待ちに待った、
『爽健美茶限定、矢井田瞳ライブ』@東京国際フォーラム。
元々都内随一を誇るハコの上に、ステージにも近い絶好の席。
入場ゲート前に鎮座する巨大ペットボトルだとか、
特定の会社の関係者が名を連ねる花輪とか
スタッフのTシャツとか、
特定企業とのタイアップイベントであることを
強く想起させられる演出はやや気になったのだが、
いざ幕が上がれば、そんなことは関係ない。
場内を埋めた大観衆。
このツアー恒例の、
「初めての人、手を挙げて〜」によれば、
元々のヤイコのファンは、多く見積もっても半分が良いところ。
残りは、クーポン集めて“とりあえず応募してみた”人々や、
ナツメロ聞きたさに駆けつけたヤイコライブ初見参の“お客さま”
といったところだろう。
だが、平成の名曲を1曲、2曲と歌い続けるうちに、
高まっていく場内の興奮。
(以下、若干のネタバレあり。注意されたし。)
ウルフルズやB-ing系といった元々ロック調の楽曲はもちろん、
aikoだのドリカムからアバだのサザンだのまで、
独自のアレンジと張りのあるヴォーカルで、
自分の世界観に引きずり込む天賦の才能。
そして、締めとアンコールは
いつもの定番を織り交ぜてビシッと決める・・・。
アンコールの最後の曲で、
ただ座って、ステージを眺めていただけの“お客さま”は
場内からほぼ姿を消した。
老若男女問わず、リズム感があろうがなかろうがを問わず、
心と身体を振るわせた平成の“ええじゃないか”。
そして、歌声というフィルターが、
群衆の中に渦巻く情念を感動に変えていった・・・。
今回が5度目のツアー、6度目のステージ、という
“ちょいコア”な筆者にしてみれば、
アンダンテもB'cozもない、
手と涙もモノクロレターもない今回のライブは、
大河ドラマのダイジェスト版を見せられたような
あっけなさ、忙しさを感じさせられる
ものであるのは事実だ。
だが、そういった“いつものノリ”への期待感を排して、
ただ純粋に一人のアーティストのステージ、として
今回のライブを見れば、
これが最上級のパフォーマンスといえるものであることは、
揺るぎない事実だと思う*1。
あと、特筆すべきは、
武道館や東京ドームのステージでは決して見せなかった
饒舌なMCと、派手なアクション。
そして、ここ数年では一番といってよい、
強烈なパンチの効いたヴォーカル。
アーティスト・矢井田瞳の中で、何かが吹っ切れたのだろう、
そう感じさせられた2006年8月1日のステージ*2。
彼女に対して“歌姫”という称号はもはや似つかわしくない。
目の前に群がる観衆、そして場の空気、
そんな全てを支配する彼女には、
“QUEEN”の称号こそが与えられるべきだと思う・・・。
そんな、最高の夜だった*3。