ダーレー・ジャパン・ファームの逆襲

ここで、スポーツ系法律ネタを一つ。

「北海道日高町の競走馬生産法人、ダーレー・ジャパン・ファーム(高橋力代表)が4日、日本中央競馬会JRA)への馬主登録申請を却下されたことを不服として、行政手続法に基づく不服申立てを行った。」(日経新聞2006年9月5日付朝刊・第37面)

「行政手続法に基づく不服申立て」って何じゃ・・・?
っていう突っ込みは、ここでは割愛するとして、
この問題の背景に、

「日本に進出を図ろうとする外国資本(=オイルマネー)」vs「日本の生産者・馬主連合」

という構図があるのは疑いようもない事実なのであって、
単なる競馬の主催者として、だけではなく、
日本の馬産振興への貢献も求められる特殊法人としての中央競馬会が、
後者の意向を汲んで上記のような申請却下処分を行っていることも、
容易に推測できる。


この問題に関しては、
日経新聞野元賢一記者の↓コラムが詳しい。
http://www.nikkei.co.jp/keiba/column/20050731e1h3101731.html


上記コラムによると、
「馬主登録のための一連の資産要件」は満たしつつも、
「馬主登録欠格者である非居住外国人の「身代わり」」
という疑いがあるがゆえに、
申請却下処分に至ったことが推測されるのであるが*1

「(ダーレー・ジャパン・ファームは)既にDJFは北海道・日高に100ヘクタール以上の牧場を買収し、種牡馬5頭、繁殖牝馬36頭を擁している。」(上記コラム)

ということであるから、
果たして、登録申請却下という結論を導くだけの
合理的な理由があったのかどうか、疑問の残るところである。


馬主はともかく、
零細経営の牧場を多く抱える馬産地の現状をかんがみれば、
生産者団体が安々と賛成するわけにはいかない、という現実も
理解できなくはないのであって、

「今回の問題は、日本の競馬サークルがいかに競馬の本質から離れた思考方法をしているかを露呈した。優れたサラブレッドをつくる原動力は、潤沢な資金である。カネのない人は、草の根を分けてでも出してくれる人を探すべきなのだ。全てを自前でやろうとして、負債でがんじがらめになったことが、多くの生産者の敗因である。有力な馬主、生産者でさえも、カネのあるよそ者を排除しながら、自力で業界の縮小傾向に歯止めをかけることは出来ず、口を開けばJRAに救いを求めるありさまである。」

という、野元記者のコメントに対しては、
賛否両論あるところだろう。


だが、資格要件を満たしているにもかかわらず、
申請を却下する、という判断を行うことは、
行政庁が取るべき態度としては、決して妥当なものとは思えない。


処分の当否を論じるには、
自分の手元にある情報はあまりに乏しいのであるが、
ここは続報を見守ることにしたいと思う。

*1:コラムは2005年の記事であり、その際にはダーレー・ジャパンが自主的に申請を取り下げた、とあるが、今回改めて申請がなされたようである。

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