え、あの人が・・・?

楽天子会社によるTBSの帳簿閲覧請求をめぐり、東京地裁楽天側敗訴の判決を出したのだが、記事を見て驚いたのは、その結論よりも何よりも・・・

楽天の子会社がTBSの会計帳簿の閲覧・謄写を求めた訴訟の判決で、東京地裁難波孝一裁判長)は20日、「親会社の楽天を含めてTBSと実質的に競争関係にある」と認定、楽天側の訴えを棄却した。」(日本経済新聞2007年9月20日付夕刊・第3面)

数々の労働事件を担当し、アンチ労働者サイドの人間からは「鬼の難波コート」と恐れられたあの難波裁判長が、商事事件を担当されているとは・・・。


確かに、東京地裁のサイトを見ると、難波孝一裁判官の所属は民事第8部、高名な鹿子木康裁判長と並んで、商事部の合議体のトップを張られている。


イメージ的にはピンとこないところもあるが、このあたりが法曹人事の懐の深さ、というべきなのだろうか。


個人的には、会社関係事件の中でも判例形成が遅れている、「組織再編に伴う労働契約承継法上の問題」あたりの争点について、ご判断を仰ぎたいものだと思ったりもするのであるが(笑)*1


ちなみに、本筋の話を少しだけしておくと、今回、TBSは勝つには勝っているが、今後楽天が株式を買い増した時のことを考えると、TBS側が行っていたであろう反論によって、“両刃の剣”的な状況が生じている、ともいえるのではないかと思う。


なぜなら、裁判所は、

楽天側は既にCS放送など放送事業を営んでいるほか、インターネットと放送の融合を志向しており、近い将来に競争関係はますます厳しくなる可能性が高い」

と判断しているのであり、このような前提が裁判所に認められたことで、TBSとしても、買収者たる楽天に対して「濫用的買収者」というレッテルを貼りにくくなるように思えるからである。


楽天側がそこまで計算して帳簿閲覧請求を仕掛けたのであれば、相当な策士だなぁ、と思うのであるが・・・。

*1:普通に考えれば労働部に係属する事件だろうが、会社分割の効力そのものを争うような形にすれば、こちらに流れてくることもあるかもしれない。

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