労働契約法が動き出す

今朝の日経の一面に「労働契約法制定へ」というアドバルーン記事が載っていた。
何らソースは明かされていないが、
現在の研究会の進展状況を見ると、まず確実に法案化を俎上に乗せている、
といって間違いない。


春先に発表された中間とりまとめをきちんとフォローしていないので、
深いところまでコメントできないのが残念だが、
前の労基法改正時に採用されなかった「解雇の金銭解決」も、
ここで再び議論の土俵にあがってくるようである。


労働側は、「カネさえ払えば解雇できる」という悪しき風潮を生み出す、
として今回も反対の姿勢を示しているようだが、
個人的には、解雇の有効・無効で長期間争うより、
さっさと金銭で解決した方が、使用者も労働者も楽だと思う。


通常の解雇訴訟で、争った労働者が仮に勝訴したとしても、
職場に戻って元通り仕事ができることを期待するのは間違いだろう。


解決までに費やすタイムラグもさることながら、
そうでなくても、嫉妬渦巻く醜い「おとな」の世界で、
「会社に向かって楯突いた」元社員に、戻る場所などないことは、
企業の中で働いたことのある者には容易に理解できるはず。


それでも復職にこだわるのは、ある意味「確信犯」の労働者だけ。
例えば、組合活動家だとかその他「プロ市民」の類の人々だけなのであって、
そういう「特殊な」人たちのために、
「金銭解決」というある意味非常に合理的な解決の道を閉ざす必要はない*1


解雇の時点から口頭弁論終結時までの賃金、賞与に加え、
使用者の違法性に照らして、損害賠償としての性質を持つ加算金を加えた額を
一括で支払ったならば、労働者側としても当面の生活には困ることはないはずだ。


どんな人間にも、その後の人生を前向きに転がすことのできる強さが秘められている。
だとすれば、あてのない形だけの「復職」という道を選ばせるより、
次の道へ進むきっかけを積極的に与える政策の方がより好ましいといえる。


「カネさえ払えば解雇できる」。


上等じゃないか。
カネさえ払われずに解雇されている人が多いからこそ、
問題が起きるのである。


企業にとっては「復職を強制される」痛みよりも、
「身銭を切らされる」痛みの方が大きい場合だってあるだろう。


金銭賠償の額の算定基準をどのラインに引くか、という問題は残るにしても、
個人的には、「解雇の金銭解決」という発想は間違っていないと思う。


これからこの問題がどう転んでいくか、見ものである*2

*1:残念ながら、「労働側」として発言権を持っている人々の多くは、この種の組織に属している人々であり、彼らの「支援者」である。もちろん、社会運動の観点からは、そういう活動を担っている人々にも大きな存在意義はあるし、自分自身心の底で彼らにシンパシーを感じている面があることは否定しない。だが、実務にかかわってきた者としては、こと雇用関係そのものをめぐる争いにおいて、彼らの主張を支持することが一般の被用者の利益につながるとはとても思えないのだ。

*2:法整備が急スピードで進んでいく現在において(悪い例:会社法)、「2007年に法案提出」を目標としているあたり、さすがは労働法といった感はあるが。