朝刊に、奇妙な世論調査の結果が載っているのを見て、「これだと近々、投手(党首)交代もあるかもなぁ・・・」と思った矢先の出来事であった。
福田首相辞任。
まぁ、どこのメディアも言いたい放題、叩きたい放題。街角の酔っ払いや世間知らずのおばちゃん捕まえては、“無責任”だの何だのと連呼させているのだが、今の政治状況で総理の椅子に座って、どっしりと仕事ができる奴なんて、世界中のどこ探したっていないだろう。
最後の記者の挑発的な質問に対し、
「私は自分自身を客観的に見ることができる。あなたと違うんです!」
と返したくだりは、さすがに苦笑せざるを得なかったが、辞任という選択をした福田首相に、「先を見通す目」があるのは認めざるを得ないだろう。
代表制民主主義というのは、議論の過程を通じて歩み寄る可能性があって初めて成り立つものなのであって、政権奪取のために、良い政策だろうが悪い政策だろうが、頑なに反対を貫き通す民主党のような存在がある限り、遅かれ早かれ、ニッチもサッチもいかない状態に追い込まれてしまうのは分かりきっていた*1。
そうなると、残された選択肢は、支持率をさらに下げること覚悟で衆院の圧倒的多数を生かしきるか、ヤケッパチで衆院を解散してみるか、あるいは、今すぐ内閣総辞職する、のいずれか、ということになろう。
プライドの高い福田首相にしてみれば、前の二つを選択する余地はなかったわけで、そうなれば自ずと答えは見えてくる*2。
権力の座にいる間は「辞めろ辞めろ」の大合唱。辞めたら辞めたで「無責任」の大合唱。
そんな“世の中の声”なんていちいち相手にしてられるかっ! と、自らマウンドを降りた首相の行動は、政治家としては大人気ないのかもしれないが、一人の人間のとる行動としては共感せざるを得ない。
ちなみに、冒頭で紹介した世論調査の結果は、
「内閣支持率が低下(不支持率上昇)する一方で、自民党の支持率が民主党の支持率を引き離し、“首相にふさわしい人”の人気投票では麻生太郎氏が大差をつけてトップに。」
というものであった。
辞任は先週末から決めていた、というが、もしかしたら、こんな世論調査の結果も少しは影響したのかなぁ・・・と想像してみたりもしているのだが、本当のところはどうなのだろう・・・?
“引き際”を意識しながらも、諸事情によりズルズルと仕事を続けざるを得ない者から見れば、福田首相の潔さが羨ましくもあり、別の世界の出来事のようでもある。
自分の“支持率”と、後釜に入りそうな人間の“支持率”が毎月数字で示されるようにでもなれば、少しは決断のタイミングも計れるのかもしれないが(苦笑)、残念ながら今の人事考課制度の下では、それは叶いそうもない・・・。