バブルの再来

改めて報道されるまでもなく、皆気付いていることなのであるが・・・

「産業界で2008年春の新卒の争奪戦が早くも過熱している。電力十社の採用計画は計2840人と07年春から約3割増え、「オール電化住宅」の営業強化などで約10年ぶりの高水準。イトーヨーカ堂は大卒で3倍近くの200人を計画、メガバンク3グループも計5400人と大量採用を維持する。長期の景気拡大と業績好調を背景に企業は人材確保を急いでおり、「内々定」のピークは4月上旬に早まりそうだ」(2007年3月8日付け朝刊・第3面)

ここ最近では珍しいくらいの浮かれた“好業績マンセー”ムードに加え、団塊世代の一斉退職で賃金減資が浮いていることもあって、大量採用に走る各社。


景気なんて所詮「気」でしかないのだから、ちょっと風向きが変われば“金の卵”が“余剰人員”になってしまうというのは目に見えているし、今は低賃金労働力たりうる“新入社員”も、そのまま数十年経てば“高給とり”になるのは火を見るより明らかだ。


にもかかわらず、「正社員」という労働力を、後先考えずにとりまくっているサマを見ると、企業の経営者とその忠実なしもべたる“採用族”が、いかにアホかが良く分かる(笑)。


今、ちやほやされて浮かれている(かもしれない)学生の皆さんは、バブルの頃に入社した先輩方が、今社内でどのような扱いを受けているかよーく教えてもらってw*1、内定後、もう一度その先の人生について考えてみることをお勧めしたい。


もっとも、周りを見回すと、就職氷河期に厳しい競争をくぐりぬけて入ってきたはずの“精鋭”世代が大人しく周囲の顔色をうかがいながら生きているのに対し、楽々入社したバブル世代や、ここ1〜2年の入社組が、自信満々に生きている事に気付く。


ある40前後の先輩の口癖は、「会社なんていつでもやめてやるぜ、けっ。」で、実際、上司だろうが役員だろうが、言葉どおりの勢いで当たり構わず喧嘩を売ることで通っている。


本人曰く、本当は別の会社に行くことを決めていたのだが、「連日連夜の接待の末、リクルーターに泣きつかれて」今の会社に“入ってやった”そうで、入社当時から数々の武勇伝を残し、それから15年以上経った今でも、当時の強気は健在だ。


結局、会社の中での人生が、その人にとって満足できるものになるかどうかは、自分自身が“会社”というハコよりも精神的に優位に立っているかどうかで決まるのだと思う。


実際に自分がリクナビに登録して、採用のお誘いが来るかどうか、なんてことは問題ではないのだ。


所詮は「自分に入ってほしくてヘコヘコ頭たれてた会社」に過ぎない、っていう思いを会社に対して抱き続けていることが大事なのであって、その気持ちを忘れない限り、どんなに仕事ができない人間でも、職場でどうどうと胸張って歩いていけるし、強気に人生を組み立てていくことができる。


いくら「バブル入社め・・・」と後ろ指を差されても、自分が間違っている、と悩まなければそいつの勝ちなのである。



時代は変わり、東大法学部生でさえ、エントリーシートをせこせこ書かなければ面接さえ受けられなくなってしまった今*2、いかに採用人数が増えても、昔のような美味しい思いを学生が味わうことは、もはやないのかもしれない。


だが、これまでに比べれば、はるかに「売り手市場」なのは確かなのだから、企業の担当者の顔色をうかがって一喜一憂するような謙虚な姿勢は捨てて、面接担当者に堂々と啖呵を切るくらいの勢いで立ち向かってきてほしいものだと願っている*3


三つ子の魂百まで。


卑屈な気持ちで採用活動を突破してきた人間は、会社に入ってもずっと卑屈なまま生きていかねばならないし、胸を張って突破してきた人間は、何年経っても子供のように強気に生きていける*4


なお、日経紙には「内々定のピークは4月上旬」などと悠長なことが書かれているが、ご冗談を(爆)。


業界の目下の読みは、4月1日から2、3日の間。既に「1日の休みはないものと思え」との大号令の下、本社社員総動員体制をかけている会社は、決して少なくない・・・(その方が、厄介な新入社員研修ともかぶらなくてすむので、人事サイドにとっては好都合なのだろう(笑))*5

*1:自分も一時的な景気回復期(プチ・バブル期)に入社した世代だけに全く人のことは言えないのだが・・・。

*2:バブル期の先輩方の中には、内定するまで簡単な経歴書すら書かずに済ませていた人も多いし、自分の時代でもハガキ1枚書けばそれでOKだった。

*3:それくらいしてくれないと、面接する方も飽きてしまう(笑)。

*4:後者のタイプの人間が叩かれて“普通の人”になることはあっても、前者のタイプの人間が覚醒して暴れ出すことは考えにくい。

*5:もちろん、昔に比べると、採用時期の長期化が進んでいるので、5月くらいまでは“拾い物”的会社も残っている可能性は高いと思うけど。

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