一番得をしたのは誰か?

麻生内閣発足早々、中山成彬国土交通相が辞任。


自民党をとにかくやっつけたくて仕方がないメディアに言わせれば、

「政権に大打撃!」

ということになるのだろうが、本当にそうだろうか?と思う。



一番騒がれた「日教組が何たらかんたら」発言に関して言えば、それが正しかろうが間違っていようが、“我が意を得たり”と感じた人も少なからずいるだろう。


保守系”を自認する人から世の教育ママたちまで、「日教組」の存在に眉をひそめている人々は実に多い*1


自分の所管業務と何ら関係ない事項について、根拠があるかどうか極めて疑わしい発言を繰り返す大臣の姿勢に呆れつつも、最後まで発言を撤回しなかった辺りに、今までとは違う(少なくともヘタレな前農水相のような小物とは違う)“大物ぶり”を感じてしまった人がいても不思議ではないし(もちろんそれは大きな誤解なのだがw)、次の選挙で唯一自民党が頼りにするほかない“伝統的保守層”を少しでも固めることができるのであれば、浮いた世論の非難を浴びて失うものよりも、得たものの方が多い、ということにもなるように思われる。


ちなみに、中山・前国交相の選挙区(宮崎1区)では、対立候補である元林野庁長官・川村秀三郎氏を民主党社民党が支援するという構図になっている*2


対立候補のバックには当然教職員組合もいるわけで、足元に火がついた一代議士としては、烈火のごとく相手を叩き、自分の陣営を固める必要があった・・・。


地元での過激な発言な裏にはそういった背景もあった、ということは理解しておく必要がある*3



ついでに言えば、麻生内閣の発足を報じる記事の片隅には、以下のようなエピソードも掲載されていた。

「24日朝、麻生首相の人事構想を伝え聞いた町村派内は大騒ぎになった。リストに所属議員が一切見あたらなかったからだ。」
(略)
「「どうなってるんだ。首相指名選挙で町村派小沢一郎と書いてもいいのか」。首相指名を目前に控えた24日午後の衆院本会議場。町村派事務総長の中山成彬氏は、官房長官に内定していた河村建夫氏に近づき、激しく抗議した。」
町村派は当選6回議員2人の初入閣を最優先に求めてきた。しかし、麻生首相は中山氏に行政改革担当相での再入閣を提示した。」
日本経済新聞2008年9月25日付朝刊第2面)

この話には、「ウチは私も妻も息子も大蔵省(現・財務省)の公務員一家だ。行革相なんてできるわけない」と中山氏が不満をぶちまけ、30分後にポストが国土交通相に差し替えられた、というオチまでついており、どこまで本当なのか分からない(笑)のではあるが、もし、この記事のとおりだとしたら、麻生首相にとっては“元々どうでもよかった町村派”の大臣が一人いなくなった*4というのは、願ったり叶ったりだろうし、当の中山氏にとっても、公務に時間を割かれることなく選挙準備に専念できる分、「大臣辞任」という展開は望みどおり、ということだったのではなかろうか。



今回の騒動で一番得をするのは誰か?


メディアがあれやこれやと騒ぐおかげで内閣支持率が下がれば、野党第一党の党首が一番得をしたように見えるかもしれないが、ここ数ヶ月、内閣支持率政党支持率は必ずしもリンクしていない。


一寸先は闇。


誰が得をしたのか、が分かるのは、選挙の結果が出たまさにその時、ということになるのではないかなぁ・・・と漠然と思うのであるが果たして?

*1:メディアの中には、敵の敵は見方、とばかりに「日教組の先生にはいい人が多い」などとこれまた根拠のないことをコメンテーターに言わせている媒体もあったりしたのだが、そういう発言は大臣の発言と同じくらい根拠に乏しい、といわざるを得ない。そもそも問題とされているのは、個々の教師がいいか悪いか、ではなく、組織としての教職員組合という集団がどうなのか、ということなのであって、個別事例を論証の根拠としてあげるのはお門違いもいいとこであろう。

*2:http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000000809270004など参照。先の県知事選で中山氏が自民公認の持永候補ではなく川村候補を支持したことが、東国原知事誕生の直接の原因になった、というのは良く知られた話だが、どこでどう間違って袂を分かつことになったのか。つくづく政界というのは恐ろしい・・・(笑)。

*3:残念ながら、裏目に出る可能性も高そうな気配ではあるが。

*4:しかも日教組問題で火中の栗を拾うのは同じ町村派塩谷立氏である。