結果だけ見れば、「男子も女子も日本勢が惜しくも優勝を逃した、以上。」と片付けられてしまいそうだが、まぁ、なかなかレベルの高い大会だったようだ。
何といってもスコアが凄い。
女子で優勝したキム・ヨナ選手は、
SP 64.62(1) 132.21(2) 計196.83(1)
昨年同じ大会で優勝したときのスコアが、
SP 65.06(3) 119.14(1) 計184.20(1)
というものだったから、そこから10点以上も上げて、今季自己ベストのロシア杯(197.20点)に匹敵する数字を叩きだしたことになる*1。
同様に男子優勝のランビエール選手の優勝スコアも、昨年のジュベール選手を6点近く上回るスコア。
日本勢だって負けてはいない。
フリーで追い上げた浅田真央選手は今季自己最高の191.59点。高橋大輔選手も同じく自己最高の238.94点。
中野友加里選手は「5位」という結果に終わったといえ、スコアだけ見れば、172.96点(SP・59.78点/フリー・113.18点)で、今季のスケートアメリカ、NHK杯なら優勝、昨年のグランプリファイナルでも、浅田真央選手の上を行く2位に食い込めるレベルである。
いかに「基準に従って」とはいっても、最後はあくまで相対評価によって決まる、というのがフィギュアの大会の採点傾向だから、ややインフレ気味の今大会のスコアをそのまま鵜呑みにはできないものの(しかも案の定地元のコストナー選手に対してはかなり緩い採点だった)、それでも新採点方式が導入されてから何シーズンかが立ち、全体的にレベルが上がっている(というか点がとりやすいプログラムに移行している)のは確かだろう。
これでグランプリシリーズも終わり、目下の関心は、世界選手権代表切符を賭けた年末の日本選手権に移っていくわけだが、このスコアのハイパーインフレ傾向が持続するようだと、どんなマーベラスな得点が出るのか、今から楽しみである。
なお、男子は久々に公式戦復帰の織田信成選手がどこまで食い込めるかがみどころ。女子は、ここ2シーズン、女子フィギュア界の看板を背負ってきた四強(浅田真、安藤、中野、村主)の一角を誰かが崩せるか、というのが最大のポイントになるように思う。
たぶん食われるだろう、と真っ先に予想されているのが、村主章枝選手であることは、筆者も想定済みなのだが、個人的には願望も込めて、武田奈也選手が一角(=安藤)を崩して、村主選手と表彰台を争う展開を予想したい。