欧州の思想

マイクロソフトが「Windows」の独占的地位を濫用した、として、欧州委員会が是正措置を発令した問題で、欧州司法裁判所の第一審が欧州委員会を支持する判断を下した。


欧州委のクルス委員(競争政策担当)などは、

「ソフトウェアで消費者の選択の幅を広げるという欧州委の歴史的な決定が支持された。マイクロソフトは是正命令を完全に順守しなければならない」(日本経済新聞2007年9月18日付朝刊・第7面)

と怪気炎を上げた後に、

「(マイクロソフトの)市場シェアの著しい低下に期待する」(日本経済新聞2007年9月18日付夕刊・第3面)

とついうっかり本音を漏らしてしまうお茶目な一面を見せたりもしているのだが、欧州委の姿勢が裁判所で支持された、という現実は動かないし、今後もヨーロッパの裁判所で争う以上、これが覆されるとは考えにくい。


いかに「消費者の選択肢を増やす」ためとはいえ、現在パッケージになっているソフトウェアを全部分離してしまったら、ユーザーサイドから見た利便性は大いに損なわれると思うし、世の中の様々なリソースが稀少化していく中で、企業間競争がもたらす無駄なコストも、これから看過できない問題になっていくと思うのであるが、それよりも何よりも「競争政策」を第一に考えていく、ということであれば、それもその社会の「思想」として尊重すべきなのだろう。


もちろん、我が国がそれを“猿真似”することが正しいといえるかどうかは、全く別の話なのであるが。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html