エドはるみが残念がったかどうかは定かではないが、第二東京タワーの名称が
「東京スカイツリー」
に決まった。
東京を生活の本拠とし始めてからはや20年以上経っているのに、未だに渋谷、新宿、池袋といった“西の方”が苦手な下町っこ筆者としては、東武鉄道&墨田区の活性化策に密かに期待しているところなのだが、そんな記事の片隅に興味深いネタが。
「東武は新タワー周辺で観光事業や商業施設を展開するとともに、沿線のイメージ向上も目指す。新タワー計画を広く知ってもらう一環で07年秋、名称案を公募した。」
「ところが1万8606件の応募のうち、最多の492票を得た「大江戸タワー」などいくつかは、他の企業などが商標登録済みだったという。東武も「すみだタワー」などを商標申請していたが、知財管理も含めたブランド戦略では後手に回った面もある。」
(日本経済新聞2008年6月11日付朝刊・第35面)
それで、ちょっと検索してみたわけだが・・・
東武鉄道株式会社と新東京タワー株式会社が共同出願している「タワーの名称」と思われる商標は、全部で23件。
具体的に挙げてみると、
日本タワー
むさしタワー
東タワー/AZUMATOWER
東京EDOタワー
和ノ塔
東京ENタワー
東京新タワーあかつき
天空の塔
東京新タワーそら
江戸ハートタワー
大江戸タワー
ビッグアイタワー
東京スカイツリー
ライジングタワー
(以上、平成19年10月24日、25日出願)
東京新タワー
東京新タワーみやこどり
富嶽タワー
ドリームタワー
JAPANタワー
ゆめみやぐら
みらいタワー
Rising East Tower
平成天空タワー
(以上、平成20年1月24日出願)
と、それっぽい名前がたくさん。
一次選考で上位だった、「大江戸タワー」、「新東京タワー」、「さくらタワー」に、ことごとく先行商標が存在したことで、慌てて防衛に走ったのだろうか(笑)。
記事の中では、
「知財管理も含めたブランド戦略では後手に回った面もある。」
と言われてしまった東武鉄道&新東京タワーだが、「新東京タワー」に関して言えば、「東京タワー」が商標として登録されている限り(権利者・日本電波塔株式会社)、元々この名称を商用化するのは極めて困難なのは最初から分かりきっているわけで、これを「後手」といってしまうのはちょっと気の毒な気がする。
「さくらタワー」
についても同じで、愛称募集のやり方に問題があったのは否めないとしても、第二東京タワー構想が本決まりになる前から登録されている商標のことをとやかく言っても始まらない。
だが、
「大江戸タワー」
はどうか。
この商標を取得したのは、地元、墨田区業平の「株式会社森八本舗」。
出願は平成18年8月21日*1 。
僅かな区分でも、同じ名称で第三者に商標を押さえられてしまうと、全面的な商品化等の計画は崩壊してしまうわけで、“社運”のかかっている話だけに、本来は「惜しかった」では済まされない話だろう。
個人的には、石原知事の顔が思わず浮かんでしまう「大江戸」なんてベタな名前よりも、「スカイツリー」の方が遥かにセンスの良い名前だと思うので、いわば結果オーライ。
でも、これが普通の会社の商品名の話で、幹部会で議論した名称が実は全部第三者の商標でした・・・なんてことが後から判明したら・・・と考えると、やっぱり笑えない話だなぁ、と思えてならないのであるが・・・。