「職務発明」に関しては、
青色LED事件の和解や、改正特許法施行(それに合わせた社内規程改定)により、
最近では、議論もひと段落した感があったのだが、
とある事件のために、仕事で再び取り組まなければならなくなりそうな気配である。
そこで、以前、入手していた別冊NBLを紐解いたのだが、
読んでみると、これが、実務書としては相当に充実したものであることに気付く。
徹底解析 職務発明―職務発明をめぐる紛争の分析から制度設計まで (別冊NBL (No.105))
- 作者: 飯塚卓也,森濱田松本法律事務所
- 出版社/メーカー: 商事法務
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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本書は、飯塚弁護士を筆頭とする森・濱田松本法律事務所の7名の弁護士が、
分担して執筆したものということだが、
実務書らしく、職務発明規程のモデルが逐条で解説されているのはもちろん*1、
理論的な問題点についても、体系的に網羅されており、
これまでの裁判例を使いながら、ポイントを的確にまとめている*2。
また、オプションとして、
「事業再編と職務発明」といった
これまでほとんど焦点が置かれることのなかった渋いテーマ*3や、
「大学研究と職務発明」といった実務的には極めてタイムリーなテーマ*4にも
触れられており、
「外国における職務発明制度」の概略や、重要判決の概要なども添付されていること
とあわせると、資料としての価値はかなり高いものだと思う*5。
改正法施行前に鳴り物入りで出された、特許庁の「手続事例集」が、
曖昧な表現をかなり含むもので、指針としては頼りないものだっただけに、
もう一歩、「事例集」の中身に斬り込んで見解を示していただけると、
なお有難かったのだが、改正法の施行間もない現時点においては、
これだけのものを出していただければ十分である。
もっとも、今直面している問題の特殊性ゆえ、
せっかくの資料をダイレクトに使いこなせないのは残念であるが・・・。