華々しい宣伝で夏休み中の上映館を独占している「崖の上のポニョ」。
各種批評サイトに漂う微妙な空気を感じて、この目で確かめてやろう・・・と思いたち、自分も映画館に足を運んでみたのだが・・・
「この映画に星たくさん付けてた評論家出て来い!」
って感じである(苦笑)。
もちろん映画である以上、場面ごとの細かい設定をいちいちストーリーの中で説明する必要はないわけだし、推理小説ではないのだから、エンディングにつながっていくような伏線を随所に丁寧に張り巡らしておく必要もない。
だが、中盤から後ろの方のストーリーは、いくらなんでも雑過ぎないか。
世の中、「大御所だから許される」ことはいくらでもあるのであって、日本アニメに大きな足跡を残した宮崎駿監督だから、「あまり細かいことは言わんどこう・・・」という深謀遠慮が評論家諸兄にも働いたのかもしれないが、これが無名のクリエイターの作品だったら間違いなく酷評されているだろう、そんな印象の映画である*1。
前半の筋書きは悪くないし、キャラクターの動きも、細かい背景もいろいろと芸は細かくて、アニメーションとしてのクオリティは高いと思われるだけに、もしかすると、真ん中から後ろは“大人の事情”による妥協で組み立てられたものなのかなぁ・・・*2と善解してみたくもなるのだが、もしそうだとすれば、「子供に純粋に楽しんでもらう」というコンセプトからすると、ちょっときな臭すぎる。
もちろん、ところどころパッチワーク的な“いいシーン”はあるのだが、「心を空っぽにしてみる」ことができない自分のような人間が見ても、心から楽しむことはできないんだよなぁ・・・と複雑な気持ちにもなったりするもので。
興行的には成功しているようだし、当分の間は映画館の主要スクリーンを占拠しているだろうから、微妙な空気感を味わいたい方には一応お勧めしておくことにするが、前向きな期待を裏切られても、金返せ、とは言わないようにお願いしたい。
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