著作権絡みの興味深い記事として、朝刊に掲載されていたこのニュース。
「法務局が地図業者の作製した地図「土地宝典」を利用者に貸し出して局内でコピーさせていたのは違法として、著作権者が国を訴えた訴訟の判決で、東京地裁は31日、「土地宝典には記載する情報の取捨選択や表現上の工夫がある」として、国側の著作権侵害を認めた」(日本経済新聞2008年2月1日付朝刊・第42面)
約1億4000万円の請求のうち、認容されたのは僅か600万円程度のようだから、原告の側としての決して“お得な”訴訟ではなかった、ということになろうが、それでもこの種の図面集について著作物性が認められたことの影響は大きい、と言わざるを得ない。
生の「公図」なんて、素人が見てもイマイチ良く分からない代物だから(線一本一本の意味を理解するにも時間がかかる)、それを見やすく編集したところに創作性を認める余地があるのは事実だとしても、「法務局の利用者が使う」という使用用途を考えれば、露骨な権利行使を認めるのも好ましいとは思えないわけで*1、本判決でそのあたりにどの程度配慮がなされているのか、判決原文を良く読んでみたいと思う。
※追ってコメント予定。
*1:不動産業者が違法複製したのであればともかく、用地調査に来た一般の人が気軽にコピーできるようなサービスを提供すること自体に問題がある、とされたのでは法務局もたまったもんではなかろうに・・・。