ハードランディングな消費者行政

経営悪化が伝えられていた英会話学校の「NOVA」が、大阪地裁に会社更生法の適用を申請し、同地裁が財産の保全管理命令を出したことが報道されている。


あくまでスポンサーを探して再建を図る方向とはいえ、伝えられている負債額(439億円)や、講師に対する未払賃金等、優先債権だけでも相当存在するであろうことを考えると、受講生が前払いした受講料が全額返済される可能性は、残念ながら乏しいと考えるべきだろう。


あとは、英会話学校業界が、信頼失墜を防ぐため、一致団結してNOVAの生徒の受け入れという決断をするかどうかの問題となろうか(そうなれば、お金は返ってこなくても講座は引き続き受講できることになる)。


いずれにせよ、業界最大手に対するちょっとした懲らしめが、(対象企業の経営基盤の弱さゆえ)とんでもない結末を引き起こした事例として、本件は記憶に残されなければなるまい。


もちろん、何事も、「たら、れば」は禁物である。


それに、解約返戻金をめぐる最高裁判決が大いに疑問を抱かれるような内容であったとしても、トラブルの背景にはそれ以前の問題(いわゆる不当勧誘や著しい説明不足)があったことは容易に推察されることだし、顧客離れを招いたのは、上記最高裁判決でも、経済産業省による今年6月の行政処分でもなく、それらに便乗したメディアのバッシングだったと思われるから、これで受講料が戻ってこなかったからといって、司法、行政の対応が悪いと怒るのは筋違いだ。


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これが、強力な業界団体を擁する銀行、保険、証券等々の分野だったら、「主力かつ唯一といってよい事業で、新規契約を6ヶ月間禁じる」なんて処分を当局が下しただろうか・・・?などと考えるのは野暮というものなのだろう(苦笑)。


そして、これも世の中で良く見られる構図の一つなのだ。

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