フィクションの中のフィクション

久しぶりに『華麗なる一族』(TBS系)を見ていたら、万俵親子の争いが本格的な法廷闘争に持ち込まれそうな気配である。


最後のシーンでは、丁寧に法廷のセットまで登場させて、鉄平(木村拓哉)と大介(北大路欣也)の親子対決まで演出していた。


確かに原作にも、鉄平が「阪神特殊鋼代表取締役専務」の資格で「同社非常勤取締役・万俵大介」を告訴する場面は登場するのだが、これはあくまで「特別背任罪」に基づく「刑事告訴」だし、実際には公判が開かれることもなく、(万俵大介らしい)“姑息な手”で終結する、というストーリーになっているので、この部分に関しては今回のドラマオリジナルの“創作的演出”ということになるのだろう*1


おそらくは、同じ山崎豊子氏原作の『白い巨塔』で裁判シーンが好評だったこともあって、演出側が気を利かして盛り込んだシーンなのだろうし、これまで散々原作を書き換えている今回のドラマのことであるから、今更何が飛び出してきてもあまり驚かないのであるが*2、ラストに向かう大事な場面で、オリジナルの「裁判シーン」が登場するなんて、時代も変わったものだ、とつくづく感じさせられる*3


金融業界といえば、つい最近まで「信用問題」を恐れて、よほどのことがない限り裁判所の厄介にはなりたがらなかった業界だから、モデルになっている60年代に本当に民事法廷に親子対決が持ち込まれていたら、銀行合併の話など一瞬にして雲散霧消していただろうし、その意味で、時代考証的には少しクビをかしげたくもなるのであるが、ドラマの場合、某裏番組のように“捏造”呼ばわりされる心配もないから、まぁ、これもありなのだろう(笑)*4

*1:今回も終わりの方しか見ていないのでかなりいい加減なのだが、“法廷対決”は明らかに“民事”の設定だったし、ドラマの中では最終的に取締役会決議をもって訴訟提起を決めていたので、会社が原告となる損害賠償請求事件(非常勤取締役としての善管注意義務違反を追及しているのか(旧商法266条1項5号)、単純に不法行為責任を追及しているのかは不知)というシナリオになっているものと推察する。

*2:出生の秘密を第2話くらいで親父の方から暴露してしまったり(原作では、お互い疑われているのかどうかさえ分からない、という腹の探り合いが独特のテイストをかもし出していたのに・・・)、三姉妹が二人姉妹になっていたり、「角福戦争」という当時の世情をうまく取り込んでいた“不正献金”のエピソードが、あくまで親子対決の延長線上の話にまとめられてしまっていたり(被害者は大川一郎先生(笑))・・・、と取り上げていくとキリがない。

*3:おそらく一昔前なら、民事裁判のシーンなんて、原作にあったとしてもあっさりカットされて不思議ではなかった。ちなみについ最近の唐沢寿明版『白い巨塔』でも、原作に比べると裁判シーンはかなり端折られていたと思う。

*4:それにしても、よく山崎豊子先生がOKだしたな、このドラマ・・・。

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