職務発明に関する書籍

職務発明」に関しては、
青色LED事件の和解や、改正特許法施行(それに合わせた社内規程改定)により、
最近では、議論もひと段落した感があったのだが、
とある事件のために、仕事で再び取り組まなければならなくなりそうな気配である。


そこで、以前、入手していた別冊NBLを紐解いたのだが、
読んでみると、これが、実務書としては相当に充実したものであることに気付く。

徹底解析 職務発明―職務発明をめぐる紛争の分析から制度設計まで (別冊NBL (No.105))

徹底解析 職務発明―職務発明をめぐる紛争の分析から制度設計まで (別冊NBL (No.105))


本書は、飯塚弁護士を筆頭とする森・濱田松本法律事務所の7名の弁護士が、
分担して執筆したものということだが、
実務書らしく、職務発明規程のモデルが逐条で解説されているのはもちろん*1
理論的な問題点についても、体系的に網羅されており、
これまでの裁判例を使いながら、ポイントを的確にまとめている*2


また、オプションとして、
「事業再編と職務発明」といった
これまでほとんど焦点が置かれることのなかった渋いテーマ*3や、
「大学研究と職務発明」といった実務的には極めてタイムリーなテーマ*4にも
触れられており、
「外国における職務発明制度」の概略や、重要判決の概要なども添付されていること
とあわせると、資料としての価値はかなり高いものだと思う*5


改正法施行前に鳴り物入りで出された、特許庁の「手続事例集」が、
曖昧な表現をかなり含むもので、指針としては頼りないものだっただけに、
もう一歩、「事例集」の中身に斬り込んで見解を示していただけると、
なお有難かったのだが、改正法の施行間もない現時点においては、
これだけのものを出していただければ十分である。


もっとも、今直面している問題の特殊性ゆえ、
せっかくの資料をダイレクトに使いこなせないのは残念であるが・・・。

*1:飯塚卓也編『徹底解析・職務発明』別冊NBL105号90-113頁(2005年)〔三好豊弁護士担当〕

*2:かつ、最低限の文献引用も脚注に付けられている。

*3:ただし、今後重要性を増してくる問題だと思われる。飯塚編・前掲115-126頁〔高橋元弘弁護士担当〕

*4:飯塚編・前掲132-146頁〔飯塚弁護士担当〕

*5:少なくとも、これまでに自分がみてきた特許法改正後に出た実務書の中では一番優れている。