日経新聞の月曜法務面を見ていたら、「リーガル3分間ゼミ」というコーナーに、こんなQが掲載されていた。
「就職を希望する学生のOB訪問を受けた20代の社員。進路選択のヒントにと、自社に不利な内容も含めて現状をありのまま伝えたら、その学生が内定を辞退してしまった。上司から「不用意な発言は懲戒処分になりうる」と厳重注意されたが、本当の処分を受けることがあるのだろうか。」(日本経済新聞2008年5月5日付・朝刊第14面)
おいおい、「ありのまま伝え」たのであれば何ら問題はないだろう。
辞退するかどうかは学生の自由なわけで、「懲戒処分になりうる」とか言ってる上司のコンプライアンス意識の方がどうかしてるってば・・・(笑)。
というのが筆者の回答である。
まぁ、本当の「正解」として何が書かれているのかは紙面を参照していただければ、と思うのだが、ちょっとこれはセンスがない・・・という中身だ。
現実には、会社説明会のような「公的な場」で社員が話せる中身なんて予め決まっていることばかりだし、筆者の場合は、学生対応も全部ポケットマネーでやってるから、「私的な場で何言おうが俺の勝手だ」と一言で片付く話なのだが、それにしてもどうだろう。
公的な場だろうが、私的な場だろうが、学生の進路を誤らせないためには現状をありのまま伝えるべきだし(積極的に話すかどうかは別として、嘘で隠すのはいけない)、それが万が一懲戒処分にあたりうるとしても、それを恐れて虚偽のPRをするようなヤツは、社会人以前の問題で人間としておわっている。
ゆえに、筆者としては、会社に不利か否かにかかわらず「虚偽でなければ問題ない」*1という回答を模範解答としてあげておくことにしたい。
*1:もちろん、会社の機密情報(当然ながらこれは保護に値する機密情報のみを指す、と解すべきであって、経済的価値がないようなゴシップ情報は、仮に一般に知られていないことであったとしても、ここには該当しない、と解すべきである)が含まれていれば問題になるのは当然のことだ。