スティールに続く“恥ずかしい話”になるのではないか、と危惧されていた楽天のTBS株式取得の件だが、TBSの第三者機関「企業価値評価特別委員会」が、
「楽天が濫用(らんよう)的買収者かどうか断定できない」
として、防衛策を発動しないよう勧告した、というニュースが飛び込んできた。
TBSとしては淡々と臨時株主総会を開いて、買収防衛策を導入するつもりだったのだろうが、この“空気を読まない”勧告のおかげで、それもおじゃんに。
単なるファンドならともかく、「放送とインターネットの融合を目論む事業会社」を「濫用的買収者」扱いしようとするTBSの感性は、元々理解に苦しむものであったし、防衛策の発動などもってのほかだと思われるから、「第三者機関」として下された今回の勧告は率直に評価されて良いと思う。
もちろん、本件に関しては、たとえ株主総会決議で最終的に導入が決定されたとしても、裁判所に持ち込まれれば微妙な判断になりうる事案だっただけに、公的な判断を当分みることができないというのは少々残念なのだが、実務的には、無駄にコストを支払って株主総会を行うという愚を避け、この国のM&Aルールの不透明さを世界に知らしめずに済んだ、という点で、やれやれ・・・といったところである。
まぁ、第三者機関が付している条件を読む限り、結局楽天にしてみても、保有株を塩漬けにされただけで、誰も得をしない勧告だった、という評価もありうるのだろうが・・・。