減り続ける社会人入学者

文部科学省は16日、2007年度の法科大学院(74校)の入試実施状況を公表した。入学者総数は前年度比1.2%減の5713人。2年ぶりに減少に転じた。このうち社会人(1834人)は同4.7%減り、3年連続の減少となった。」(日本経済新聞2007年5月17日付朝刊・第38面)

まぁ、予想された結果なわけで。


もっとも、記事では、

法科大学院修了者を対象にした新司法試験の合格率が低下し、同省(注:文部科学省)は「仕事を辞めてまで挑戦することに及び腰の人が増えている可能性がある」と指摘する」(同上)

といったように、「合格率の低さ」が入学者減の原因であるかのように報じられているが、去年、今年と行われている新試験の状況などを見ても、実際には当初の予想よりははるかに“広き門”になりつつある今、それだけが決定的な理由とは思えない。


社会人にとって大事なのは、「法科大学院に行くこと」に試験受験資格を得ること以上の意義が認められるかどうか、そして、「修了した後」にそれまでよりも前向きな人生が待っているか、ということなのであって、それらの点について、不安を解消するような声が聞こえてこなければ、試験合格率が高かろうが低かろうが、わざわざ大学院に行く気にはならないだろう*1


そして、現状の問題は、そういった意義を説得力を持って語れる人がいないことに由来するのではないかと思うのである*2



なお、どんな世の中でも、現状に飽き足らない、組織の中で怠惰に日をむさぼることを潔しとしない、という人々はいるから、社会人入学者は徐々に減りこそすれ、極端に数を減らすことはないだろう、というのが筆者の読みで、むしろ、これだけ新卒求人が恵まれている世の中で、就職できるのにあえて2年間勉強しようと思う人間がどれほどいるか、ということの方がこれから問題になってくるのではないかと思う(いわゆる他学部未修、進学既修組の大幅減の傾向が出てきそう)。


当然歴史なんていうのはいつでも繰り返すから、今勇んで会社に入った人々は5〜10年も経てば、有力な「社会人未修」の人材供給源として一大勢力になるような気もするのは確かだが・・・(笑)。

*1:試験に受からなくたって、法科大学院で学んだということが転職時のスペックアップにつながるのであれば、現役社会人にとっては十分なのだ。

*2:おそらく、これから世に送り出される未修1期生の連中がそういう役回りを演じていくのだろうが。

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