東大法科大学院入学試験の法律科目試験における点数等の開示をめぐり、
情報公開・個人情報保護審査会が開示を促す答申を出した、
というニュース。
http://www8.cao.go.jp/jyouhou/tousin/h18-dk01/dk006.pdf
当事者の主張、及び審査会が行った判断の詳細については、
小金井兵庫氏のブログに詳しいので割愛するが、
(http://blog.livedoor.jp/koganei_hyogo/archives/2006-12.html#20061208)
審査会の意見は至極まっとうなもののように思えるし、
そもそも大学側が、法律科目試験の結果以外に、
「総合審査」に用いている学部の成績や英語のスコアといったものは、
敢えて開示請求をするまでもなく
初めから受験者に明らかになっている*1のだから、
それと同じく「総合審査」の一要素とされるものに過ぎない
法律科目試験についてのみ、
① 東京大学法科大学院の入学選抜は総合選抜であるから,法律科目試験の成績を開示することは合否判定の中間資料を提供することに等しいこと
② 本件対象保有個人情報を開示した場合,受験生や法科大学院受験予備校がこれらを分析し,これに対する対策を講ずることが予想され,それにより良質な試験問題の作成業務に差し支えが生じること
といった理由で、ブラックボックス化させることには、
そもそも何ら合理的な理由がない、といわざるを得ないだろう*2。
大学側としては、おそらく
③ 本件対象保有個人情報を開示することにより,同じ得点でも合否が分かれる場合が明らかになり,これにより合否判定における表面的な不一致等が指摘されたり,合否判定に対する質問や苦情,批判,いわれのない非難等がされるおそれがあることから,審査担当者の率直な心証が合否判定に反映されにくくなり,適正な総合審査に支障が生じること
が一番恐れていた事態なのではないかと思うが、
これも白昼堂々と主張するような話ではない。
これで不開示が認められてしまうのであれば、
行政訴訟も念頭に置いた開示請求に日々晒されている
各種行政機関から怨嗟の声が上がるのは必至であろう。
制度変革期においては、
どうしても“うるさ型”の受験生も多くなるから、
大学側の危惧もわからぬではないが、
この種の試験においては、成績を開示しようがしまいが、
合否結果に不満を持つものは持つのだから、
開示を行った方が、
不合格者への説得材料が増えて良いではないか(笑)、
というのが筆者の率直な意見である*3。