法律雑誌をいくつか自腹で年間講読している*1。
今号は「新会社法」特集で、会社法全条文が付録で付いている美味しい号である。
ただ、個人的には、この分野、必要に迫られて目を通してはいるものの、
実務的にも学問的にも魅力を感じない。
特に、毎年続いた商法改正のフィードバックさえ曖昧なままなされた
今回の法改正に対しては、かなり冷ややかな目で眺めている自分がいる。
なので、早大の上村教授の論文の中の以下のフレーズには、
溜飲が下がる思いがした。
「今回の改正は全体として、法の遵守ができない企業実体への配慮ばかりが目立ち、本格的な株式会社にとって何が必要かという視点を欠いている。ある制度の合理性を批判する際に、それを潜脱する手法がある以上制度を置く意味がない、という論法は補足説明の随所に見られる」(上村達男「Ⅱ株式会社関係・清算関係」ジュリスト1295号98頁(2005年))
上村教授は他の記述でも、「実務の要望」と、それを丸呑みにした
今回の改正の胡散臭さを手厳しく批判されている。
ライブドア事件の時に、「『反動的な』識者」として批判された方ではあるが、
学者としての信念(潔癖さ?)は終始貫かれているように思われる。
次号から始まる「探究・労働法の現代的課題」シリーズの連載は楽しみだ。
今号にプレで座談会が組まれているが*2、
宮里弁護士も中山弁護士も、ちゃんとカラーを出されているから、
読んでいて面白い*3。
以前労働事件を担当していたときに、
会社の代理人が、労働弁護団の先生を始終批判してたのを聞かされてたから、
両者は決して交わることのない存在なのかと勝手に思っていたが、
ちゃんとこういう場をコーディネートできるあたり、
今の日本の法曹界の懐の深さを感じる*4。