資格試験の弊害

自分が今担当している知財法の分野、
特に特許法の分野では、毎年のように法改正が行われている。
法律の条文がどう変わったかということは、
六法を見れば良いし、特許庁のウェブサイトにも解説は載っている。


だが、法改正に伴い実務上の運用がどのように変わったか、
という点については、日々コンスタントに業務を担当している人や、
常日頃から新しい情報に鋭いアンテナを立てている人でなければ、
フォローするのは難しい。


特許の出願管理をメインの仕事にしている多くの弁理士は、
特許庁の審査基準の変更はフォローできても、
審決取消訴訟や侵害訴訟の実務までは十分にフォローできていない、
というのがどうやら現実のようである。


どんなに優秀な成績で試験に受かった方でも、
ひとたび試験勉強を離れて以降、
自覚的に新しい知識を仕入れ続ける努力を怠るならば、
いつしか能力は錆付き、クライアントに失望のため息を吐かせるのみの
存在になってしまう・・・。


ここに、
一回関門を潜り抜けてしまえば「資格者」として業務を続けることができる、
という特権を認めている法律系資格試験の弊害があると言わざるを得ない。


自由競争の原理がストレートに働かない法律家の世界においては、
クライアントが新しい「資格者」を探すのも決して容易ではない*1



前フリが長くなったが、
要はあてにしていた先生が、これから頼もうとしている仕事について、
トンと疎い方であることが判明してしまったわけである。


今から他の先生にお願いしようにも、
提訴期限まであと1週間ない状態で、どうしろっていうのか・・・
困ったものである。

*1:個人的には、法律家の世界にストレートな自由競争原理を適用すべきという意見には賛同しかねるが、そうも言ってはいられない時代が来ているのかもしれない。

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