林檎とヤイコ

いつもブログ上でお世話になっている
駒沢公園行政書士事務所日記』の大塚先生から、
次のようなコメントをいただいた。

矢井田瞳の素晴らしさについては、「企業法務戦士の雑感」さんに
委ねたいと思います(笑)。」

http://app.blog.livedoor.jp/hayabusa9999/tb.cgi/50334502


ブログ界青空レコード広報担当」を自称する筆者としては、
非常に光栄なことではあるが、
できれば自分のような「たまに」ヤイコを語るブロガーではなく、
毎日(笑)ヤイコの魅力を伝えてくれるブロガーの登場を
待ちたいところである*1


ところで、その大塚先生のブログで言及されていた、

矢井田瞳による椎名林檎のパクリ疑惑」

自分はこれは「疑惑」ではなく、
れっきとした事実、そして「確信犯」だったと思っている。


なぜなら、ヤイコがデビューした時*2のレコード会社は東芝EMI
そして、当時の東芝EMIキラーコンテンツ椎名林檎


「B'coz I Love You」のジャケ写↓
そして、カラオケでは今でも見ることのできる当時のプロモを見ると、
東芝EMIがいかに「椎名林檎に似せようか」ということに
心を砕いていたかがよくわかる*3

B′coz I Love You

B′coz I Love You


元々、椎名林檎矢井田瞳の声は、そんなに似ているわけではない。
中音域から高音域に差し掛かるあたりが勝負どころ、という点では
近いところもあるのだが、節回しも含めて本来はだいぶ印象は異なる。
ましてや、曲が醸し出す世界観となれば、100%異なる*4


それが「似てしまった」ということは、
ヤイコにとっては明らかに不幸だったといわざるを得ない。
デビュー曲を聴いてヤイコ=パクリという固定観念を抱いてしまった人々が、
その後の彼女の曲をどこまで聞いてくれたかはわからないが、
それで、潜在的ファンを僅かながらでも失ったのだとしたら、
悲しいことだと思う。




もちろん、どんなアーティストでも、「売れ筋」に近づけるために
無理をすることがある。


まったく売れなかった平井堅が、「楽園」で起死回生の一発を放った例を
見るまでもなく、自分の世界観から離れた曲でも結果がよければオーライ*5
というのがこの世界の掟なのかもしれない。


ヤイコ自身、「B'coz」が売れていなければ、
“大阪の一インディーズシンガー”として人生を終えていたかもしれないから、
東芝EMIを一概に非難するわけにもいかないだろう*6


だが、ファンとしては昔を振り返った時に、
林檎どころか貞子すら出てきそうな、あのプロモを見せられるのは、
少しつらいものがある。


ヤイコは、広い意味での音楽観において、
一本筋の通ったアーティストである。
2004年頃からは、コピーコントロールCDをめぐって、
東芝EMIサイドとの諍いが生じているとも噂されていた*7


当時のヤイコのブログにこんな記事がある。

「あとね、やっぱし私は嘘つきが嫌いでね、ユーモアのある嘘なら結構なんですが、悪い方向に人を騙す嘘が嫌いなんですね、そちらの「嘘」や「からくり」が今の音楽業界にははびこってる気もして、なんて大それた事を言ってますが、そう思っているし、文化としてとっても危ないことだなぁ、と、危機感すら憶えてるんですよ。裸で音楽やんのが危険で不器用でアホなら、アホで居たいなぁーと思っているのです。そこに規模は関係ないんですね。そんな感じ。」(2004年7月17日「サイキンノヤイコ」より)

いかに音楽を「売る」か、ということに心血を注ぐレコード会社の思惑と、
自分の音楽観を死守しようとするアーティストの対立の構図、
もしかすると、相互不信の始まりは「パクリ疑惑」から
始まっていたのかもしれない。


そして、そういう経緯があるからこそ、
自分は新しい「ヤイコレーベル」を特段の思い入れを持ってみている。


ちなみに、2000年当時は、
大塚先生同様、自分も椎名林檎をよく聞いていた。

無罪モラトリアム

無罪モラトリアム


上のアルバムに入っている『丸の内サディスティック』を、
「報酬は入社後、下降線で〜 東京は愛せど 帰れない」という
地方配属者の嘆きの歌にしてみたり、
『歌舞伎町の女王』の替え歌を作ったり*8
カラオケでは大変重宝した記憶があるが、
『茜さす・・・』あたりをしんみりと聞くのも嫌いではなかった。


途中からついていけなくなって止めたのだが(笑)、
最近、「東京事変」の曲が流れてくるのを聞くと、
時代は移り変わっているのだなぁ・・・としみじみ感じる*9
あまり歳はとるもんじゃない(苦笑)。

*1:ちなみに「サイキンノヤイコ」(http://www.aozorarecords.com/yaiko/diary/diary.html)によると、ヤイコの新曲の唄入れが終わった模様&16歳シンガーSATOMIがデビューした模様。小さいレコード会社ではあるが、大企業に負けず息長くよい楽曲&アーティストを世に送り出してほしいものです。

*2:というかつい最近まで所属していた

*3:ちなみに、当時カラオケでよく使ったネタが、ヤイコの曲を椎名林檎風に歌うというワザ。たとえば「My Sweat Darlin'」で「幸福論」風に「祈りました〜思いが届きますようにと〜祈りました〜祈りました〜」「ダリダリ〜おいでませ〜見えますでしょ〜わたくしが〜」とやる。当時はかなりうけたが、現代の若者に通用するかは疑問である。否、絶対に通用しない(笑)。

*4:ヤイコの曲にシド・ヴィシャスは決して出てこない。

*5:いったん売れた後ならいくらでも自分の書きたい曲は作れるのだから・・・

*6:今でもライブに来た観衆全員が“歌える曲”として、重宝されているのも事実である。

*7:実際、ヤイコのブログでも、「オリジナル音源は絶対にCCCDにはしない!と再三ファンに向かってメッセージを送っている。

*8:内容は怖くてかけないので割愛

*9:一見変わってないように見えて、曲の世界観がだいぶ変わってしまったような気がするのが個人的には不満である。

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