シムソンズの「源流」

やっぱり21日の朝のニュースの最大の主役は
カーリング日本女子代表チームであった。


職場では大のオヤジ達が、カーリングを見ていかに寝不足になったかを語り、
家の子供達がブラシを持って「カーリングごっこ」に興じていると嘆く。


前回五輪に出場した代表チームを素材にした
シムソンズ」が、先週末という実に素晴しいタイミングで封切られており、
国営放送は見事なまでに映画の番宣と化した。


今のところ細々と上映しているこの映画だが、
前評判は決して悪くない。
追い風を受けてロングヒットとなるのは確実な状況にある。
(公式サイト http://www.sim-sons.com/



そもそも始まりは、
長野五輪男子チームの若きスキップ、敦賀信人(まこと)選手。
網走管内常呂町生まれ、北海学園北見大学在学中に、日本代表チームに合流。
五輪後、家業の漁業をついて「ホタテの養殖や漁に出る毎日」。
http://www5.hokkaido-np.co.jp/kyouiku/kodomo/011013turuga/index.php3


上の記事は、ソルトレイク五輪前のものだが、

「来年のソルトレーク五輪の出場は逃しましたが、その次を目指します。漁業をやりながら出た人はいないそうです。見ていてください。もう一度五輪のリンクに立ちますから。」


何ともいえない素朴さと、秘められた野心を見て取れる。


当然ながら、今でも現役(らしい)。


そんな故郷の英雄を見て、カーリングに憧れ、
ついに五輪にまでたどり着いてしまった女子高生達、
それが「シムソンズ」。


話がどこまでホントかなんで、ある意味どうでも良いことで、
そんなストーリーもさもありなん、と思わせるような
小さな町で生まれ育った時点で、彼女達はヒロインになる資格を備えていた、
といえるだろう。


カーリングの町」常呂町のサイトがある*1


「新・北見市誕生まであと○○日」のカウントダウンが
トップページを飾りこそすれ、
町の人口を月単位でカウントできるこの町で、
「合併」という選択が大きな物議をかもしたであろうことは想像に難くない*2


だが、ここ数年で例を見ない、日本勢の「大不振」という偶然が、
故郷のヒロイン達を一躍全国区のスターに押し上げ、
終焉間近の町の歴史に、新たな一ページを刻んだ。
そんなおとぎ話のような偶然。


スイスに敗れた瞬間に、「シムソンズ」の第二幕は終わった。
道産子チームとはいえど、彼女達はあくまで「チーム青森」。
「第二の故郷」の皮算用は、世界選手権を経て地元から「第二のシムソンズ」を
生み出すことに違いなく、
人口4886名の町に第三幕の歓喜が訪れる保証はない。


それでも、今年の五輪をテレビの前で見た人々の記憶の根底には、
一つのストーンの行方に素直に感情を表現していた5人組と
常呂町」の名前が刻み込まれている。


小さな町の名前は消えても、全国の数万人の人々の記憶にそれが残るのだとしたら
それは、どんなおとぎ話よりも幸福なエンディング、
というべきなのではないだろうか・・・。


ちなみに「カーリングの町」にいまいちなりきれていない軽井沢*3でも、
つい先日国際大会が行われたようで。
http://www.karuizawaclub.ne.jp/icurling/japan


五輪代表抜きの「全日本」女子チームが3位に食い込んでいる。
日本カーリング界の未来は明るい!・・・のかもしれない。

*1:http://www.town.tokoro.hokkaido.jp/cgi-bin/odb-get.exe?WIT_template=AM020000

*2:昨年行われた「住民意向調査」でも「合併しないで自立する」(39.16%)が「合併を進めるべき、やむをえない」(37.59%)を上回っている。

*3:言わずもがな、長野五輪カーリング競技開催地。

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