成田国際空港で、長いバカンスから帰国してきた人のコメントにこんなものがあった。
「ハワイで9日間の休暇を満喫してきたという会社役員の男性(52)は、「為替が出かける前よりも5円以上円高になっているとは。手持ちのドルは両替しないで次の旅行まで持ってるしかないのかな」と話していた。」(日本経済新聞2007年8月18日付夕刊・第11面)
これを聞いて思い出したのは、2003年の3月にアメリカに1週間程度滞在して、帰ってきたときのこと。
アメリカのイラク侵攻が目前に迫っていた、とか、いろいろな要素はあったのだろうが、円は買われているし、株は大暴落しているし、と、空港でその日の日経新聞を手にとって唖然としたものだ。
その後、株価は落ちるところまで落ちていったし(日経平均は今の半分くらいだった(苦笑))、持ち帰った100ドルパックは未だ机の中に眠らせることになったのだが、その後2,3年の間に状況が一気に逆転したのも、また皆様ご存知のとおり。
あの時、株を本格的に始めたばかりだった自分は、その後1ヶ月くらいで貴重な資産をいったん全部売り払ってしまったのだが、売った株をそのまま保有していたと想定した場合の含み益は、ボーナスを優に上回るくらいの額までには膨れ上がっている。
今回のサブプライム騒動で、文字通り“真っ青”な自分のポートフォリオの数字を見て、首をつりかけている方もいらっしゃるのかもしれないが、どうせ何年もすれば、「会社が潰れない限り」元通り(あるいはそれ以上に)戻るのは歴史の法則上明らかなわけで、無責任なコンサルタントの“損きり”煽りに惑わされることなく株式を持ち続けるのが賢明、というものであろう。
もっとも、これはあくまで現物主義者だからこそ言える話なのであって、信用売買で一攫千金を狙っていた方々にはご愁傷さまというほかないのであるが・・・。
なお、本ブログでも何度も述べているように、株式投資(これに限らず多数の公衆が取引に参加する金融商品はすべからくそうである)なんて、ギャンブル以外の何物でもないのであるから、自分でコントロールできないレベルのリスクを孕むような取引に素人が手を出すのは、いかがなものかと思う*1。
その意味では、株の信用売買に手を出している素人投資家より、
「週末馬券が買えないから、競艇場に行く」
とのたまうオヤジどもの方がよほど健全だし*2、金融教育などといういかがわしい思想を子どもに吹き込もうとする業界関係者は、そこまで教えてあげて、初めて自分の使命を達したことになるのだということを、よくよく自覚していただきたいものだと思うのであるが・・・。