「ひよ子」再び

ブログで法律ネタを毎日書き続けるというのは結構大変なもので、
少し油断すると、すぐ趣味ネタに流れてしまうのが自分の悪い癖。


学生さんと違って、「生活の変化」を毎日楽しめるわけでもないし、
かといって、細かい仕事の話を書いてしまうと、
あっという間に身元がばれそうな気がする・・・(笑)。


さて、2ヶ月以上前のエントリーで触れた、
「ひよ子」対「二鶴の親子」事件が、
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20050813/1123904914
今朝の日経の法務面(19面)で大きく取り上げられていた。


あらすじとしては、
本件が、「立体商標」をめぐる初の本格的な争いであることを指摘した上で、
知的財産権の中での商標権の性格にも言及して、まとめている。


元々、福岡を中心とした商圏で競合する和菓子メーカー同士が、
30年来の争いを繰り広げていたところに、
立体商標」という錦の御旗を手に入れた「ひよ子」側が、
最終兵器としての差止訴訟を起こした、というのがこの問題の始まり、
ということだから、この「戦争」は、そう簡単には終わらないだろう*1


記事の中では、「鳥形の菓子」という形状を一企業が独占することへの
疑問が間接的に呈されていたりもするが、
これについては、以前のエントリーでも書いたとおり、
立体商標登録の有効性が認められたとしても、
あらゆる形状の「鳥型の菓子」を「ひよ子」側が独占できるということには
ならないから、あまり論理的な批判とはいえない。


また、「二鶴の親子」が「40年を超える歴史を持つ」といっても、
その歴史の過程で、ずっと同じ形を保ち続けていたとは限らない。


売れ筋商品への「擦り寄り」は、どんな商品にも良く見られることで、
商品が形を変えていく中で、そのような擦り寄りがなかったかどうかの立証が、
侵害訴訟の審理の中で一番のポイントになると思われる*2

*1:記事によれば、侵害訴訟が係属している福岡地裁は、知財高裁での審決取消訴訟の結果を待って動き出す、ということのようであるし。

*2:新聞の中では、商標権侵害だけが争われているかのような書きぶりになっているが、実際には不競法2条1項1号、2号でも争われている可能性が高く、その場合、商標権の成否だけの問題ではなくなる。

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