サービス業の「掟」

大胆な「サービス・コンセプト」を華々しく打ち出して、“航空業界の革命児(笑)”の座を不動のものにするかと思わせてくれたスカイマークが、消費者庁の回収要請を受けて、あっさりと文書回収を余儀なくされたのは数日前の話。

そんな中、日経紙に同社の西久保慎一社長のインタビュー記事が掲載されている*1

スカイマークといえば、前門の2大国内航空会社、後門のLCCに挟まれ、厳しい経営環境の中、極限まで余分なコストを切り詰めないと生き残っていけない状況にある会社なわけで、「過剰なサービスを排除する」という割り切りの経営ポリシー自体は、ビジネスに携わる人々にもそれなりに好評価を受けていたところだっただけに、インタビューの全体的なトーンも比較的優しい。

例えば、

「無理なことをおっしゃるお客様に対策が必要だった。そうした対応に追われると客室乗務員が本来の保安業務などに集中できないし、ほかのお客様のご迷惑にもなる。」
「『ヘビークレーマー』と呼ばれるお客様をつくらないためにはまず、できないことをはっきりさせ、お客様が冷静でいられる時にそれを理解していただくことが大切。」

と、バッシングでへとへとになっている会社の経営者に“弁解”と自らのポリシーを語る場を与えた上で、

「当社とお客様の関係は対等と社員に教えている。お金をいただく一方で、われわれは輸送を提供する。両方が納得した形で初めて取引は成立する。もちろん航空会社を選ぶのはお客様だ。だが我々は提供できる価値、できない価値というのを事前に示さなければならないのではないか」

と正論を語らせる*2

この記事を読む限り、騒動となった文書も、一貫したポリシーの下で作られたものであることが良く分かるし、思慮深い読者であれば、それまでスカイマークという会社に対してよからぬ感情を持っていたとしても、少しは見る目が変わってくるかもしれない・・・そんな記事である*3

だが・・・

*1:日本経済新聞2012年6月10日付け朝刊・第7面。

*2:さらに、最後には同社のPRもしっかり入っている。

*3:もっとも、自分の場合、交通機関は「安全への信頼」が全てだと思っているので、いかにこの会社の低コストビジネスモデルが称賛されたとしても、この会社の飛行機に乗ることは決してないのだが・・・。

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