新しい『法学教室』

新年度はどの雑誌も気合が入るようで、
いつもは薄いNBLなんぞでも、相当充実した中身になっているのだが(830号)、
特に第二次リニューアルを迎えた『法学教室』の気合は、
相当なものがあるように思われる。


法学教室 2006年 04月号

法学教室 2006年 04月号


高橋宏志教授の巻頭言から、
相当のインパクトがあるし、
大内教授のコラムも過日のエントリーで紹介したとおり。
主要3科目の新司法試験プレテスト解説も、
相当のスペースを割いて掲載されている(いまさらの感もあるが)。


そして、何より新たに始まった連載企画が、
思った以上に充実しているような気がするので、
とりあえず、感じたまま、以下で簡単に触れていくことにしたい。

入門講義 物権・担保物権

神戸大学の安永正昭教授の連載。
スタンダードな講義系解説だが、
物権法だけで24回連載予定、というのはなかなかのもの。
特に担保法の解説には、今後注目したい。

新会社法講義

昨年9月に「中断」されていた「商法重点講義」の続編となる
落合誠一教授の連載。
これまで会社法といえば、江頭先生が前面に出ていた感があるが、
落合先生がどういう見解を示されるのか、興味深々といったところである。
これも全24回予定。

エンジョイ!行政法

座談会形式で行政法のトピックを論じていく、という
どちらかといえばジュリスト系の形式。
何と言っても、学習院大の櫻井敬子教授の思い切った発言が痛快である。

事例で学ぶ刑法

これまた、これまでの刑事系連載とはうってかわって、
試験対策を強く意識した感のある内容。
ここまでやるのなら、
毎回の設例に対する模範解答まで示していただけると、
なおさら面白いのだが。

新労働法講義

荒木尚志教授による連載。
おそらくスタンダードな解説が連載されていくものと思われる。
当然ながら、就業規則変更法理のあたりの解説が見物。

対話で学ぶ刑訴法判例

これも座談会形式で、
上智大の長沼範良教授、名古屋大の大澤裕教授が、ゲストを交えつつ、
判例をベースに刑訴法の問題を解説していく、
という趣旨の企画のようだ。
第1回では「判例の読み方」についても、コメントがなされており、
なかなか興味深い。

独禁法事例の勘所

これまた異色の連載。
何せ、基本的に関連しない複数の事案について、
それぞれ「事例の勘所を書き連ね」ていくということで、
白石教授のウェブサイトの雑誌版、といった方が的確だろうか。
相変わらず“白石節”がスパイスとして利いている。

実践消費者法/民事再生法講義/医療と法を考える

消費者法は、実務家かつ京産大教授の坂東俊矢氏のご担当。


民事再生法は松下淳一教授のご担当だが、
何で破産法より先に民事再生から入るのか、ちょっと気になるところ。


医事法は、多彩な場面で活躍されている樋口範雄教授がご担当。
個人的にはあえて「医事法」という法ジャンルをつくるまでもないような
気がしているのだが・・・。


演習コーナーも一斉に執筆者が交代したのだが、
まだ始まったばかり、ということもあって、
どの科目にも気合の入った解説がなされている。


以上、発展系科目が大幅に増えたこと等もあって、
読み物としての面白さが以前より増したようにも思える『法学教室』。
これからの2年間もまた十分楽しめそうな気がしているのだが如何?


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