判決フォロー

クロムサイズ事件(関連サイト)

昨日のエントリーで触れたクロムサイズ事件について、
okeydokey氏の「言いたい放題」というサイトに評釈が掲載されている。
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20051026/1130332248
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20051027/p1
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20051028/p1

判旨の引用も充実しているし、
コメントもなるほど、と思うところが多々あって、非常に勉強になった。


同氏は、「設置者」を侵害主体とした点について、
特に疑義を投げかけられている*1
本件訴訟においては、あくまでここは傍論に過ぎず、
放送局側と管理組合が訴訟になった時に設置者側が真摯に反論すれば、
違う結論になることも考えられるだろう。


「カラオケ法理」を適用できるという前提に立つ限り、
侵害主体としての責任は免れないため、
あとは「公衆送信」の解釈で争うか、「私的複製」で争うか、
ということになるのだろうが*2


また、同氏の過去のエントリーでは、
本件訴訟の経過や参考判例*3等についても取り上げられており、
あわせて参考になりそうだ。

読売新聞記事見出し事件(その後)

その前の話題、読売新聞記事見出しをめぐる
デジタルアライアンス社の訴訟では、
被告側が上告を断念した、という見解文を出している。
http://linetopics.d-a.co.jp/linetopics/main/kenkai2.htm

過去エントリー参照
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20051015/1129473336
http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20051016/1129560864

確かに、事件そのものは、同社側の実質「勝訴」とも言うべき
結果に終わっているため*4
判断としては妥当であると考えるが、
同時に新聞社側としては、同種のサービスに対して、
一定の使用料を請求する一応の根拠ができたことになるから、
他社との関係では、違う展開を見せることも考えられる*5


事実認定が結果を左右する事例であることは否定できず、
上告したところで受理される見込みは決して高くなかったとはいえ、
ギャロップレーサー最高裁判決との結論の差異や*6
憲法の条項と結びつけることで、
一応最高裁の判断を得ることも不可能ではなかったと思われるので、
少し惜しまれるところである。

*1:「あてはめの大雑把さ」を指摘されている

*2:個々の集合住宅の実態如何によっては、著作権侵害が否定される場合もあるような気がする。例えば、管理者と入居者が全員親族やそれに類する関係である場合やオーナーと少数の社員だけが入居している中小企業の社員寮など。もっとも、そのような個別判断による処理が妥当かどうかは疑問だが。

*3:「録画ネット事件」の引用もある。

*4:23万で免責されるなら、安いものだろう。

*5:額の多少を問わず、「同じサービスをすれば不法行為になりうる」というプレッシャーをかけることができるようになったことに意味がある。全ての企業がデジタルアライアンス社のように戦うだけの根性をもっているとは限らず、結局、一定の使用料を支払うという慣行が定着していく可能性もある。

*6:事案を異にする、という判決が出るだけでも意味は大きかった。

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