消費者庁の前途やいかに?

福田首相が起死回生の一撃、として期待している(らしい)消費者庁の全容が明らかになりつつある。


日経紙の記事によると、所管する法律として30もの法律が挙げられており、

「物価の監視など物価行政を規定する物価統制令景品表示法など14法は消費者庁に完全に移管。食品衛生法健康増進法日本農林規格JAS)法など9法は一部を移管する。貸金業法宅建業法、旅行業法、出資法など7法は他省庁との共管になり、消費者行政関係の75の法律のうち4割を消費者庁が所管する。」(日本経済新聞2008年6月13日付朝刊・第5面)

と要約されているのだが・・・


記事にもあるとおり、問題はやはり人事と予算だろう。


器がいくら整っても*1、カネとヒトがなければ何もできないのが組織体の常。


それらが揃わなければ、大手省庁の傘の下から離れた分、かえって消費者保護行政の力が弱まってしまった、なんてことにもなりかねない*2


優秀な官僚が集まらなければ弁護士を連れてくればいい、なんて声も聞くのだが、「司法」の場での実力が、「行政」の場でそのまま発揮できる、なんてことは期待しない方がいいだろう*3


単に情熱がある、というだけでは、一つの訴訟を勝利に導くことはできても、継続的・日常的に続く行政の現場を動かすことはできないのでは・・・と筆者は危惧している。


業法などは、いっそのこと、訳あって不遇をかこっているような元業界関係者(中でもそれらの会社の元・法務担当者)*4を集めて、オールスターチームで臨んだほうが良いのではないか、と思ったりもするのだが、果たしてそういう柔軟な対応が取れないものか。


現政権が、今後庁の発足に向けてどのような手を打ってくるのか、今後も注目されるところである。

*1:といっても、消費者行政関係法律の「4割」しか移管できない、というのではそもそも「器」自体が十分なものとはいえないのだが・・・。

*2:特に業法関係については、所管官庁の豊富なノウハウや情報力に対抗できるような陣容を揃えないと、いかに検査権限を握らせたとしても絵に描いた餅に過ぎなくなってしまう可能性が高く、所管官庁の思惑どおりに処分を追認する機関に成り下がってしまう危険すらある。

*3:現在霞が関で活躍している弁護士の多くは、ある程度組織化された事務所で頭角を現せるだけの素質を持った企業弁護士・渉外弁護士だし、何より彼らには本省の優秀なスタッフがバックアップに付いている。

*4:貸金業、不動産、旅行業といった事業には、そうでなくてもブラックな噂が満ちているし、それらが正しければ、“優秀だからこそ”会社を辞めていった人間も決して少なくない数いるはずである。

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