戦前の予想通り、駒沢大学が順当に王座に返り咲いた今年の箱根駅伝であったが、その裏で三校が途中棄権、という“大惨事”も起きてしまった。
リタイアした選手のうち、5区の小野選手(順大)、10区の荒川選手(東海大)はいずれも1万Mで28分台の記録を持つ、いわば“並以上”の選手だっただけに、なおさら、事態は深刻だと思う*1。
年々コンテンツとしての魅力が高まり、関係者の期待もヒートアップしていく中で、選手にかかるストレスやプレッシャーが限界点を超えていないか、再考する必要があるのではないか?
今年の大会で「予選落ち」のチームの選手だけを集めた学連選抜チームが4位に食い込んだことを見ても分かるように*2、最近はどの学校にも実力のある選手が揃っているから、ちょっとしたブレーキでも命取りになりかねない。
その上、全国の視聴者が選手達の一挙手一投足に注目する中、学校の威信を賭けて襷をつながなければならない、としたら、無理を押して走るな、と言うほうが至難の業だ。
別に自分が日本の陸上界の将来を心配する義理はどこにもないのであるが、「往路優勝した伝統校のエースが痛み止めの注射を打って力走した」という話が、美談仕立てで伝えられているのを聞くと、なんとも複雑な気持ちになる。