労働契約法と女性の雇用

12日付の日経夕刊に、
労働契約法で導入が検討されている解雇の金銭的解決が、
性差別解雇に悪影響を与えるのではないか、と危惧する記事が掲載されている。


研究会報告では、性差別等による解雇は金銭解決の対象外となっているが、
「別件解雇」が多用されている現状を見れば、
金銭支払いで安易に解雇する風潮の歯止めにはならない、というのが、
多くの識者や女性従業者の見解として挙げられている。


以前のエントリーで、
金銭解決の導入を支持する見解を述べた。
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20050908/1126201079


もちろん、自分自身、
上記のようなリスクを全く意識していないわけではない。


人事労務担当者がよほどアホでない限り、
女性であることを理由に、あるいは組合活動そのものを理由に
解雇することはなく、社員としての適格性云々を持ち出して、
雇用の打ち切りを宣言することになる。


適格性だとか、業務遂行能力のあるなし、といった問題は、
客観的に判断するのが極めて難しい問題であるから、
裁判所に持っていっても、労働者側は使用者側の言い分を覆すのに苦労するし、
その背後に隠された使用者の意図を立証するのは、さらに困難な作業となる。


そもそも、
「自分が悪いことをしたわけじゃないのに、何で会社を辞めねばならないのだ」
という意識は労働者の側には強く残るだろうし、
会社を辞めた後に、自分が望む選択肢が残されている可能性も決して多くはない。


自分が「金銭解決」という時に念頭に置いていたのは、
いわゆる三倍賠償的な金銭支払なのだが*1
使用者側の抵抗が予想されることを考えると、
そこまで大胆な政策が打ち出されるとは考えにくい*2


一般論としては、金銭解決の導入に合理性があるとしても、
個別の事案を追っていくと、そう単純に言い切ることはできないのかもしれない。


もう少し、公の場での議論を見守りながら、
自分自身、頭の中で問題点を整理する必要がありそうだ・・・。

*1:経済合理性の観点から、安易に解雇という手段に走ることをためらわせるような金銭賠償を課すのが、制度設計としては理想だろう。

*2:ましてや、しばらく自民党に国会が支配されることが予想される今の状況では・・・。

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