少し疲れてるのかもしれないけれど・・・。

冷静に考えたら、今年に入ってから週末にゆっくりと休む、という時間を過ごした記憶がない。


同じように時間に追われていても、プライベートな活動であればまだ気分の切り替えができるから良いのだが、特にここ数ヶ月は土日も含めてほとんど会社に出ずっぱり、ということもあって、自分の専門に関係ない法律雑誌の記事でも読んで気分転換・・・というのもままならない。


ここんとこブログの中身が停滞気味なのもそのせい、と言ってしまうと、あまりに言い訳がましいのであるが、それでも半分以上は事実である。



最近ちょっと仕事に追われすぎてるんじゃないか、と随所で心配してくれる人はいるし、ここまでムキになってやらないといけないほど、仕事に絶対的な支障が出ているわけではないのだが、それでもどことなく追い立てられる気分になってしまうのは、心のどこかに焦りがあるからだろう、と思う。


サラリーマンである以上、自分の腕にどんなに自信があっても、辞令の紙一枚で全然関係ない部署に飛ばされる可能性はあるし、「法務」という職制が確立されていない会社では、なおさらその確率は高い。


世のサラリーマン一般にとって見れば、所詮「法務」のようなスタッフ職は下働きに過ぎず、スタッフ職のプロ<<<<ライン管理職なのは言うまでもない話で。


いくら球団の親会社が大企業でも、一軍でバリバリ活躍中のエースピッチャーに向かって「君は良く頑張ってるから、明日からフロントの役員にしてあげよう」などというオーナーが言たら、「こいつはバカか」と笑いものになるだけ。だが、一般のサラリーマンの世界ではそういうことはザラにあるのだ。


また、仮に、今の職場で仕事が続けられたとしても、管理職の差配次第で、仕事の割当ては変わる可能性があるし、社内のクライアントの信頼を得て、仕事が繁盛するようになればなるほど「こいつは上司を差し置いて生意気なやつだ」とばかりに、仕事を召し上げられる可能性もある*1


要するに、今手元にある仕事が面白くて、それで実績を上げれば上げるほど、その仕事を失うリスクも間近に迫ってしまう、というのが現実なのであって、いつ終わるか分からない幸福だからこそ、味わえる時にその果実を味わって、経験値を極限まで高めておきたい、という思いが働くことになる。


悲しいけれど、それが、資格を持たない一般社員の限界だ。


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「KTSK」氏の一連のやりとりで、「KTSK」氏ご本人を責めているように受け止められてしまったのであれば、それは自分の不徳以外の何ものでもなく、大変申し訳ないと思っているのだが、あの中で自分が言いたかったのは、

(1)企業法務の世界を支えてるのは法曹だけじゃねぇ・・・ってことを分かってほしい、という思い

と、

(2)資格を持った人にドンドン会社の中に入ってきてほしい、という思い

の二点に尽きるのであり、それ以外の意図はない。


(1)は、まぁ最後のコメントで書いたとおりで、最近企業法務における司法の役割を強調するあまり、あたかも弁護士が全てを作っているかのような論調になってきていて、それを真に受ける人たちが増えているんじゃないか、っていう危惧感から出てきたもの。


そして、(2)は、まさに冒頭で愚痴った「一般社員の限界」をぶち壊してくれるような活躍を期待して、のことである。


会社は、建前では「他の社員と同様に扱う」とか何とか言うのかもしれないが、実際のところは、“資格持ち”に対しては過剰なまでに気を遣うのが、古典的日本企業の常だし、現実にも流動性の高い“資格持ち”社員の立場は、会社の人事サイドと互角かそれ以上のポジションにある。


報酬等の待遇面だけでなく、「迂闊な扱いをしようものなら辞表をもって応える」という劇薬を手中に収められるという点においても、資格をとって会社に入ることの意味は大きい。


自分自身の仕事が食われる、というリスクを孕むのを承知の上で、筆者が“チャレンジ”を訴えるのは、社内基盤が決して強いとはいえない専門職能で長年メシを食い、同時に、優秀な先輩方が味わってきた悲哀を肌身で感じてきたものとして、ほんの少しでも“社内のプロ”としての法務部門自体のステータスを高めたい、という思いがあるからに他ならないのである。


もっとも、自分の足元すら固められない筆者のような非力な人間が、いくら旗を振ったところで、社内政治的には蚊ほどの影響力もないし、世界を股にかけた活躍を夢見る若き法曹の卵たちに訴えかけることができるほどの説得力のある話にもならないのであるが・・・*2


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この先、時代がどう動いて行くのか分からないけれど、自分を取り巻く環境に、決して順当な追い風ばかりが吹いているわけではない、ということだけは、よくよくわかっている。


いずれ近い将来、今の仕事を捨てるか会社を捨てるか、の二者択一を迫られる日は遅かれ早かれやってくることだろう。


本当は、もっと余裕をもってどっしりと中長期的なスパンで仕事に向き合えるようになれば、それにこしたことはないのだが、上記(2)が現実的な話として語れるようになるにはもう少し時間がかかりそうだし、仮にそれがリアルな現実になったとしても、自分が願っていたような効果をもたらしてくれるとは限らない*3


だからこそ、今、このときにできる仕事に、少しでも精魂込めて向き合っていたいと思うのだ。


少々苛酷な労働環境で*4、カラダに少々応える状況が続いたとしても、自分のポリシーを貫こうとする心さえ生き残っていれば、そうそう簡単にはくたばらないように、人間ってもんはできている。


そう信じてやっている。

*1:ひがみ性の強い上司にあたってしまったせいで、能力がありながら実際に冷や飯を食わされている人間は、それなりにいる。

*2:専門分野の世界では十分に存在感を発揮できても、社内力学上は(会社が重大な不祥事でも起こさない限り)決して強い立場にあるとはいえないのが、この種の専門職能の悲しいところで(これは法務に限った話じゃないが)、同じ法曹の卵を誘うにしても、ビジネスの世界にバリバリと足を突っ込もうとしている「卵」よりも、むしろプロ・ボノ志向の強い「卵」をターゲットにした方が効果的なんじゃないか、と思えてしまうような窮状も、時にあったりもする。

*3:「弁護士の求人難」という現実が猛スピードで個々の有資格者に襲い掛かる時代が来れば、「仕事」ではなく「会社」に固執する人種が、今のサラリーマン以上に出てこないとは限らない。

*4:とはいっても、霞が関や大手渉外の若手アソに比べれば数段手ぬるい環境だしな(笑)。

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