説明会

年に1回、特許庁が主催して行っている、
「知的財産制度説明会」というものがある。


去年まで芝のメルパルクでやっていたのだが、
今年から五反田に会場を移して、変わりなく同じような日程でやっている。


特許法35条(職務発明制度)の改正という大きな目玉があった去年に比べると、
今年は特実意商の改正がひと段落していることもあって、
比較的静かな印象を受けた。


仕事を一日ないし半日潰しても、
この手の説明会に来る実務担当者の目的がどこにあるかと言えば、


①実務の基本的知識の取得(初心者)
②法の改正点を把握し、知識を頭の中でしっかり整理する(中級者)
③立法担当者の発言(失言?)に注目する(上級者)
④息抜き(笑)(共通)


といったところだろうか。


実務の世界に入ったばかりの初心者にとっては、
基本的な事項ばかりとはいえ、
無料で一日実務者向けの「講習」を受けることができるのは、
それなりに意味のあることだろう。


もう少し実務に親しんだ方にとっても、
法律の中身や運用が毎年少しずつ変わっている以上、
年に一度、きっちりとそういう動きをフォローしておくことには意味がある。
また、実務に追われていると、
どうしても知識を整理する暇がなくなってしまうので、
半日余裕を持ってテキスト片手に話を聞き流すことで、
ある程度知識を整理することもできる。


改正点のフォローも紙ベースできっちり行っている上級者の場合、
解説している立法担当者がどんな発言(失言!)をするか、
という点に関心は集中する。


一般的に、紙媒体(実務系法律雑誌等)に載っている解説には、
必ずといっていいほど「本稿はあくまでも個人的見解で・・・」という
枕詞が載っているが、個人的見解といえるような箇所はほとんどない(笑)。


そもそも、課長だの室長だのの名前で書かれている原稿は、
部下がゴーストライターで書いていたりするものだし、
そうでなかったとしても、事前にきっちりとチェックが入っているものだから、
「不規則発言」が出ることはまずない。


ところが、人を目の前にして同じ説明をやるとなると、
必ず、「個人的には・・・そうじゃないと思ってるんですが・・・」的な
ファンサービスをしてくれる人が必ず出てくるものである。
ついつい、なのか、確信犯なのか、
聞いている一般民衆には良く分からないのだが、
そういう発言から、次の一手に向けての立法者側の「温度」も
ある程度読み取ることができるから、なかなか面白いものである*1


この日楽しみにしていた、
唯一の法改正の目玉「不正競争防止法」の説明の中で、
そのようなサプライズもなく、
若い担当官が、拍子抜けするほど淡々と説明をして終わってしまったのは
残念であるが・・・。


ま、忙しい日常の中で、公然と丸一日会社を空けることができただけで、
上記目的の一つは、既に達成されているのであるが・・・。

*1:会場との質問のやり取りの中で、ついつい本音が出てしまう方もいらっしゃるようである。

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