個人的には高く評価している。



こういう動きがもう少し広まってくれば、世の中のムードも少しは変わるんだろうけど・・・。

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