隔世の感

国家公務員1種試験の申込者数が、前年度比5.5%減の21,200人となり、現在の区分分けとなった1985年度以降、過去最低となったそうである。


人事院のサイトを見ると、

○申込者数は、21,200人(昨年度に比べ5.5%の減)
〜 法文系は微減、技術系の減少幅も昨年度より縮小 〜
○女性の申込者割合は、全体の30.5%で過去最高
〜 行政、法律、経済区分は33.3%で過去最高 〜    
法科大学院の申込者は昨年度に比べ57.1%の増加

などと、少しでも明るい材料を探そうとして、涙ぐましい努力をした痕跡が見て取れるが*1、凋落傾向に歯止めがかかっていないのは厳然たる事実だ。


21,200人、という数字の衝撃度は、既に風前の灯となっている「旧司法試験」の受験者(合格者は僅か100人程度)でさえ、いまだ21,994人いることと比較すると、より鮮明になる。


受験者の数が、必ずしも選考の質を表すバロメーターとなるものではない、とはいえ、いまだ国家公務員を目指す人々にとって最高峰の試験であるはずの国1がこの状況では、先が思い遣られるというものだろう・・・。



もう古い話になってしまうが、筆者の学生時代は、T大法学部の人間なら国1受けて国家公務員になるのが当たり前だったし、折からの不況傾向に他大の団塊ジュニア世代が殺到したこともあって、試験は史上稀にみるような大激戦になっていた。


平成9年の1種受験者数は、実に39,863人である。当時、司法試験の受験者数が、僅か27,112人に過ぎなかったことを思えば、この10年の間にどれだけ学生の志向が変わったかが良く分かる*2


官庁訪問に備えて、民間企業もいくつか回っておく。その過程で何となくフィーリングが合いそうな会社と握手して、そっちの道に流れる・・・などという、おおらかな時代を過ごしてきた人間から見れば、“実社会”との接点を絶って、試験、試験とストイックに日々を送っている今の現役法学部生ってどうよ・・・、という思いを抱いたりもするのであるが、まぁこれも時代の流れなのだろう。


いつの時代も変わらないのは、あれこれ余計なことを考えずにその時代のビクトリーロードを歩くことが、自分を満足させる一番の早道、ということだろうか。


もちろん、10年後に同じような満足を得られることまでは、筆者には保証できないのだが(笑)。

*1:http://www.jinji.go.jp/kisya/0804/isshu20.htm

*2:当時、司法試験を目指す人と言えば、「死ぬほど勉強が好き」(いわゆる“本を食って生きている”タイプ)なタイプの人間か、普通に就職する適性がない(と自分で思いこんでいる)人間だけで、いずれにせよ稀少人種だった。

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