スポーツネタをもう一つ。
フィギュアスケートのグランプリシリーズ第6戦・NHK杯の女子フリー。
残念ながら村主章枝の会心の演技(フリー1位)を見逃してしまい、
それがつくづく悔やまれるのだが、
中野友加里のキレの良い演技は、見事なものだった*1。
トリノに向けて、荒川、安藤、村主+恩田という対決構図で
マスコミに煽られてきた女子フィギュア陣だが、
ここに来て、中野友加里も有力候補に浮上してきて、
3つの枠をめぐり、壮絶な争いが繰り広げられそうな様相を呈している。
マスコミは依然として、“4回転”の安藤美姫にスポットを当てたがるが、
今の採点ルールの下で、4回転ジャンプを使える可能性は少ないし、
安藤自身、今年の世界選手権あたりから、スランプに陥っているようで、
これ以上、スポットを当てすぎると、
“贔屓の引き倒し”ないし、“自作自演の悲劇”を引き起こすおそれが高い。
今日の演技も、どこかしら集中力を欠いたようなもので、
正直、見ていて辛くなるような出来であった。
(大柄な選手だけに、スピンの軸のブレとかがやけに目だってしまう・・・。)
ロシアでのGPシリーズ2位入賞の“反動”を差し引いても、
状況は深刻というべきだろう。
今日も、結果だけ見れば4位入賞で、
村主、荒川を抑えてグランプリファイナルへの切符を勝ち取ることになったが、
そうなると、またマスコミ対応に追われ、
自分の滑りから遠ざかっていくのではないか・・・という危惧を
抱かざるをえない。
採点競技ゆえに、技術のみならず、
選曲も含めたプログラムの印象度や、スケーターの表情さえ
結果に結びつくシビアさが、この競技にはある。
プログラムを今から変えるのは難しいだろうが*2、
せめて、笑顔で滑れる状況で、
彼女をリンクに立たせて上げたい、というのが、ファンとしての率直な感情である。
それにしても、
五輪枠を巡る争いは、関係者が気の毒になるくらい熾烈なものである。
今大会が最後の挑戦になるであろう村主と荒川、
かたや前回五輪入賞、かたや元世界チャンピオン。
いずれが出場しても、ジャッジへのアピール度は高いし、
どちらも、今大会がおそらく最後の五輪へのチャレンジになるだろうから、
是非ともトリノの舞台には立っていてほしい“役者”である。
一方、今の調子の良さで言えば中野がいるし、
リベンジに向けてのドラマ性という点で言えば恩田にもチャンスがあっていい。
そして、安藤にとっては(別の意味で)選手生命がかかる舞台でもある。
選ばれれば、さらに新しいドラマを生み出すチャンスが与えられるが、
落選すれば、それは直、悲劇につながる。
そして、上に挙げた5人のうち、2人には間違いなく“悲劇”が待っている。
今シーズン一番ジャッジの評価が高い日本人選手が、
年齢制限で出場資格のない浅田真央である、という事実は、
何とも皮肉であるが、
これ以上の悲劇を生まなくてすむ、という点において、
かえってそれが救いになっている面もあるのは否定できない。
個人的には、村主、安藤、中野のトリオで
五輪に挑む姿を見てみたいものであるが、どうなることやら・・・。