環境パフォーマンスのツケ

日本製紙グループから火の手が上がった、古紙配合比率“偽装”問題。


案の定、王子製紙大王製紙と主要製紙会社に次々と飛び火し、業界の“一大不祥事”になりそうな勢いである。


筆者自身、いわゆる「グリーン購入」にコミットしていた社内の知り合いが、

「最近じゃネコも杓子も「再生紙再生紙」っていうけど、ホントに比率どおりに古紙が混ざってるような再生紙は、とてもじゃないけど使えんよ。」

と苦笑いしていたのを目の当たりにしてきたから、一連の報道を見ても別に驚きやしない。


「年賀ハガキ(郵便ハガキ)」のように公的な性格の強いものの場合は、「環境に配慮」している姿勢を示すことで、調達で有利な立場になることもあるから、“紙の質”がよければいい、という単純な話では済まないのだが、普通の会社の場合、実は結構持ちつ持たれつ的な側面が強いのであって、“偽装”を一概に批判できる立場にはない。


「環境に優しい」新たな取り組みを始める余裕のない会社にとってみれば、嫌でも使うコピー用紙や文具関係に「再生紙」製品が交ざっていることによって、労せずして“環境に優しい会社”としての実績を稼ぐことができる*1


一連の騒動で判明したように、唯一のデメリットである紙質の劣化も、実際にはメーカーの“自助努力”によってクリアされていたのだから、製紙会社に感謝こそすれ、取引中止などという暴挙に出るのは、本来筋違いの話だったといえるだろう。


“偽装”発覚後、富士ゼロックスキヤノン等のメーカーは軒並み日本製紙との「取引停止」を発表したが、元々売上げに占める比率はさほど高くない上に、全ての会社が同じことをやっていた、というのだから、ちょっとほとぼりが醒めれば、すぐに元鞘に戻るだろうことは想定済み。


筆者としては、これを機に、製造工程自体は決して環境に優しいとはいえない「再生紙」製品の購入などいっそのことやめてしまい、少しでも質が高くかつリーズナブルな商品をオーダーするのが良いのではないかと思ったりもするのだが、時代がそれを許さないのだとすれば、少し悲しいところである。

*1:それによって、毎年の「環境報告書」のネタを探す苦労も少しは減ることになる。

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