新しい「準則」の解説

ようやくAmazonでも買えるようになったようなのでご紹介。



恒例の準則の平成19年度版は、今回から「電子商取引及び情報財取引等」に関する準則、と看板を架け替え、知財取扱いのガイドラインとしての性格も前面に押し出してきている。


準則の内容自体は、既に公開されているものと同じであるが、 それに図解や、執筆担当弁護士のコメントを付けたのがこの冊子。


正直、「コメント」といっても、各論点について1ページ程度の「一言コメント」に留まっているので、既に平成18年度版以前のものを持っている方が改めて買う意味があるかどうかは疑問なのであるが、まだ持っていないのであれば、一冊は手元に置いておくのが良いのではないかと思う。


なお、以前にもご紹介したとおり(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20070114/1168792290#tb)、「写り込み」や「サムネイル画像」の利用の取扱い等について、このガイドラインはかなりユーザーサイドの利益に配慮した解釈を示しており、同じ省庁が映画盗撮防止法案を背後でバックアップしている(少なくとも政府参考人の国会答弁等を見る限りは、そのように思える)ことを考えると、何とも皮肉なことと言わざるを得ないのだが、この辺は「担当部署が違えば利害関係も変わる」ということで、諦観するしかないのだろうか。


奇しくも、5月31日付けの日経朝刊には、

「税金滞納者からの差し押さえ品をもとに、国税庁が6月から入札を始めるネットオークションを巡り、文化庁が「著作権法違反の疑いがある」と指摘していることが分かった。洋画家で文化功労者の故東郷青児氏の作品などが既にサイトで紹介されているが、国税庁著作権者から許諾を得ていない。国税庁は「権利者の不利益ではない」とするが、入札を控え同庁の対応が注目を集めそうだ。」(2007年5月31日付朝刊・第38面)

と、「国税庁vs文化庁著作権者」の構図での新たなバトルの勃発が報じられており*1、こういった問題なんぞは、まさに上記ガイドラインの俎上に乗せられてしかるべき事柄であるから、筆者としては、次年度の改訂に際して「直接の利害関係を有しない」“経済産業省知的財産政策室”の責任で、是非とも妥当な線での解釈論を示していただきたいものだと願っているのであるが・・・。

*1:この問題については、知財管理59巻9号(2006年)において北大の田村善之教授が、いち早く論稿を公表されており、本ブログでも既にご紹介した(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20061207/1171092870#tb)。

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