月初めから「ダビング10迷走/複製補償金深まる溝」という派手な見出しが躍る日経紙。
総務省・経済産業省・文化庁の「三すくみ」状態や、権利者団体・メーカー間の「ボタンの掛け違い」、メーカー間の足並みの乱れ等、様々な見地から興味深い解説が付されている*1。
「6月2日」という当初予定されていたリミットに辻褄を合わせるのが不可能になった今、もはやなるようにしかならないのだろうが、昨今の情勢を眺める中で非常に残念なのは、聞こえてくる(&メディアで取り上げられる)のが、権利者団体とメーカー(というかJEITA)の叫び声ばかりで、本来録音録画補償金の「支払義務者」である「消費者」の意見が、議論にほとんど反映されていないように思われることだ。
「協力義務」を負うに過ぎないメーカーが実質的な補償金支払当事者になっている現状を鑑みればこの構図もやむを得ないというべきなのかもしれないし、メーカーが権利者サイドのヒステリックな要求に抗するための「盾」となってくれている、と考えれば、消費者側としてもむしろ感謝しなければならないのかもしれないが(苦笑)、このまま行けば、補償金導入時と同様に“政治的妥協”の産物として、体系的な議論を置き去りにしたまま補償金制度がズルズルと残存してしまう可能性も高いわけで、(補償金制度に対する賛否如何にかかわらず)あまり褒められた話ではない。
多くの家電メーカーが既に「ダビング10に対応可能なDVDレコーダー」を販売ラインナップに並べている現状を鑑みれば、「ダビング10」の導入が少々遅れようが、それが“買い控え”に直結するとは考えにくい、というのが現実だろう*2。
それゆえ、権利者団体が譲歩を拒むのであれば、審議会の方でもう少しバランスの良い「未来地図」が描かれるまで、メーカーには粘っていて欲しいものだと思うのであるが、果たしてどうなることやら。
筆者としては、くれぐれも後の世代に禍根を残すような結末にならないように、と願うのみである。