トリノ五輪実況(その6)

アルペン女王秘話

もはや“実況”と言う看板は外すべきかもしれない。


ノルディック複合団体、後半の距離で見せ場は作るも、
終わってみれば6位。
スケート団体パシュート、転倒に救われた女子は転倒に泣く。
フィギュアスケート高橋大輔選手、
4回転が決まれば、と言われつつも、予定調和的に失敗。


元々そんなに期待していないので、
全部、ニュースでしか見ていない・・・(笑)。


そんな冴えない日本勢の話題より面白いのが、
アルペンのヤニツァ・コステリッツ選手(クロアチア)の話題。


この選手、ソルトレイクシティでは金3つ、銀1つと、
史上最高の一大会4メダルを獲得したスーパースターなのだが、
無名時代には、父親が運転する車に家財道具一式詰め込んで、
ヨーロッパ中を転戦していた、と言う逸話を持っているらしい。


このハングリーエピソードに加え、
現在でも家族が選手をサポートするファミリー性、
そして、「ケガや病気に苦しみながら競技生活を続けている」*1悲劇性は、
まさに日本人好みのキャラクターといえるだろう。


実際、日本との縁も深い。


日経新聞の北川和徳記者のコラム、「聖火の向こうに」によると、
無名時代に彼女をサポートしたミズノに恩義を感じたコステリッツは、
前回五輪後、契約の更新を申し出た同社に対し、
「苦しい時に世話になったから、次の4年間はそちらの言い値でいい」と、
ウエアの契約を継続したとのこと*2


今大会では、先に述べた体調不良ゆえ、
1種目目の滑降を欠場し、前人未踏の5冠は夢となったが、
代わりに「不振に悩んでいた」兄・イビツァが男子複合で銀メダル。
家族の姿は実に「絵になった」そうで*3


現在、IOCの選手委員投票では荻原健司氏と2枠を争っている、
というおまけも付いたりもする。


残る大会日程、
日本勢の“有望種目”が次々と討ち死にしていく現状ではあるが、
とりあえず、まだまだ見るべきところはありそうだ。

*1:日経新聞2006年2月16日付朝刊33面

*2:2006年2月14日夕刊17面

*3:小田島賢「透視線」日経新聞2006年2月16日33面

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