1月14日付の日経新聞「法務インサイド」のコーナーで、「違法複製物ダウンロード違法化問題」に関する最近の事情が紹介されており、特に「違法「着うた」」に頭を悩ませるレコード業界関係者の「アナウンス効果」への期待(とそれに対する批判論)が重点的に取り上げられていた(14面)。
既に読まれた方も多いと思うので多くは語らないが、自分自身の感想も、記事の中で紹介されている小倉秀夫弁護士のそれ、に近いものがあって、
「アナウンス効果で十分なら(既に違法である)アップローダーはとっくに消えているはず」(記事中では小倉秀夫弁護士のコメント、として紹介されている)
とまではいわないものの(笑)、上記のような観点からすれば、法改正の実効性自体は疑問視せざるを得ない、と考えている*1。
「アナウンス効果」をもたらすために、散々「違法になりますよ」という脅しをかけた上で、ランダムサンプリングしたユーザーを相手取って“抜き打ち的啓発訴訟”を行う・・・、といったようなやり方は元々あまり好きではないし、レコード会社がそのような愚挙に踏み切ったとしたら、今の日本では、多くの人が音楽配信を使って音楽を入手する、という行為から離れていってしまうだろう*2。携帯電話やパソコンでダウンロードできるコンテンツは他にいくらでもあるのだ。
現在違法サイトを利用している人々が、
「音楽をアップロードすることは違法だが、自分がそれをダウンロードしても私的複製の範囲内だから違法にはならない。だからダウンロードする。」
という価値判断で動いていることが何ら実証されていない現状*3、かつ個々のユーザーに比べれば遥かに数も少なく、特定可能な違法アップロード事業者すら十分に捕捉できていない状況(記事によれば)で、できることなど限られている、と思うのが普通の人の感覚だと思う。
もっとも、審議会が冷静な判断で拙速な“違法化”を諫めたとしても、“盗撮防止法”の如く、ハチャメチャな議員立法で、(刑事罰まで加わるような)中身の法律ができてしまっては困るので、業界のガス抜きのために、“穏健な”法改正は避けられないのかもしれないけれど・・・。