男妾たちの嫉妬

一昨日あたりから、巷を賑わせている
ライブドアに対する強制捜査


それに対するマスコミの報道姿勢や、
財界有力者、識者のコメントなどを見ていると、
この国が、いかにどろどろした“嫉妬”に満ち溢れているかが良く分かる。


報道を見る限り、
ライブドアの関連会社にかけられている疑惑は、

M&Aに際して「株式交換による合併」と発表したにもかかわらず、実際には現金買収を行っており、「株式交換のために」発行した新株を、ライブドア傘下の投資事業組合が売り抜けていたこと。
②さらに、①に合わせて株式分割を行い、株価を急騰させたこと。
③四半期決算の数値を水増しして公表したこと。

といったものであるようだが、
③はともかく、
①、②に関しては、いずれも明文で規制されている行為ではない。


株式交換によって株価が上がるか下がるかは、
統合比率やシナジー効果の予測等、個別の案件に左右されるところが大きく、
単に「株式交換をする」と公表すること自体が、
株価押し上げの材料として機能するとは限らない。
ライブドアの株価が上がったのは、
「業務拡大」に対する期待感ゆえであって、
株式交換と発表しようが、現金買収と発表しようが、大差はなかったといえる。


株式分割にしても、理論上は株価は変動しないはずであり、
手続期間中の需要逼迫により株価が急騰する、という“現実”は、
制度の欠陥により生じた、単なる“結果”に過ぎない。


そして何より、ダミーで発行した新株を
ライブドア本体が高値で売り抜ける行為は、
既存株主との関係では問題になることかもしれないが、
刑事罰を適用するに値するほどの違法性のある行為とは
到底思えない・・・。


上記のような行為は、
企業人としての“倫理”に反するものかもしれず、
証取法の精神に反するものなのかもしれない。


だが、単なる“倫理違反”に対して、
刑罰を課すことが許されるという道理はない。


自分自身、堀江社長の企業経営のスタイルや
ここ何年かの“風変わりな”言動には共感しかねる部分は多い、


だが、いかに堀江社長がマナー知らずの無法者だったとしても、
“法を犯す”行為に至った、ということが証明されない限りは、
何人も彼らを“犯罪者”として扱うことはできないはずである。


それがどうだ。


各メディアは、ここぞとばかりにライブドアの“不適切な経営”を責める。
ついこの前まで、堀江社長時代の寵児として持ち上げていたメディアが・・・
である。
記事を見る限り、証取法実務に疎い一般読者は、
あたかもライブドアが違法行為を働いて儲けている会社だと
思い込んでしまうだろう。


財界の人々や識者のコメントにしても同様である。
ビジネスのセンスに関しては、堀江社長に遠く及ばなかった
元・経営者たちが、「それみたことか」的な発言をするのは、
あまりに子供じみていて、笑うことさえできない。


本件は、政界や経済界のお偉方の嫉妬から始まった、
単純明快かつ低劣な“堀江潰し”の一環に過ぎないように思えてならない。


もし、最終的に警察・検察当局が、
本件を刑事事件として立件することができなくても、
あるいは立件して有罪を勝ち取ることができなくても、
かの会社が被るダメージは甚大なものとなる。


そして、それにより、
怨嗟に駆られて裏で糸を引いた者どもの目的は達成されるのだ。


先にも述べたとおり、個人的には、
今の堀江社長に対して、さほどの愛着は感じていない。
どうでも良いメディアに頻繁に登場する彼の姿を見ていると、
彼自身、何か「勘違い」していたように思えてならない。


だが、世の守旧派の人々が、
よってたかって“出る杭”を打とうとしている姿を見ると、
それはそれで、暗澹たる思いになる。


気骨のない“男妾”たちが、
したり顔で徘徊し、柄にも合わぬ「企業倫理」を説く時代*1


この国の行く末を案じざるを得ない。

*1:その意味では、終始一貫して“自分の尺度”の下で「ホリエモン」を否定するナベツネ氏の方が、まだ筋が通っている(笑)。

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