31日の夕刊に、
一橋大学大学院教授・梶田孝道氏の訃報が掲載されていた。
国際社会学の第一人者として高名な梶田教授であるが、
まだ59歳。何とも惜しまれる*1。
自分が大学に入った時、
周囲に勧められて読んだのが、
- 作者: 梶田孝道
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1993/11/22
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (2件) を見る
その後、同教授の編集にかかる
- 作者: 梶田孝道
- 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
- 発売日: 1992/01/01
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
を自主的な勉強会の素材として使ったこともある。
当時は、冷戦終結後まだ日も浅く、
壁が崩れた欧州では、統合と分化という
二つの大きなウネリが渦巻き始めていた。
民族、宗教、性といった社会学的視点から、
20世紀最後の大変革期を敷衍する、という試みは、
極めて野心的な試みであり、
それゆえ、学問の城に足を踏み入れたばかりの学生には、
十分に魅力的なフィールドのように映ったのである。
もっとも、気持ちの移ろいやすい教養課程時代の話、
『Foreign Affairs』の輪読を始めた辺りまでは、
順調に見えたプチ・学究生活も、
いつしか、日常の仕事の慌しさに流され、
気が付けば、梶田教授の数々の著作も本棚の隅に埋もれ*2、
残されたのは、やりたいと思っていたことを
志半ばで放り出した苦々しさだけ。
あれから10年以上たち、
その後、師の執筆、編集にかかる著作も
世に多数出されているようである。
20歳前後の気恥ずかしい野心と浅はかさを思い返すのが嫌で、
長らく遠ざかっていた書店の一コーナーだが、
余裕のある時にでも、また眺めてみようかと思う・・・。
*1:梶田教授の業績等については、http://www.soc.hit-u.ac.jp/faculty/kajita.html参照。
*2:当時は、満足に本を買う余裕もなかったから、「大量のコピーの山の中に・・・」と表現する方が正しいかもしれないが。